【セリエA32節】 ミラン対ラツィオ 【マッチレポート】
スタメン


前半
〇ミランの攻撃~欠かせない男~
前半はホームチームであるミランがポゼッションし、ラツィオがミドルブロック(5-3-2)で守るという展開がメイン。
そんなミランの組み立て、そして崩しの中心は完全にチャルハノールです。
文字通り縦横無尽に動き回りつつ、ワンタッチツータッチでボールをシンプルに叩いて相手守備ブロックを揺さぶり崩していきます。
くどいようですが、今のミランでこれを継続的に狙ってやれるのはチャルハノールとパケタだけですからね。
パケタが離脱中の今、これができるチャルハノールの重要性はますます高まっていますし、その役割を忠実にこなせていると思います。

―例えばこのシーン。マーカー(黄)を引き連れながらCBからの縦パスを受けたチャルハノール(赤)は、横にいるフリーのバカヨコ(青)へとシンプルに叩く

―その直後のシーン。バカヨコはチャルハノールのマーカーが空けてしまったスペース(黒)へと持ち運び、前方のボリーニ(紫)へと悠々とパスを出した
続いてデータも参照しましょう。

上図はこの試合におけるチャルハノールのボールタッチポジションを図示したものです(『WhoScored』より。右攻め)。
タッチ数は79回。左サイドを中心としつつ、中央、右サイド、バイタルエリアなど様々な場所でボールに触っていることがわかります。

こちらは同じポジションのケシエのボールタッチポジションです(ソースは同上。タッチ数は82.)。。
見比べると違いは一目瞭然ですね。特にバイタル付近でのタッチ数に如実な違いが表れています。
〇ラツィオの攻撃~サイド攻め~
一方、ラツィオの攻撃はWBを活かしたサイド攻撃がメイン(ミランの守備はいつも通りのミドルブロックが基本でたまにハイプレス)。
中央でボールを持ったルーカスやルイス・アルベルトがサイドへ(ロング)ボールを展開し、そこからフィニッシュに繋げていきます。
特に多かったのが左サイドからの攻撃です。
1つの形として、左WBルリッチ、左ISHルイス・アルベルト、トップ下のコレアの3人を中心に、時にはトップのインモービレまでがサイドに流れてきて局所的な数的同数~優位を作り突破を図りました。

―このシーンでは5人(白)がパス回しに参加
特にコレアは神出鬼没。流動的に動きますし、ミランにとっては厄介極まりない相手でしたね(笑)

―ルリッチ、コレア(桃)、インモービレと素早くパスが繋がったシーン。惜しくもオフサイドとなったが、通れば決定機となっていたかもしれない
〇チャンスシーン
以上のような攻撃を以てチャンスを作っていった両チーム。
しかし、決定機の「質」という点ではラツィオに軍配が上がるかなと。
序盤のインモービレのシュート(レイナがファインセーブ)を皮切りに、コレアやアルベルトがかなり惜しいシュートを放っていました。
対するミランもチャルハノールのミドルシュートやピョンテクのヘディングなどありましたが、いずれも決定機とまでは呼べなかったかなと。
とは言え両チームともに前半はスコアレスで終了。
後半
〇攻めあぐねる両チーム
後半序盤は両チームとも攻めあぐねます。
ラツィオとしてはコレアの後半早々の負傷退場が痛恨だったかと。
代わって入ったカイセドはコレアのように流動的に動いて効果的なプレーを見せることは非常に少なく(僕がラツィオの試合を観るときにこの人が活躍したためしがない)、前半のようなサイドでの素早いパス回しは減った印象でしたね。
一方のミランは、ラツィオが後半になりラインをやや下げて中を固めてコンパクトに守り始めたことが影響してか、中央に縦パスが入らなくなります。
そういうときにサイドを効果的に使いたいわけですが、左はボリーニですし右のスソは中央寄りに常駐する時間が長くあまり機能せず。
〇システム変更の妙
68分にミランにアクシデント発生。ロマニョーリとカラブリアが負傷し、それぞれサパタ、ラクサールとの交代を余儀なくされます。
それと同時にシステムを3-4-2-1に変更しました。

この変更は実に素晴らしかったですね。
サイドを有効に使えていない状況でしたから、両WB(ラクサールとボリーニ)を置いてサイドに張らせることで幅を取る人員を確保したのでしょう。
おまけに、守備においてはその2人がそのまま相手のWBとマッチアップすることで、相手サイド攻撃の起点を潰せます。
実際、この交代の後からミランが(主に右)サイドを使ってラツィオを完全に押し込む時間帯が増えましたしね。
そして優勢に試合を運び始めたミランが79分にPKを獲得し、それをケシエが決めてミランが先制に成功しました!
〇終盤の攻防、そして疑惑の…
何としても同点弾を奪いたいラツィオは4バックに変更し攻勢を強めます。
一方のミランはクトローネを投入(ここでいつもの2トップではなく、ピョンテクに代えて1トップを維持したのも素晴らしい)。ラインを下げつつもカウンターから追加点を狙いました。
この終盤の攻防で解せなかったのが、ラツィオがショートパスメインの攻めをギリギリまで続けたことですね。
ラツィオの前線のメンバー及びミランが放り込みに弱いことを考えれば、とっとと前線にロングボールを放り込みエアバトルに持ち込んだ方が明らかに良かったはず。
ようやくアディショナルタイム前後の時間帯で放り込み始め、案の定チャンスを作り始めるラツィオ。
そして試合終了間際にエリア内でミリンコビッチ・サビッチがリカロドに倒されますがPKならず。
このシーンについては賛否両論ありますが、僕はPKを取られても全く不思議ではなかったと思います。
結局試合は1-0のまま試合終了。
まとめ
ミランがラツィオとの直接対決を制し、見事4位の座を死守しました!
いや~嬉しいですね。最後の乱闘は余計でしたが…(ケシエとバカヨコは反省して欲しい)。
今日の試合は全員が本当に良く頑張ったと思いますが、特に負傷交代でカードを消費せざるを得ない中、的確な戦術修正で試合の流れを引き寄せたこの試合のガットゥーゾ監督の采配は本当に素晴らしかったと思います。
今後の戦術家としての成長にも期待が持てそうですね(まだ手のひらは返しません。笑)
さて。5試合ぶりに勝利を収めたミランの次節の相手はパルマです。
今回の大きすぎる勝利をふいにしないためにも、そして何よりCL権のためにも絶対に勝利が必要です。
まずはしっかり休んでもらい、次節以降も勝利を積み重ねていって欲しいですね。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
〇ミランの攻撃~欠かせない男~
前半はホームチームであるミランがポゼッションし、ラツィオがミドルブロック(5-3-2)で守るという展開がメイン。
そんなミランの組み立て、そして崩しの中心は完全にチャルハノールです。
文字通り縦横無尽に動き回りつつ、ワンタッチツータッチでボールをシンプルに叩いて相手守備ブロックを揺さぶり崩していきます。
くどいようですが、今のミランでこれを継続的に狙ってやれるのはチャルハノールとパケタだけですからね。
パケタが離脱中の今、これができるチャルハノールの重要性はますます高まっていますし、その役割を忠実にこなせていると思います。

―例えばこのシーン。マーカー(黄)を引き連れながらCBからの縦パスを受けたチャルハノール(赤)は、横にいるフリーのバカヨコ(青)へとシンプルに叩く

―その直後のシーン。バカヨコはチャルハノールのマーカーが空けてしまったスペース(黒)へと持ち運び、前方のボリーニ(紫)へと悠々とパスを出した
続いてデータも参照しましょう。

上図はこの試合におけるチャルハノールのボールタッチポジションを図示したものです(『WhoScored』より。右攻め)。
タッチ数は79回。左サイドを中心としつつ、中央、右サイド、バイタルエリアなど様々な場所でボールに触っていることがわかります。

こちらは同じポジションのケシエのボールタッチポジションです(ソースは同上。タッチ数は82.)。。
見比べると違いは一目瞭然ですね。特にバイタル付近でのタッチ数に如実な違いが表れています。
〇ラツィオの攻撃~サイド攻め~
一方、ラツィオの攻撃はWBを活かしたサイド攻撃がメイン(ミランの守備はいつも通りのミドルブロックが基本でたまにハイプレス)。
中央でボールを持ったルーカスやルイス・アルベルトがサイドへ(ロング)ボールを展開し、そこからフィニッシュに繋げていきます。
特に多かったのが左サイドからの攻撃です。
1つの形として、左WBルリッチ、左ISHルイス・アルベルト、トップ下のコレアの3人を中心に、時にはトップのインモービレまでがサイドに流れてきて局所的な数的同数~優位を作り突破を図りました。

―このシーンでは5人(白)がパス回しに参加
特にコレアは神出鬼没。流動的に動きますし、ミランにとっては厄介極まりない相手でしたね(笑)

―ルリッチ、コレア(桃)、インモービレと素早くパスが繋がったシーン。惜しくもオフサイドとなったが、通れば決定機となっていたかもしれない
〇チャンスシーン
以上のような攻撃を以てチャンスを作っていった両チーム。
しかし、決定機の「質」という点ではラツィオに軍配が上がるかなと。
序盤のインモービレのシュート(レイナがファインセーブ)を皮切りに、コレアやアルベルトがかなり惜しいシュートを放っていました。
対するミランもチャルハノールのミドルシュートやピョンテクのヘディングなどありましたが、いずれも決定機とまでは呼べなかったかなと。
とは言え両チームともに前半はスコアレスで終了。
後半
〇攻めあぐねる両チーム
後半序盤は両チームとも攻めあぐねます。
ラツィオとしてはコレアの後半早々の負傷退場が痛恨だったかと。
代わって入ったカイセドはコレアのように流動的に動いて効果的なプレーを見せることは非常に少なく(僕がラツィオの試合を観るときにこの人が活躍したためしがない)、前半のようなサイドでの素早いパス回しは減った印象でしたね。
一方のミランは、ラツィオが後半になりラインをやや下げて中を固めてコンパクトに守り始めたことが影響してか、中央に縦パスが入らなくなります。
そういうときにサイドを効果的に使いたいわけですが、左はボリーニですし右のスソは中央寄りに常駐する時間が長くあまり機能せず。
〇システム変更の妙
68分にミランにアクシデント発生。ロマニョーリとカラブリアが負傷し、それぞれサパタ、ラクサールとの交代を余儀なくされます。
それと同時にシステムを3-4-2-1に変更しました。

この変更は実に素晴らしかったですね。
サイドを有効に使えていない状況でしたから、両WB(ラクサールとボリーニ)を置いてサイドに張らせることで幅を取る人員を確保したのでしょう。
おまけに、守備においてはその2人がそのまま相手のWBとマッチアップすることで、相手サイド攻撃の起点を潰せます。
実際、この交代の後からミランが(主に右)サイドを使ってラツィオを完全に押し込む時間帯が増えましたしね。
そして優勢に試合を運び始めたミランが79分にPKを獲得し、それをケシエが決めてミランが先制に成功しました!
〇終盤の攻防、そして疑惑の…
何としても同点弾を奪いたいラツィオは4バックに変更し攻勢を強めます。
一方のミランはクトローネを投入(ここでいつもの2トップではなく、ピョンテクに代えて1トップを維持したのも素晴らしい)。ラインを下げつつもカウンターから追加点を狙いました。
この終盤の攻防で解せなかったのが、ラツィオがショートパスメインの攻めをギリギリまで続けたことですね。
ラツィオの前線のメンバー及びミランが放り込みに弱いことを考えれば、とっとと前線にロングボールを放り込みエアバトルに持ち込んだ方が明らかに良かったはず。
ようやくアディショナルタイム前後の時間帯で放り込み始め、案の定チャンスを作り始めるラツィオ。
そして試合終了間際にエリア内でミリンコビッチ・サビッチがリカロドに倒されますがPKならず。
このシーンについては賛否両論ありますが、僕はPKを取られても全く不思議ではなかったと思います。
結局試合は1-0のまま試合終了。
まとめ
ミランがラツィオとの直接対決を制し、見事4位の座を死守しました!
いや~嬉しいですね。最後の乱闘は余計でしたが…(ケシエとバカヨコは反省して欲しい)。
今日の試合は全員が本当に良く頑張ったと思いますが、特に負傷交代でカードを消費せざるを得ない中、的確な戦術修正で試合の流れを引き寄せたこの試合のガットゥーゾ監督の采配は本当に素晴らしかったと思います。
今後の戦術家としての成長にも期待が持てそうですね(まだ手のひらは返しません。笑)
さて。5試合ぶりに勝利を収めたミランの次節の相手はパルマです。
今回の大きすぎる勝利をふいにしないためにも、そして何よりCL権のためにも絶対に勝利が必要です。
まずはしっかり休んでもらい、次節以降も勝利を積み重ねていって欲しいですね。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。