サンプドリア戦マッチレポート ~ミランの組織的課題~ 【コッパ・イタリア ベスト16】
今回は少し趣向を変え、この試合におけるミランの悪かった点をサンプドリアのプレーと引き比べながら列挙していきます(以下の映像引用元はいずれも『Dazn』より)。
スタメン

〇不安定なビルドアップ
サンプドリアの守備は予想通りハイプレスからのリトリート。
ハイプレス時は前線のトップ下+2トップの計3人でミランの2CB+アンカーをマークし、サイドのSBへとボールを誘導。その後、そのSBからボールを受ける選手(主にWG)にもマンツーマンで対処するという形。
こういった守備に対するミランの明確な対応策はついぞ見られず。両インサイドハーフであるパケタとケシエが行方不明になることが多く(特にケシエ)、SBからのパスコースが実質WG1人のため尽くそこを狙われる時間帯が多々ありました。


このシーンはまさに典型ですね。サパタ(ピンク)、アバーテ(紫)、カスティジェホ(赤)と繋ぎますがマークに付かれ、ここで攻撃終了です。
インサイドハーフを下がらせてビルドアップに絡ませたときはちゃんとプレスを躱せるシーンもあっただけに、なぜこういう形を戦術としてチームに落とし込んでいないのか不可解です。
〇見えない攻撃の形
「縦に速くボールを運び、素早くフィニッシュに繋げる」というサンプドリアの攻撃におけるプレー原則は明確で、そのために「CB―SB間へのパス」や「2トップの一角がサイドに流れ、攻め上がったSBの裏へ素早くボールを蹴り込む」といった明快な攻撃戦術もしっかり用意していました。

例えばこのシーンでは、プラート(水)が左SBのリカロド(オレンジ)を引き付け、それにより空いたスペースにクアリャレッラ(青)が入り込んでボールを引き出しています。
さて。ではミランはどうだったかというと、残念ながら僕には彼らのはっきりとした戦術はおろか、どういうサッカーをしたいのかも読み取ることはできませんでした。
普段は「後方からボールを丁寧に繋いでビルドアップする」という戦術コンセプトがあり、そのためにじっくりと(曲がりなりにも)後方でショートパスを繋いでいたと思うのですが、この試合ではプレスをかけられたら割とあっさりロングボールを蹴り込んでいたように思われます。
かといってそのロングボールが意図的かと言われればそうではなく、実際にボールを放り込んでは相手にボールを奪われていました。
これまでも攻撃の形が十分だったわけでは決してないのですが、この試合ではいつも以上に狙いがよくわかりませんでしたね。
〇守備の拙さ
結果的にクリーンシートで終えたこの試合ですが、守備面も相変わらず首をかしげてしまうシーンが散見されました。
まず一番の問題は、ボールの取り所(どこでボールを奪おうとするか)が定まっていないように感じることです。
例えば対戦相手のサンプドリアであれば、前述のようにサイドに誘導してプレスをかけて、その場でボールを奪うか又はロングボールを蹴らせてCBが回収するといった守りの形が存在しました。
しかしミランにはそのような形がないように思われます。

例えばこのシーンではハイプレスをかけるものの、ボールを奪えずにアンカーの脇のスペースを使われ軽々と突破されています(緑;バカヨコ、黄;パケタ、青;ケシエ)。
この試合に限らずこのような場当たり的・即興的なプレーがミランには本当に多いですし、果たして試合前に各試合・対戦相手に応じた戦術指導がなされているのか疑問を覚えてしまいます。
ハイプレスの拙さの他にも、2ライン間が不自然に空いていたり、ボールホルダーへの寄せが甘かったりなどの問題点も挙げられます。
まとめ
結果的には0-2で勝利を収めることが出来たわけですが、戦術的には完敗であったというのが僕の見解です。
おそらく試合を観戦したミラニスタの方も似た感想をお持ちではないかと思われます。
確かに、前半終盤や後半途中からはラインの間延びしてきたサンプドリア相手に何度かチャンスを作りましたが、質・量ともに十分ではありませんでした。
無失点の理由はレイナの卓越したパフォーマンスがあったからですし、得点はクトローネの常人離れした決定力のおかげですしね(アシストした2人も素晴らしかったですが)。
普段は「勝った試合にはあまり文句は言わない」というのが個人的なスタンスなのですが、ウィンターブレイク明けということもあり改善を大いに期待していた試合だったにも関わらずこの出来でしたから、少し不満を吐露させていただきました。
果たしてこのチーム状況でリーグ後半戦に臨み、4位フィニッシュを果たすことができるのでしょうか・・・?
縦に速いサッカーをやれば十分に輝けるメンバーは揃っているだけに、なぜそれをやらないのか理解に苦しみます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
サンプドリアの守備は予想通りハイプレスからのリトリート。
ハイプレス時は前線のトップ下+2トップの計3人でミランの2CB+アンカーをマークし、サイドのSBへとボールを誘導。その後、そのSBからボールを受ける選手(主にWG)にもマンツーマンで対処するという形。
こういった守備に対するミランの明確な対応策はついぞ見られず。両インサイドハーフであるパケタとケシエが行方不明になることが多く(特にケシエ)、SBからのパスコースが実質WG1人のため尽くそこを狙われる時間帯が多々ありました。


このシーンはまさに典型ですね。サパタ(ピンク)、アバーテ(紫)、カスティジェホ(赤)と繋ぎますがマークに付かれ、ここで攻撃終了です。
インサイドハーフを下がらせてビルドアップに絡ませたときはちゃんとプレスを躱せるシーンもあっただけに、なぜこういう形を戦術としてチームに落とし込んでいないのか不可解です。
〇見えない攻撃の形
「縦に速くボールを運び、素早くフィニッシュに繋げる」というサンプドリアの攻撃におけるプレー原則は明確で、そのために「CB―SB間へのパス」や「2トップの一角がサイドに流れ、攻め上がったSBの裏へ素早くボールを蹴り込む」といった明快な攻撃戦術もしっかり用意していました。

例えばこのシーンでは、プラート(水)が左SBのリカロド(オレンジ)を引き付け、それにより空いたスペースにクアリャレッラ(青)が入り込んでボールを引き出しています。
さて。ではミランはどうだったかというと、残念ながら僕には彼らのはっきりとした戦術はおろか、どういうサッカーをしたいのかも読み取ることはできませんでした。
普段は「後方からボールを丁寧に繋いでビルドアップする」という戦術コンセプトがあり、そのためにじっくりと(曲がりなりにも)後方でショートパスを繋いでいたと思うのですが、この試合ではプレスをかけられたら割とあっさりロングボールを蹴り込んでいたように思われます。
かといってそのロングボールが意図的かと言われればそうではなく、実際にボールを放り込んでは相手にボールを奪われていました。
これまでも攻撃の形が十分だったわけでは決してないのですが、この試合ではいつも以上に狙いがよくわかりませんでしたね。
〇守備の拙さ
結果的にクリーンシートで終えたこの試合ですが、守備面も相変わらず首をかしげてしまうシーンが散見されました。
まず一番の問題は、ボールの取り所(どこでボールを奪おうとするか)が定まっていないように感じることです。
例えば対戦相手のサンプドリアであれば、前述のようにサイドに誘導してプレスをかけて、その場でボールを奪うか又はロングボールを蹴らせてCBが回収するといった守りの形が存在しました。
しかしミランにはそのような形がないように思われます。

例えばこのシーンではハイプレスをかけるものの、ボールを奪えずにアンカーの脇のスペースを使われ軽々と突破されています(緑;バカヨコ、黄;パケタ、青;ケシエ)。
この試合に限らずこのような場当たり的・即興的なプレーがミランには本当に多いですし、果たして試合前に各試合・対戦相手に応じた戦術指導がなされているのか疑問を覚えてしまいます。
ハイプレスの拙さの他にも、2ライン間が不自然に空いていたり、ボールホルダーへの寄せが甘かったりなどの問題点も挙げられます。
まとめ
結果的には0-2で勝利を収めることが出来たわけですが、戦術的には完敗であったというのが僕の見解です。
おそらく試合を観戦したミラニスタの方も似た感想をお持ちではないかと思われます。
確かに、前半終盤や後半途中からはラインの間延びしてきたサンプドリア相手に何度かチャンスを作りましたが、質・量ともに十分ではありませんでした。
無失点の理由はレイナの卓越したパフォーマンスがあったからですし、得点はクトローネの常人離れした決定力のおかげですしね(アシストした2人も素晴らしかったですが)。
普段は「勝った試合にはあまり文句は言わない」というのが個人的なスタンスなのですが、ウィンターブレイク明けということもあり改善を大いに期待していた試合だったにも関わらずこの出来でしたから、少し不満を吐露させていただきました。
果たしてこのチーム状況でリーグ後半戦に臨み、4位フィニッシュを果たすことができるのでしょうか・・・?
縦に速いサッカーをやれば十分に輝けるメンバーは揃っているだけに、なぜそれをやらないのか理解に苦しみます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。