【薄氷の勝利】ミラン対フィオレンティーナ【2023-24シーズン・セリエA第13節】

2023-24シーズン・試合フィオレンティーナ戦
今回はセリエA第13節、ミラン対フィオレンティーナのマッチレビューを行います。

スタメン

【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_スタメン
ベースフォーメーション:
ミラン「4-2-3-1」
フィオレンティーナ「4-2-3-1」


ミランのスペースメイク


まずはミランの攻撃(ボール保持)とフィオレンティーナ(ヴィオラ)の守備についてです。

守備時のベースフォーメーションは4-4-2、かつマンツーマン志向の強いプレッシングを基本とするヴィオラに対し、ミランは持ち味とする流動的なポジショニングによって対抗。相手を所定の位置から動かすなどして、フリーの味方やスペースを作り出そうとします。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析1
――シーン1

この点について具体的に見ていくと、まずミランはボトムの基本構造を「2-2」とし、2CBとダブルボランチ(+GK)が中心となって後方からのボール回しを実行。それと同時に両SBが前方にプッシュアップし、両ウイングが中に絞りました。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_ミラン攻撃時平均ポジション_前半
――参考1:この試合前半におけるミランの攻撃時の平均ポジション

ここでポイントの1つになったのがプリシッチです。彼は積極的に中盤に顔を出すことで、後方からパスを引き出し・前進させる重要な役割を遂行。そしてムサ、ラインデルス等と協力し、中盤にてチームの優位性を作り出していく、と。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析2
――シーン2:ポベガが積極的に左サイドに流れ、対面の相手(ゴンサレス)を引っ張ることで中盤へのパスコースを空ける。そこにプリシッチが侵入し、フリーでパスを引き出す


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析3
――シーン3:別の場面。同様にプリシッチが中盤でパスを引き出す


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析4
――ここではアルトゥールが付いているため、プリシッチはドリブルでキープしながら左サイドにアルトゥールを引き付ける


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析5
――その後の場面。プリシッチのキープ(引き付け)により、相手の中盤を手薄にする。ここから中盤での優位性(ダンカン1人に対してムサ、ラインデルスの2人)を活かし、連携による突破を図るプリシッチ


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析6
――その後の場面。ムサ、プリシッチと繋ぎ、最後はフリーのラインデルスへボールが渡る。この後、ラインデルスの仕掛けから決定機が生まれた

そこでヴィオラは主にCBクアルタがムサにマンツー気味で付くことで、中盤の数的不利解消を目論みます。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析7
――シーン4:ムサをマークするクアルタ

しかしながら、これ(CBの積極的な縦スライド)を行うことで最終ラインが手薄となり、スペースを利用されるリスクが高まります。また、CBである以上は最終ラインでのプロテクトを優先する状況というのがどうしても生まれるため、中盤のカバーが十分に出来ず後手に回る場面も出てくる、と。

そうしたヴィオラの構造的弱所をミランはチームとしてしっかり認識していたようで、手薄となった相手最終ラインを継続的に突いていきます。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析8
――シーン5:中盤のムサに付くクアルタ。ここでメニャンは手薄となった最終ラインを狙い、右サイド前方のカラブリア(※画面外)に正確なロングパスを通す


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析9
――その後の場面。左SBのビラーギがクアルタのカバー(とチュクウェゼのマーク)のため大きく内に絞ることで、同アウトサイドには大きなスペースが残される。そこへ侵入したカラブリアがボールを受け、一気にボールを前進させた


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析10
――シーン6:別の場面。当初クアルタはムサをマークしていたものの、ムサがサイドに流れたことで帰陣する。これによりムサがフリーとなり、同時にクアルタの背後のスペースへとチュクウェゼが鋭く動き出す


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析11
――その後の場面。クアルタの帰陣より先にチュクウェゼが最終ラインのギャップを突き、ムサからスルーパスを引き出して惜しい形を作り出した


すると前半終了間際、ミランはプリシッチのプレーを起点に中盤でフリーとなったムサがボールを受け、ヨビッチ、テオと繋いでゴール前に侵入。後手に回ったヴィオラ守備陣が最終的にテオをエリア内で倒したため、ミランがPKを獲得しました。
そして47分にテオが自らそのPKをモノにし、この試合の決勝点をゲットしています。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析12
――シーン7:PK獲得までの流れについて。例によってプリシッチが中盤で引き出し、ドリブルキープから相手を左サイドに引き付ける


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析13
――その後の場面。ボールは再びトモリの下へ。ここで、逆サイド側ではムサがライン間で待ち受けており、パスを引き出す。そこにやや遅れてクアルタが対応


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析14
――その後の場面。少しの時間的余裕を得たムサはクアルタを躱し、ボールは前方のヨビッチへと渡る。クアルタが縦スライドしたことで、相手最終ラインは手薄な状況に


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析15
――その後の場面。ヨビッチがワンタッチでテオにスルーパス。パスを受けたテオがそのままドリブルでボックス内に侵入し、PKを獲得した


ヴィオラの反撃


続いてはミランの守備とヴィオラの攻撃(ボール保持)についてです。

ミランも守備時のベースフォーメーションは4-4-2(4-2-3-1)に設定。ただしこの試合ではヴィオラと比べて第一プレッシャーラインは受動的で、ヨビッチとムサが中盤へのパスコースの監視と相手CBのプレスを基本的に分担します。そのため前線からの圧力はさほどかからず、主にミドルサードで対抗する形が基本となりました。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析16
――シーン8

対する前半のヴィオラは流動的なポジションチェンジでミラン選手たちの釣り出しを図るも、先述の通りいつもより中盤のスペース管理を重視したミランは基本的に当該スペースの利用を許さず。また人数をかけた攻めに対しても、コンパクトな守備で手堅く対応していきました。

するとヴィオラは後半に入りメンバー交代。アルトゥールに代えてロペスを投入し、その役割も変更します。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_ヴィオラ攻撃時平均ポジション_前半
――参考2:この試合「前半」におけるヴィオラの攻撃時の平均ポジション。アルトゥール(6)の平均ポジションは中央


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_ヴィオラ攻撃時平均ポジション_後半
――参考3:この試合「後半」におけるヴィオラの守備時の平均ポジション。ロペス(8)の平均ポジションは右サイド寄り


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析17
――シーン9:ボールを受けるロペス

比較的スペースのあるミランの前線2枚の横にロペスを積極的に流れさせ、フリーでボールを持たせると、そこからサイドを起点に攻め込んでいきました。


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析18
――シーン10:この位置でボールを受けたロペスが、サイドに張るパリージへと的確に展開


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析19
――その後の場面。サイドのスペースに流されたゴンサレスへパリージがパス。これによりトモリをサイドに釣り出し、最終ラインにギャップを生じさせる


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析20
――その後の場面。生じたギャップにはボナベントゥーラが侵入。これによりミランのボランチを引っ張り、バイタルエリアにスペースを生じさせる


【23-24】ミラン対フィオレンティーナ_戦術分析21
――その後の場面。ボールは再びパリージへと渡り、フィニッシュへと繋げた

このようなヴィオラのサイド攻撃にミランは大苦戦。主に左サイドから何度も押し込まれ、主導権を握られることになります。
実際のところ、ヴィオラのボール支配率は前半が約「47%」だったのに対し後半は約「70%」に。更に前半のシュート数は「3本」だったのが後半は「18本」と大幅に増加しました。

ミランはムサを左サイドに回すなどして一応対策めいたことをしましたが大した効果はなく、また前掛かりになったヴィオラの隙を突いていくつか決定機を作るもモノにできず。
結局のところはメニャンがスーパーセーブを披露したことで、何とか失点を喫することなくウノゼロで試合を終えました。

ミラン1-0フィオレンティーナ

雑感


前半の優勢から後半の劣勢…。以前にも「ミランの後半のパフォーマンス」については言及しましたが、この試合も後半に入ってかなりの苦戦を余儀無くされました。

データが示す、ミランの「試合後半の低パフォーマンス」

データが示す、ミランの「試合後半の低パフォーマンス」

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今回は何とか薄氷の勝利を得られたとはいえ、継続的に勝ち点を積み上げていくためには早急に改善が求められる部分でしょう。

尤も、現在の苦しいチーム状況を考慮すると難敵ヴィオラに勝てただけ御の字といえますし、リーグ戦5試合ぶりの勝利ということで、ここからまた勢いに乗っていきたいですね。

Forza Milan!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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