今季前半戦 4-3-1-2はなぜ失敗したのか② ~センターラインの不調和と連動性の乏しさ~
前回の記事では、4-3-1-2システムを機能させる上で必要不可欠な選手と戦術的要素を取り上げました。
今回は、今季前半戦のミランの4-3-1-2がなぜ機能しなかったのかを書いていきます。
今回は、今季前半戦のミランの4-3-1-2がなぜ機能しなかったのかを書いていきます。
以下の図は、前半戦に行われたナポリ戦におけるミランのスタメンです。

ロマニョーリの代わりにエリーが起用されていますが、大体は前半戦のベストメンバーです。
具体的にどこがいけなかったのか説明します。
■トップ下
4-3-1-2のトップ下に求められるタスクは一般的に
①前を向き、前線にボールを運ぶ
②2トップにラストパスを供給
③2トップとのコンビネーションで中央を突破
それに加え、ミランの2トップの組み合わせがバッカとアドリアーノなので
④ボールをキープし、チーム全体を押し上げる。
以上の4つが主なタスクなわけですが、ボナベンは①の役割しかこなすことはできませんでした。
ボナベンはパス精度自体は高いものの、「どのタイミングで」「どこに」パスを出すかといった判断力(当ブログではこの能力を「戦術的インテリジェンス」という言葉でたびたび表現しています)が低いためラストパスをだすのは上手くありませんし(=②ができない)、同じ理由により球離れもよくないので囲まれて潰されるシーンも散見されましたね(=④ができない)。
では本田はどうだったかというと、コンディションが悪かったこともあり、どのタスクも十分にこなせていませんでした。
ただし強調しておきたいのは、連動性や運動量に乏しい当時のミランでトップ下を完璧に務められる選手はほぼいないといっていいでしょう(それこそ全盛期のカカレベルの選手が必要)。
特に本田はイタリアメディアから酷いバッシングを特に受けていましたが、低評価は仕方ないにしてもあそこまで叩かれるのは不当でしたね。
■アンカー
先日の記事で、「中盤における戦術的インテリジェンスに優れた選手(≒司令塔)」が4-3-1-2でポゼッションサッカーをするには不可欠だと書きました。
ミランでその役割を担ったのはモントリーボ(以下リッカ)。
しかし、これはよく誤解されいることですが、リッカはアンカー(司令塔)タイプではありません。
「エレガント」とも形容されるボールの持ち方や、頻繁にロングパスを用いるプレースタイルなこともあり、いかにも司令塔のように見えます。が、厳しい言い方かもしれませんがそれはあくまでも見てくれだけです。
彼もボナベンと同様パスの判断が悪い。高精度のロングパス精度は持っていても、肝心の、それを用いるべきタイミングを計る能力が低いわけです(すなわち、戦術的インテリジェンスに優れていない)。
アンカーに求められるのは何よりも試合の展開を読み、適切なタイミングで適切なパスを送り出す能力と、的確なポジショニングで相手の攻撃の芽を摘み取ることですが、リッカはそのどちらの能力も低いと言わざるを得ません。
しかも当時の彼は軽率なパスミスも多く運動量も少ないという、思わず辟易してしまうパフォーマンスを見せていました。
ボール回しのテンポ、リズムを司るアンカーがこの出来ではチームが機能不全に陥るのも無理はありません。
■連動性
先ほども少し触れましたが、当時のミランはチーム全体に動きが少なく連動性に欠きました。アンカーが機能していないので必然ではありますが・・・。
連動性に欠けば、得点を取るための方法は個人能力に大きく依存することになります。格下の相手には辛うじて何とかなっても強豪にはまず通用しません(ヴィオラ、インテル、ナポリ、ユーヴェに負けたのがその証左です)。
この問題に関しては監督であるミハに責任があるでしょう。しかし会長にシステムを指示されたことや、新加入選手が多く適切なバランスを見出すのに苦労したことなどを考慮すれば同情の余地は大いにありますね。
実際、会長の指示を無視し始めてからは守備組織の練度を向上させ、安定感のあるチームに仕上げましたからね。ただしその無視のせいで続投のためのハードルが相当上がったみたいですが・・・。
以上の3点が、4-3-1-2システムが失敗した主要な理由ですね。
もし夏の移籍市場でイブラヒモビッチとヴィツェルを噂通り獲得できていれば、4-3-1-2システムが機能し、CL権どころかスクデット争いも十分可能だったと思いますが・・・たらればをいっても仕方ないですね(笑)
最後に。今回の記事では、取り上げる話題が話題でしたのでボナベン、リッカの欠点を中心に書きましたが、別に彼らが嫌いというわけではなく、むしろ好きです(ミランに嫌いな選手はいません!笑)。今のシステムでは2人とも重要な選手ですし、特に後半戦のリッカは運動量・安定感ともに前半戦とは見違えるパフォーマンスを見せていますからね。
もし不快にさせてしまったのなら申し訳ございません。しかし、決して中傷目的で書いたわけではないことをご理解いただけたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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ロマニョーリの代わりにエリーが起用されていますが、大体は前半戦のベストメンバーです。
具体的にどこがいけなかったのか説明します。
■トップ下
4-3-1-2のトップ下に求められるタスクは一般的に
①前を向き、前線にボールを運ぶ
②2トップにラストパスを供給
③2トップとのコンビネーションで中央を突破
それに加え、ミランの2トップの組み合わせがバッカとアドリアーノなので
④ボールをキープし、チーム全体を押し上げる。
以上の4つが主なタスクなわけですが、ボナベンは①の役割しかこなすことはできませんでした。
ボナベンはパス精度自体は高いものの、「どのタイミングで」「どこに」パスを出すかといった判断力(当ブログではこの能力を「戦術的インテリジェンス」という言葉でたびたび表現しています)が低いためラストパスをだすのは上手くありませんし(=②ができない)、同じ理由により球離れもよくないので囲まれて潰されるシーンも散見されましたね(=④ができない)。
では本田はどうだったかというと、コンディションが悪かったこともあり、どのタスクも十分にこなせていませんでした。
ただし強調しておきたいのは、連動性や運動量に乏しい当時のミランでトップ下を完璧に務められる選手はほぼいないといっていいでしょう(それこそ全盛期のカカレベルの選手が必要)。
特に本田はイタリアメディアから酷いバッシングを特に受けていましたが、低評価は仕方ないにしてもあそこまで叩かれるのは不当でしたね。
■アンカー
先日の記事で、「中盤における戦術的インテリジェンスに優れた選手(≒司令塔)」が4-3-1-2でポゼッションサッカーをするには不可欠だと書きました。
ミランでその役割を担ったのはモントリーボ(以下リッカ)。
しかし、これはよく誤解されいることですが、リッカはアンカー(司令塔)タイプではありません。
「エレガント」とも形容されるボールの持ち方や、頻繁にロングパスを用いるプレースタイルなこともあり、いかにも司令塔のように見えます。が、厳しい言い方かもしれませんがそれはあくまでも見てくれだけです。
彼もボナベンと同様パスの判断が悪い。高精度のロングパス精度は持っていても、肝心の、それを用いるべきタイミングを計る能力が低いわけです(すなわち、戦術的インテリジェンスに優れていない)。
アンカーに求められるのは何よりも試合の展開を読み、適切なタイミングで適切なパスを送り出す能力と、的確なポジショニングで相手の攻撃の芽を摘み取ることですが、リッカはそのどちらの能力も低いと言わざるを得ません。
しかも当時の彼は軽率なパスミスも多く運動量も少ないという、思わず辟易してしまうパフォーマンスを見せていました。
ボール回しのテンポ、リズムを司るアンカーがこの出来ではチームが機能不全に陥るのも無理はありません。
■連動性
先ほども少し触れましたが、当時のミランはチーム全体に動きが少なく連動性に欠きました。アンカーが機能していないので必然ではありますが・・・。
連動性に欠けば、得点を取るための方法は個人能力に大きく依存することになります。格下の相手には辛うじて何とかなっても強豪にはまず通用しません(ヴィオラ、インテル、ナポリ、ユーヴェに負けたのがその証左です)。
この問題に関しては監督であるミハに責任があるでしょう。しかし会長にシステムを指示されたことや、新加入選手が多く適切なバランスを見出すのに苦労したことなどを考慮すれば同情の余地は大いにありますね。
実際、会長の指示を無視し始めてからは守備組織の練度を向上させ、安定感のあるチームに仕上げましたからね。ただしその無視のせいで続投のためのハードルが相当上がったみたいですが・・・。
以上の3点が、4-3-1-2システムが失敗した主要な理由ですね。
もし夏の移籍市場でイブラヒモビッチとヴィツェルを噂通り獲得できていれば、4-3-1-2システムが機能し、CL権どころかスクデット争いも十分可能だったと思いますが・・・たらればをいっても仕方ないですね(笑)
最後に。今回の記事では、取り上げる話題が話題でしたのでボナベン、リッカの欠点を中心に書きましたが、別に彼らが嫌いというわけではなく、むしろ好きです(ミランに嫌いな選手はいません!笑)。今のシステムでは2人とも重要な選手ですし、特に後半戦のリッカは運動量・安定感ともに前半戦とは見違えるパフォーマンスを見せていますからね。
もし不快にさせてしまったのなら申し訳ございません。しかし、決して中傷目的で書いたわけではないことをご理解いただけたらと思います。
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