ボヌッチとモントリーボの件に見る、「功労者問題」について
ボヌッチの怒り
長年ユベントスにて在籍・活躍し、ミランでも1シーズンだけプレーしたことのあるレオナルド・ボヌッチ。
そんな彼が今夏にユベントスを退団したことは広く知られていると思いますが、どうやら退団の経緯に関し、本人にとって腹に据えかねるものがあったようです。
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ボヌッチ本人の言い分によると、退団に至るまでのユベントス側からの仕打ちに敬意が欠けていたとのこと。具体的には戦力外通知を突然に告げられたことや、その後にチームトレーニングや練習施設から除外されたことに大きな不満を感じているそうです。
そこで彼はクラブを相手取って訴訟を起こし、損害賠償を請求しました。
モントリーボのコメント
この件の是非ついて、同じくかつてミランのカピターノを務めたことのあるモントリーボが興味深いコメントを残しているため、続いてはそちらに言及させてもらいます。
私がミランに在籍していたとき、ボヌッチと同じようなことがあった。そこには不誠実な監督(ガットゥーゾ)がいて、私に直接伝えることもなく、悪意を持って私をチームから除外したんだ。チームのために私は犠牲になった。だから私はボヌッチを責めるつもりはないし、彼の反応も理解できる。しかし、勝者のいない辛い戦いになるだろう――MilanNews
ミランでのラストシーズンにして現役最後となった2018-19シーズン、モントリーボはガットゥーゾ監督の下で1分の出場時間も与えられることはありませんでした。
僕個人の印象としては、能力的・戦術的な観点からガットゥーゾが彼を重視しなかったことは理解できましたし、起用しない判断自体が間違っていたとは思いません。
ただし、その方式が適切だったかどうかという点については疑問の余地があります。今回の内容も含むこれまでのモントリーボのコメントを信じるなら、ガットゥーゾはモントリーボに対し起用しない理由を一切説明しなかったとされており、一時期はチーム練習からも外していました。
これはボヌッチの件にも言えることですが、やはり長年クラブに在籍した功労者に対しては一般的に然るべき待遇がなされるべきところ、加齢によるパフォーマンスの低下や戦力事情とのバランスをどう取っていくかはかなりデリケートな問題といえます。選手・クラブ双方が共に納得のいく形で関係を維持ないし解消出来れば良いのですが、さもなくば強硬策を採るなどして関係を悪化させるリスクが高まるわけで、そうなると退団後に功労者が不満を吐露するような流れになり易い、と。ファンとしてはなるべくそういう話は聞きたくないものです。
今回のような闘争について、「勝者のいない戦い」というモントリーボの表現は的を射ていると思います。そのため今回のようなボヌッチの一件は、「敗者」を出来るだけ減らせるよう早期決着が望まれるのではないでしょうか。