【ありがとう、イブラヒモビッチ】ミラン対ヴェローナ【2022-23シーズン・セリエA第38節】
今回はセリエA第38節、ミラン対ヴェローナのマッチレビューを行います。
スタメン

ベースフォーメーション:
ミラン「4-2-3-1」
ヴェローナ「5-3-2」
ぶっちゃけ今回書きたかったのは最後のイブラに関するトピックだけなのですが、一応レビュー記事なので試合内容にも触れておきます。
前半のヴェローナはガッツリと引いて守り、まずはゴール前を固めて失点しないことを最優先に試合に臨んできました。
こういう状況になるとミランにとっては明確な有効打なしという事で、いつも通り組織的なクオリティに欠ける拙攻が続きます。

――シーン1:相変わらず左サイドの配置バランスが不十分なミラン。その結果レオンが左アウトサイドに張っても良い形で中々ボールを供給できない(ここでは前方への選択肢がないため、相手の右WBにべったりマークに付かれている)

――シーン2:痺れを切らしたレオンが積極的に中央に侵入していくようになる。よくある流れ
この問題点については前回のユベントス戦マッチレビュー記事にて詳述したため、これ以上は割愛します。

そこで今回はクルニッチやジルーが気を利かせて動き、何度か左サイドから即興的なコンビネーションにより惜しいシーンを作り出していきました。

――シーン2:クルニッチが左サイドに流れ、トナーリ、テオとコンビネーションプレー。ここでテオが前方に飛び出す

――その後の場面。クルニッチからパスを受けたテオはそのまま仕掛け、ゴール前に侵入していった
また、ヴェローナが相当ガッツリと引いて守ったことで、ミランとしては相手PA付近までは労せずに運び、相手を押し込めます。そのため被カウンターのリスクも低く、一方的に攻め込むことが出来る状況でした(※この試合のミランのボール支配率は「79%」、前半に至っては約「83%」を記録)。
したがって(あまり効果的ではないにせよ)相手PA内へとボールを運ぶ機会も多く、その結果44分。ブラヒムがエリア内で倒されてPKを獲得します。
そのPKをジルーがモノにし、ミランが前半の内に何とか先制点を奪うことが出来ました。
ビハインドとなったヴェローナは後半になるとラインを上げ、前からの圧力を強めますがプレッシングはまるで洗練されておらず、GKを積極的に絡めたミランの後方からのビルドアップによって次々と回避されていきます。
ミランとしてはヴェローナが後方スペースを空けるようになったことで前半よりも攻め易くなり、惜しい形も作り出しますが例によってファイナルサードの精度を欠いてしまう、と。
一方のヴェローナも防戦一方だった前半よりアグレッシブになったことでチャンスも作ることが出来るようになり、56分にはカウンターから裏に抜け出して決定機を迎えます。が、そこはGKメニャンのスーパーな飛び出しにより防がれました。
そんな中、スコアが動いたのは72分。選手交代直後のミランの隙を突いたヴェローナがサイドからエリア内に侵入し、最後はファラオーニが頭でねじ込んで同点弾の奪取に成功。。
これまでの対プロヴィンチャなら引き分けでも何ら不思議のない試合展開でしたが、幸いにも今日はレオンの日でした。
85分。レオンが自らドリブルで持ち運びミドルシュートを決めて勝ち越し点を奪うと、92分にもカウンターから冷静にGKを躱してネットに流し込こんでトドメの3点目をゲット。
レオンの無双により、最終節を無事勝利で終えることが出来ました。
ミラン3-1ヴェローナ
攻撃時の組織的クオリティの低さ、決定力不足、クロス&ヘディングによる失点、レオン無双…。今季のピオリ・ミランの特徴がギュッと詰まった一戦でした。
試合内容はともかく、イブラの花道を勝利で飾れたというのは本当に良かったですし、また今回の勝利により合計勝ち点も何とか「70」に到達。見栄えという部分で大きな一勝だったのではないでしょうか。
選手補強や戦術のアップデートを筆頭に今後やるべきことは山積みですが、とりあえずは2022-23シーズンも閉幕したという事で、来季に向けて英気を養ってもらいたいと思います。
2023-24シーズンは大きくレベルアップしたミランが見られると良いですね。
Forza Milan!
イブラヒモビッチ引退
最後に、ズラタン・イブラヒモビッチについてです。
この試合前から既に今シーズン限りでのミラン退団が決定的とされていましたが、現役続行の有無については不透明でありました。
するとイブラは試合後のセレモニーにて、感動的なスピーチの中で自らの現役引退を表明しています。
2020年から3年半イブラのパフォーマンスやフィジカルコンディションを見続けてきた者として、「この時」が来ることは想像の範囲内ではありました。が、それでもやはり実際に目の当たりにすると、言いようのない感情がこみ上げてきます。
思えば、自分の小遣いで初めて買ったユニホームは2010-11シーズンのイブラヒモビッチ(11番)でした。それまで家族に買ってもらったカカを始めとするユニホームとは異なる思い入れを抱き、普段着として頻繁に着用していたのを覚えています。
あれから10年以上の歳月が経ち、紆余曲折ありながらも最終的にイブラがミランでスパイクを脱ぐ瞬間を見届けられたのはやはり嬉しいことなのかなと。もちろん彼のプレーがこれから見られなくなる寂しさもありますが、大好きな選手が大好きなクラブで現役を終える尊さを経験できるのは非常に貴重ですしね。
イブラに対してはただただ感謝の気持ちでいっぱいです。2010-11年には煌びやかなチームの絶対的エースとして、2021-22シーズンには若手中心のチームを支える精神的支柱として、ミランに2度のスクデットをもたらしてくれました。
また、彼がピッチ上で見せたプレーの数々には何度も魅了されましたし、サッカーを観る楽しさというのを直感的に教えてくれる真のカンピオーネだったと思います。
後にも先にもこの種の喜びを与えてくれるのはイブラだけですし、一ズラタンファンとしては今後もイブラの活躍を見たいのが本音です。
そこで、いつの日かイブラが再びミランに何らかの形で帰還し、今度もまた選手時代と変わらぬ影響力でチームを勝利に導いてくれることを願います。
Grazie mille, Zlatan!
スタメン

ベースフォーメーション:
ミラン「4-2-3-1」
ヴェローナ「5-3-2」
ぶっちゃけ今回書きたかったのは最後のイブラに関するトピックだけなのですが、一応レビュー記事なので試合内容にも触れておきます。
相変わらずの内容
前半のヴェローナはガッツリと引いて守り、まずはゴール前を固めて失点しないことを最優先に試合に臨んできました。
こういう状況になるとミランにとっては明確な有効打なしという事で、いつも通り組織的なクオリティに欠ける拙攻が続きます。

――シーン1:相変わらず左サイドの配置バランスが不十分なミラン。その結果レオンが左アウトサイドに張っても良い形で中々ボールを供給できない(ここでは前方への選択肢がないため、相手の右WBにべったりマークに付かれている)

――シーン2:痺れを切らしたレオンが積極的に中央に侵入していくようになる。よくある流れ
この問題点については前回のユベントス戦マッチレビュー記事にて詳述したため、これ以上は割愛します。

【3季連続のCL権獲得!】ユベントス対ミラン【2022-23シーズン・セリエA第37節】
※関連記事
そこで今回はクルニッチやジルーが気を利かせて動き、何度か左サイドから即興的なコンビネーションにより惜しいシーンを作り出していきました。

――シーン2:クルニッチが左サイドに流れ、トナーリ、テオとコンビネーションプレー。ここでテオが前方に飛び出す

――その後の場面。クルニッチからパスを受けたテオはそのまま仕掛け、ゴール前に侵入していった
また、ヴェローナが相当ガッツリと引いて守ったことで、ミランとしては相手PA付近までは労せずに運び、相手を押し込めます。そのため被カウンターのリスクも低く、一方的に攻め込むことが出来る状況でした(※この試合のミランのボール支配率は「79%」、前半に至っては約「83%」を記録)。
したがって(あまり効果的ではないにせよ)相手PA内へとボールを運ぶ機会も多く、その結果44分。ブラヒムがエリア内で倒されてPKを獲得します。
そのPKをジルーがモノにし、ミランが前半の内に何とか先制点を奪うことが出来ました。
後半の流れ
ビハインドとなったヴェローナは後半になるとラインを上げ、前からの圧力を強めますがプレッシングはまるで洗練されておらず、GKを積極的に絡めたミランの後方からのビルドアップによって次々と回避されていきます。
ミランとしてはヴェローナが後方スペースを空けるようになったことで前半よりも攻め易くなり、惜しい形も作り出しますが例によってファイナルサードの精度を欠いてしまう、と。
一方のヴェローナも防戦一方だった前半よりアグレッシブになったことでチャンスも作ることが出来るようになり、56分にはカウンターから裏に抜け出して決定機を迎えます。が、そこはGKメニャンのスーパーな飛び出しにより防がれました。
MIKE MAIGNAN pic.twitter.com/I5v7DNhsXk
— أخبـار ميـلان (@Rossoneri_ar) June 4, 2023
そんな中、スコアが動いたのは72分。選手交代直後のミランの隙を突いたヴェローナがサイドからエリア内に侵入し、最後はファラオーニが頭でねじ込んで同点弾の奪取に成功。。
これまでの対プロヴィンチャなら引き分けでも何ら不思議のない試合展開でしたが、幸いにも今日はレオンの日でした。
85分。レオンが自らドリブルで持ち運びミドルシュートを決めて勝ち越し点を奪うと、92分にもカウンターから冷静にGKを躱してネットに流し込こんでトドメの3点目をゲット。
レオンの無双により、最終節を無事勝利で終えることが出来ました。
ミラン3-1ヴェローナ
試合の雑感
攻撃時の組織的クオリティの低さ、決定力不足、クロス&ヘディングによる失点、レオン無双…。今季のピオリ・ミランの特徴がギュッと詰まった一戦でした。
試合内容はともかく、イブラの花道を勝利で飾れたというのは本当に良かったですし、また今回の勝利により合計勝ち点も何とか「70」に到達。見栄えという部分で大きな一勝だったのではないでしょうか。
選手補強や戦術のアップデートを筆頭に今後やるべきことは山積みですが、とりあえずは2022-23シーズンも閉幕したという事で、来季に向けて英気を養ってもらいたいと思います。
2023-24シーズンは大きくレベルアップしたミランが見られると良いですね。
Forza Milan!
イブラヒモビッチ引退
~God Bye Zlatan~
最後に、ズラタン・イブラヒモビッチについてです。
この試合前から既に今シーズン限りでのミラン退団が決定的とされていましたが、現役続行の有無については不透明でありました。
するとイブラは試合後のセレモニーにて、感動的なスピーチの中で自らの現役引退を表明しています。
ここにはたくさんの思い出とたくさんの感動がある。俺が初めてミランに来た時(2010年)、君たちは俺に幸せを、帰ってきた時(2020年)には愛を与えてくれた。家族や俺を支えてくれる全ての人、俺の第二の家族である選手たち、責任を持って俺を信じてくれた監督とスタッフ、俺にチャンスを与えてくれたディレクター、そしてファンの皆に心から感謝したい。君たちが両手を広げて俺を迎えてくれたからくつろぐことが出来た。
俺は生涯ミラニスタであり続ける。サッカーには別れを告げる時が来たが、君たちと別れることはない。幸運に恵まれたらまた会おう。フォルツァ・ミラン、そしてさようなら。
2020年から3年半イブラのパフォーマンスやフィジカルコンディションを見続けてきた者として、「この時」が来ることは想像の範囲内ではありました。が、それでもやはり実際に目の当たりにすると、言いようのない感情がこみ上げてきます。
思えば、自分の小遣いで初めて買ったユニホームは2010-11シーズンのイブラヒモビッチ(11番)でした。それまで家族に買ってもらったカカを始めとするユニホームとは異なる思い入れを抱き、普段着として頻繁に着用していたのを覚えています。
あれから10年以上の歳月が経ち、紆余曲折ありながらも最終的にイブラがミランでスパイクを脱ぐ瞬間を見届けられたのはやはり嬉しいことなのかなと。もちろん彼のプレーがこれから見られなくなる寂しさもありますが、大好きな選手が大好きなクラブで現役を終える尊さを経験できるのは非常に貴重ですしね。
イブラに対してはただただ感謝の気持ちでいっぱいです。2010-11年には煌びやかなチームの絶対的エースとして、2021-22シーズンには若手中心のチームを支える精神的支柱として、ミランに2度のスクデットをもたらしてくれました。
また、彼がピッチ上で見せたプレーの数々には何度も魅了されましたし、サッカーを観る楽しさというのを直感的に教えてくれる真のカンピオーネだったと思います。
後にも先にもこの種の喜びを与えてくれるのはイブラだけですし、一ズラタンファンとしては今後もイブラの活躍を見たいのが本音です。
そこで、いつの日かイブラが再びミランに何らかの形で帰還し、今度もまた選手時代と変わらぬ影響力でチームを勝利に導いてくれることを願います。
Eras end, legends live forever ❤️🖤#SempreMilan pic.twitter.com/PwM5WCEMEm
— AC Milan (@acmilan) June 4, 2023
Grazie mille, Zlatan!