マリック・チャウの攻撃的センスについて~積極的なプレースタイル~
今回は、マリック・チャウ(ティアウ)の攻撃的センスについてです。
チャウ(ティアウ)のプレースタイルを構成する重要な要素の1つに、ボール保持時の積極性が挙げられます。
今年2月に怪我人やシステム変更の影響を受け、ようやく出場機会を貰えるようになった彼はまず守備面で手堅いパフォーマンスを見せ、監督から一定の信用を掴むようになりました。
そして、出場数を重ねていくにつれて攻撃時にも積極的なプレー選択を行えるようになり、今ではチームのCB陣の中でボール保持時の実質的な貢献度は随一と呼べるほどになっています。
それでは具体的に、そうしたチャウの積極性がどのようにプレーに表れているか見ていきます。
・縦パス
積極的なプレー選択
チャウ(ティアウ)のプレースタイルを構成する重要な要素の1つに、ボール保持時の積極性が挙げられます。
今年2月に怪我人やシステム変更の影響を受け、ようやく出場機会を貰えるようになった彼はまず守備面で手堅いパフォーマンスを見せ、監督から一定の信用を掴むようになりました。
そして、出場数を重ねていくにつれて攻撃時にも積極的なプレー選択を行えるようになり、今ではチームのCB陣の中でボール保持時の実質的な貢献度は随一と呼べるほどになっています。
プレースタイル
それでは具体的に、そうしたチャウの積極性がどのようにプレーに表れているか見ていきます。
・縦パス
例えば先日のリーグ最終節ヴェローナ戦では、ガッツリと引いて守ってきた相手に対してチャウの縦パスが崩しの起点として機能する場面が度々見られました。

――シーン1:右サイドでのパス回しの最中、生じた右サイドのスペースに走り込むブラヒムと、それに合わせてボールを送り込むチャウ

――シーン2:相手PA内に生じしたスペースに走り込むトナーリと、それ合わせてボールを送り込むチャウ

――その後の場面。トナーリからの落としを受けたカラブリアがダイレクトシュート。惜しい形を作り出した
彼のプレーからは静止した味方の足元に送るだけではなく、スペースを認識しながら味方の動き出しに合わせてボールを供給できる優れたビジョンを有していることが窺えますね。
・ドリブル
続いて。ヴェローナ戦の後半では以下のようにドリブルを使った「相手守備組織の揺さぶり」を行い、崩しの起点になっています。

――シーン3:チャウがボールを持つが、前方の選択肢は全てマークされている状態。そこで、チャウは前方のスペースへドリブルを開始

――その後の場面。チャルのドリブルにより相手の注意が引き付けられ、レオン、テオへのマークが甘くなる。そこで、チャウはすかさずレオンにパス

――その後の場面。最終的にテオが前を向き、惜しいシーンを作り出した
前方にドリブルで持ち運べるCBがいると、チームとしての攻撃力も大きく向上します。上掲のようにブロックを作る相手守備をドリブルで揺さぶれればフリーの味方が生じやすくなりますし、それ以外にも被ハイプレスの局面で相手のプレッシャーをドリブルで外せれば、一気に速攻へ移行することも可能です。
今シーズン、チャウがこの手のドリブルを行う機会はそこまで多くはなかったものの、尻上がりに積極性が増していたことを考えると来シーズンはより能動的に崩しに絡んでいけるようになるかもしれません。
・ロングパス
(サイドへの展開)
チャウの攻撃的センスについて、最後にサイドチェンジの正確性にも触れておきたいと思います。
例えば第37節のユベントス戦の後半、組織的な攻め手を欠く中でチャウの左サイドへのロングボール(展開)が1つのポイントになりました。

――シーン4:ユーベが自陣への撤退を始める中、チャウは素早く左サイドへのロングパスを選択

――その後の場面。ボールは左サイドのレオンに渡り、相手の右CBとマッチアップ。この後レオンがドリブルで仕掛けてゴール前まで運び、チャンスを作り出した
ミランの左サイドには最大のストロングポイントであるレオンがおり、右CBの位置から直接レオンにボールを送れるルートが存在する意義は大きいです。
この点、同様のプレーはカルルやトモリには期待できず、唯一ケアーが同様に送ることが出来ますが最近は全体的なパフォーマンスの安定感や継続性が気になるところ。そのため、この部分でもチャウの重要性(希少性)が窺えますね。
今シーズンの新加入選手で唯一チームにフィットし、最終盤にはレギュラーの座を掴んだチャウ。
攻守に有望なパフォーマンスを見るに、これからは彼がチームのディフェンスリーダーを務めてくれるようになるのではないかという期待を早くも抱いてしまうところです。
ただし、来季は相手の警戒が強まる中で1シーズンを通して安定してプレーできるかどうか、すなわち継続性がより求められます。
願わくは加入2年目も不振に陥ることなく、このまま順調に成長していって欲しいですね。
続いて。ヴェローナ戦の後半では以下のようにドリブルを使った「相手守備組織の揺さぶり」を行い、崩しの起点になっています。

――シーン3:チャウがボールを持つが、前方の選択肢は全てマークされている状態。そこで、チャウは前方のスペースへドリブルを開始

――その後の場面。チャルのドリブルにより相手の注意が引き付けられ、レオン、テオへのマークが甘くなる。そこで、チャウはすかさずレオンにパス

――その後の場面。最終的にテオが前を向き、惜しいシーンを作り出した
前方にドリブルで持ち運べるCBがいると、チームとしての攻撃力も大きく向上します。上掲のようにブロックを作る相手守備をドリブルで揺さぶれればフリーの味方が生じやすくなりますし、それ以外にも被ハイプレスの局面で相手のプレッシャーをドリブルで外せれば、一気に速攻へ移行することも可能です。
今シーズン、チャウがこの手のドリブルを行う機会はそこまで多くはなかったものの、尻上がりに積極性が増していたことを考えると来シーズンはより能動的に崩しに絡んでいけるようになるかもしれません。