ルーカス・パケタがミランにもたらした2つの変化
〇はじめに;チームにもたらした2つの変化
今冬の移籍市場にて、ブラジルのフラメンゴから推定3500万ユーロで移籍したルーカス・パケタ。
当初、この報道及び移籍金を知った時は「将来有望な若手選手らしいしこんなもんか~」などと思っていたわけですが…
今思うと、あまりにも格安でしたね。移籍金3500万ユーロ(出来高付きらしいので実際はもう少し高くなるかもしれませんが)は将来性を考慮してのものだったと当時は考えていたわけですが、現段階の実力でも十分にその額に値することは間違いないでしょう。
チームに加入後、瞬く間に即戦力としてフィット。もはや欠かせない選手となっていますからね。
というわけで今回は彼がチームに対し、具体的に何をもたらしてくれたのか、またどのようにしてチームに貢献してくれているのかについて個人的な見解を書いていこうかなと。
今冬の移籍市場にて、ブラジルのフラメンゴから推定3500万ユーロで移籍したルーカス・パケタ。
当初、この報道及び移籍金を知った時は「将来有望な若手選手らしいしこんなもんか~」などと思っていたわけですが…
今思うと、あまりにも格安でしたね。移籍金3500万ユーロ(出来高付きらしいので実際はもう少し高くなるかもしれませんが)は将来性を考慮してのものだったと当時は考えていたわけですが、現段階の実力でも十分にその額に値することは間違いないでしょう。
チームに加入後、瞬く間に即戦力としてフィット。もはや欠かせない選手となっていますからね。
というわけで今回は彼がチームに対し、具体的に何をもたらしてくれたのか、またどのようにしてチームに貢献してくれているのかについて個人的な見解を書いていこうかなと。
①ボールの運び役
まず一つは、ボールの運び役としての多大なる貢献ですね。
とはいってもドリブルでゴリゴリと運ぶわけではなく、ポジショニングとパスで運びます。
彼はボールの引き出し方と、ボールを貰った後のパスの判断と精度が非常に素晴らしいのでボールを前進させられるんですよね。
そしてキープ力もあるので、有効なパスコースが見つからない時は溜めを作ることが出来ます。
「Nextカカ」と呼ばれることもあるパケタですが、かつてのミランの選手で言えばセードルフに近いプレースタイルではないかと。
カカはどちらかと言うとドリブルで運ぶタイプ(積極的に動いてパスを引き出すこともしましたが)でしたし、それ故にカカとは結構違いますね(カカのようにミランのレジェンドになれるという意味での「Nextカカ」なら正しいかもしれません。笑)
閑話休題。それで何故これが重要かと言うと、当時のミランの中盤にこれが継続的にできる選手がいなかったからです。
例えばケシエはロングカウンター時などのスペースが空きまくっているときはドリブルでゴリゴリ運べますが、ポゼッション(この記事でいうポゼッションは「相手の守備陣形が整っている状態での攻撃」程度に捉えてください)時はドリブルでもパスでも有効に運べません。
バカヨコも同じ。圧倒的なフィジカルを活かしたドリブルでマーカーを剥がすことはできますが、その後のパスの判断が良くないため有効にボールを運べない。
チャルハノールは唯一それが継続的に出来得る選手ですが、パケタほどのキープ力がないため上手く溜めが作れず、ドリブルでの運びも上手くはないためそこまで適任ではない(良い形でボールを受けられ、かつ常時パスコースが作られているような組織的なチームであれば出来るでしょうが)。
つまりこの3人の中盤でポゼッションサッカーをやっていた頃のミランの試合内容が酷く、4試合連続無得点などという記録を残したのもある種必然であったということがわかっていただけると思います(この頃の僕がくどい程に速攻サッカーを要求していたのはこのため)。
パケタとピョンテクの加入に伴い、基本戦術がポゼッションからロングカウンターにシフトしたため当時と今を単純比較することは確かに難しいです。
しかし当然ながらポゼッションする時間帯というのは今でも試合中に必ずあるわけで、その際にはパケタの上記の能力が存分に発揮されていますね。
②チャルハノール復活
パケタがチームにもたらしたものの2つ目はチャルハノールの復活です。
チャルハノールのシーズン前半戦は惨憺たる結果に終わり、そのため冬の移籍市場期間では放出の噂が絶えることはありませんでした。
しかし後半戦になり復調。先日のアタランタ戦では今シーズンのリーグ戦初ゴールを含む1ゴール1アシストでチームの勝利に大きく貢献しました。
彼の前半戦の不調の原因についての僕の見解は、めちゃくちゃ大雑把に言うと「サイドで孤立する時間帯が長かった」というものでした(こちらの記事「ハカン・チャルハノールの苦境 ~不調の原因とその解決法~ 【本編】」で詳述していますので、未読の方は読んでいただけると幸いです)。
つまり前半戦とは打って変わった後半戦の好調の理由を大雑把に言うと「孤立することなく中央付近でボールを触れるようになったから」だということが出来ます。
ではなぜその変化が生じたかと言われれば、それはほぼ間違いなくルーカス・パケタのおかげではないかと。
パケタは前述したように動きの質が高く、パスの精度と判断も素晴らしい。流動的に動いてサイドにも流れられるため、チャルハノールに良質なボールを送ると同時に自身へのパスコースと中央付近のスペースを提供することが出来るわけです。
こうしてチャルハノールは中央に流れて比較的フリーでボールを受けられる頻度が増え、しかもパケタというパスの受け手としても優秀な存在が近くにいることで得意のパスもより活きるようになったというのが好調の原因だと考えています。
ちなみにこれはパケタの方にも言えることでして、パスの出し手としても受け手としても優れている上に積極的なフリーランもしてくれるチャルハノールがいることで、パケタが流動的に動きやすいという側面は間違いなくあるでしょうね。
最後に、実際のデータを見てみましょう。

上図は先に挙げたリンク先記事でも引用した、トリノ戦(機械採点で最も悪かった試合の1つ)におけるチャルハノールのボールタッチポジションです(右攻め。WhoScoredより)。
中央エリアもといバイタルエリア付近でのタッチ数は少ないことがわかります。

一方こちらは2節前のカリアリ戦におけるチャルハノールのボールタッチポジションです。
はい、一目瞭然ですね(笑)
〇おわりに;CL権獲得のために
以上、パケタがミランにもたらした大きな変化や貢献について僕なりの見解を述べさせていただきました。
まとめると僕の主張は「パケタは持ち前のスキルと流動的な動き、そしてチャルハノールとの相性の良さを活かすことでミランのポゼッション精度を向上させ、その上チャルハノールの復活にも貢献した」と言ったところでしょうか。
今回は特にポゼッション時における彼のパフォーマンスに注目しましたが、他にも守備時の献身性やカウンター時の鋭い縦パスなど褒めたい点はまだまだあります。
既に十分に素晴らしいというのに、これでまだ21歳の成長株ですからね。本当に末恐ろしい選手です。
ミランのCL権獲得のためには、もはや彼は無くてはならない存在となりました。
何としても今季はCL権を獲ってもらい、来シーズンからは世界最高峰の舞台でも躍動するパケタの姿を見たいですね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
まず一つは、ボールの運び役としての多大なる貢献ですね。
とはいってもドリブルでゴリゴリと運ぶわけではなく、ポジショニングとパスで運びます。
彼はボールの引き出し方と、ボールを貰った後のパスの判断と精度が非常に素晴らしいのでボールを前進させられるんですよね。
そしてキープ力もあるので、有効なパスコースが見つからない時は溜めを作ることが出来ます。
「Nextカカ」と呼ばれることもあるパケタですが、かつてのミランの選手で言えばセードルフに近いプレースタイルではないかと。
カカはどちらかと言うとドリブルで運ぶタイプ(積極的に動いてパスを引き出すこともしましたが)でしたし、それ故にカカとは結構違いますね(カカのようにミランのレジェンドになれるという意味での「Nextカカ」なら正しいかもしれません。笑)
閑話休題。それで何故これが重要かと言うと、当時のミランの中盤にこれが継続的にできる選手がいなかったからです。
例えばケシエはロングカウンター時などのスペースが空きまくっているときはドリブルでゴリゴリ運べますが、ポゼッション(この記事でいうポゼッションは「相手の守備陣形が整っている状態での攻撃」程度に捉えてください)時はドリブルでもパスでも有効に運べません。
バカヨコも同じ。圧倒的なフィジカルを活かしたドリブルでマーカーを剥がすことはできますが、その後のパスの判断が良くないため有効にボールを運べない。
チャルハノールは唯一それが継続的に出来得る選手ですが、パケタほどのキープ力がないため上手く溜めが作れず、ドリブルでの運びも上手くはないためそこまで適任ではない(良い形でボールを受けられ、かつ常時パスコースが作られているような組織的なチームであれば出来るでしょうが)。
つまりこの3人の中盤でポゼッションサッカーをやっていた頃のミランの試合内容が酷く、4試合連続無得点などという記録を残したのもある種必然であったということがわかっていただけると思います(この頃の僕がくどい程に速攻サッカーを要求していたのはこのため)。
パケタとピョンテクの加入に伴い、基本戦術がポゼッションからロングカウンターにシフトしたため当時と今を単純比較することは確かに難しいです。
しかし当然ながらポゼッションする時間帯というのは今でも試合中に必ずあるわけで、その際にはパケタの上記の能力が存分に発揮されていますね。
②チャルハノール復活
パケタがチームにもたらしたものの2つ目はチャルハノールの復活です。
チャルハノールのシーズン前半戦は惨憺たる結果に終わり、そのため冬の移籍市場期間では放出の噂が絶えることはありませんでした。
しかし後半戦になり復調。先日のアタランタ戦では今シーズンのリーグ戦初ゴールを含む1ゴール1アシストでチームの勝利に大きく貢献しました。
彼の前半戦の不調の原因についての僕の見解は、めちゃくちゃ大雑把に言うと「サイドで孤立する時間帯が長かった」というものでした(こちらの記事「ハカン・チャルハノールの苦境 ~不調の原因とその解決法~ 【本編】」で詳述していますので、未読の方は読んでいただけると幸いです)。
つまり前半戦とは打って変わった後半戦の好調の理由を大雑把に言うと「孤立することなく中央付近でボールを触れるようになったから」だということが出来ます。
ではなぜその変化が生じたかと言われれば、それはほぼ間違いなくルーカス・パケタのおかげではないかと。
パケタは前述したように動きの質が高く、パスの精度と判断も素晴らしい。流動的に動いてサイドにも流れられるため、チャルハノールに良質なボールを送ると同時に自身へのパスコースと中央付近のスペースを提供することが出来るわけです。
こうしてチャルハノールは中央に流れて比較的フリーでボールを受けられる頻度が増え、しかもパケタというパスの受け手としても優秀な存在が近くにいることで得意のパスもより活きるようになったというのが好調の原因だと考えています。
ちなみにこれはパケタの方にも言えることでして、パスの出し手としても受け手としても優れている上に積極的なフリーランもしてくれるチャルハノールがいることで、パケタが流動的に動きやすいという側面は間違いなくあるでしょうね。
最後に、実際のデータを見てみましょう。

上図は先に挙げたリンク先記事でも引用した、トリノ戦(機械採点で最も悪かった試合の1つ)におけるチャルハノールのボールタッチポジションです(右攻め。WhoScoredより)。
中央エリアもといバイタルエリア付近でのタッチ数は少ないことがわかります。

一方こちらは2節前のカリアリ戦におけるチャルハノールのボールタッチポジションです。
はい、一目瞭然ですね(笑)
〇おわりに;CL権獲得のために
以上、パケタがミランにもたらした大きな変化や貢献について僕なりの見解を述べさせていただきました。
まとめると僕の主張は「パケタは持ち前のスキルと流動的な動き、そしてチャルハノールとの相性の良さを活かすことでミランのポゼッション精度を向上させ、その上チャルハノールの復活にも貢献した」と言ったところでしょうか。
今回は特にポゼッション時における彼のパフォーマンスに注目しましたが、他にも守備時の献身性やカウンター時の鋭い縦パスなど褒めたい点はまだまだあります。
既に十分に素晴らしいというのに、これでまだ21歳の成長株ですからね。本当に末恐ろしい選手です。
ミランのCL権獲得のためには、もはや彼は無くてはならない存在となりました。
何としても今季はCL権を獲ってもらい、来シーズンからは世界最高峰の舞台でも躍動するパケタの姿を見たいですね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。