デ・ケテラーレ、苦戦の原因について~なぜ不振に陥ったのか~
今季からミランに加入したシャルル・デ・ケテラーレですが、加入初年度はファンから寄せられた期待に見合うパフォーマンス、結果を示す事が出来ませんでした。
今回はそんな彼の苦戦の原因について、直近最後のスタメン出場となったクレモネーゼ戦を振り返りながら考えていきます。
まずは組織的な問題点についてです。
クレモネーゼ戦のデ・ケテラーレはベースフォーメーション「4-2-3-1」のワントップで先発。ただしその攻撃時の実態は「4-2-4」とも呼べるもので、デ・ケテラーレとブラヒムが中央ライン間でパスを呼び込みつつ相手最終ラインを引き付け、その背後を両サイドアタッカー(オリギ、サレマ)が狙うというのが攻撃の形の1つでした。

――参考1:クレモネーゼ戦前半におけるミランの攻撃時の平均ポジション。デ・ケテラーレ(90)は右ハーフスペース高めの位置が主戦場
そんな彼には自身が囮となり背後にスペースを作り出すプレー以外にも、高い位置でボールを受けて崩しに関与する実質的な貢献が期待されたところ、彼に良い形でボールが入るシーンはほぼ皆無でした。

――シーン1(※右攻め):良い位置に入り込んだデ・ケテラーレ(CDK)に対しカラブリアがパスを送るも、ボールは足元からずれたところへ向かう

――その後の場面。何とかボールをキープするも、体勢が悪いためCBへのバックパスを余儀なくされた
これはシーズン全体を通して見られた傾向といっても過言ではなく、デケテラーレが組織的・戦術的にチームにハマっていないことが窺えます。
その理由については後に述べる「デ・ケテラーレ個人の問題」も大きな比重を占めると思いますが、それ以外にも周囲の選手の技術的問題や、チームとして崩しのイメージが十分に共有されずに連動性に欠けるといった戦術的問題も挙げることが可能でしょう。
続いて、不振の原因としてデ・ケテラーレ個人が抱える課題に言及していきます。
デ・ケテラーレへのネガティブ評の1つに「ピッチでの存在感がない」というものがありますが、要するにそれは「良い形でボールを受けられていない」ことと同義です。
そして、そうした状況は先述の組織的な側面と同等かそれ以上に、デ・ケテラーレ個人の「オフザボール時の動き」に起因していると考えられます。
オフザボール時の動き
今回はそんな彼の苦戦の原因について、直近最後のスタメン出場となったクレモネーゼ戦を振り返りながら考えていきます。
組織的な問題
まずは組織的な問題点についてです。
クレモネーゼ戦のデ・ケテラーレはベースフォーメーション「4-2-3-1」のワントップで先発。ただしその攻撃時の実態は「4-2-4」とも呼べるもので、デ・ケテラーレとブラヒムが中央ライン間でパスを呼び込みつつ相手最終ラインを引き付け、その背後を両サイドアタッカー(オリギ、サレマ)が狙うというのが攻撃の形の1つでした。

――参考1:クレモネーゼ戦前半におけるミランの攻撃時の平均ポジション。デ・ケテラーレ(90)は右ハーフスペース高めの位置が主戦場
そんな彼には自身が囮となり背後にスペースを作り出すプレー以外にも、高い位置でボールを受けて崩しに関与する実質的な貢献が期待されたところ、彼に良い形でボールが入るシーンはほぼ皆無でした。

――シーン1(※右攻め):良い位置に入り込んだデ・ケテラーレ(CDK)に対しカラブリアがパスを送るも、ボールは足元からずれたところへ向かう

――その後の場面。何とかボールをキープするも、体勢が悪いためCBへのバックパスを余儀なくされた
これはシーズン全体を通して見られた傾向といっても過言ではなく、デケテラーレが組織的・戦術的にチームにハマっていないことが窺えます。
その理由については後に述べる「デ・ケテラーレ個人の問題」も大きな比重を占めると思いますが、それ以外にも周囲の選手の技術的問題や、チームとして崩しのイメージが十分に共有されずに連動性に欠けるといった戦術的問題も挙げることが可能でしょう。
個人の問題
続いて、不振の原因としてデ・ケテラーレ個人が抱える課題に言及していきます。
デ・ケテラーレへのネガティブ評の1つに「ピッチでの存在感がない」というものがありますが、要するにそれは「良い形でボールを受けられていない」ことと同義です。
そして、そうした状況は先述の組織的な側面と同等かそれ以上に、デ・ケテラーレ個人の「オフザボール時の動き」に起因していると考えられます。
オフザボール時の動き

――シーン2(※左攻め):右サイドでサレマがボールを持った場面。ここでは相手が同サイドに集まっているため、チームがバックパスによる作り直しを図る中、デ・ケテラーレはサレマへと寄り続ける

――その後の場面。案の定バックパスが選択される
デ・ケテラーレは味方ボールホルダーへと意識が向き過ぎるきらいがあり、特に最近は上掲のようにとにかくボールを受けようとする傾向が強いです。
先述のネガティブな評価(存在感がない)や、監督から出されているらしい指示(「もっとボールに絡め」)を真摯に受け止めてがむしゃらに改善を図ろうとしているのだと推察しますが、効果的とは言い難い状況や位置でボールを呼び込もうとしても中々パスはもらえません。

――シーン3:ボランチがフリーで前を向いた場面。ここではチームが右サイドからボールを前進させる一方、デ・ケテラーレは中央に移動し、難しい位置でパスを引き出そうとする

――その後の場面。右サイドへとボールが動く中、デ・ケテラーレは中央に移動していたため同サイド側でパスコースを作ることが出来ず
そしてボールホルダーからの受け手としての動きに集中し過ぎることで、「3人目の動き」の意識が希薄となります。その結果チームのパス回しの中でどうしてもポジショニングや判断が遅れがちになり、良い位置でボールを受けられそうな状況を自ら潰してしまっている、と。

――シーン:右アウトサイドでフリーのサレマへ、ティアウからロングパスが通る。一方、デ・ケテラーレはティアウからのパスを貰う事に集中し、実際のサレマへのパスに対し反応が遅れる

――その後の場面。サレマがサイドで1対1を迎える。個の打開力に欠ける彼には周囲のサポート(パスコース)がより求められるが、デ・ケテラーレによるサポートは遅れており、結果的にチャンスシーンには至らなかった
ここでもしデ・ケテラーレがティアウからサレマへのパスの可能性を俊敏に察知し、その後の受け手として意識を切り替え素早く動き出せるならば、前線でもっと良いポジションを取ることができます。そこからクロスに備えてゴール前に飛び込むにせよ、ニアゾーンに侵入しパスを引き出して連係プレーを行うにせよ、チャンスに絡める状況を作り出せたでしょう。
味方ボールホルダーへの過度の意識の集中と、それに伴う周囲との連動意識・判断スピードの欠如。
現在のデ・ケテラーレが抱える(オフザボール時の)技術的問題はこのようにまとめられると僕は思います。
メンタル面
もう一つの深刻な個人的問題点として、やはり「メンタル面」を挙げないわけにはいきません。
先発デビュー戦でアシストを記録して以降は一貫して結果(ゴール・アシスト)を出せなかったデケテラーレですが、それでもシーズン当初はボールを持てば多くのチャンスメイクを行っていました。実際、年明けくらいまではチャンスクリエイトの数でリーグトップクラスの数値を記録していたかと思います。
しかし、最近はオンザボール時のプレーも良くありません。
ボールを受けても相手との接触を恐れているかのような消極的プレーが随所に見られ、また先述したように焦りから視野が狭まっているのか、プレー判断や精度も低くなりがちです。

――第36節サンプドリア戦の一場面。カウンターからゴール前のデ・ケテラーレへと良い形でボールが渡る

――その後の場面。ボールを受けたデ・ケテラーレにサンプドリア守備陣が注意を向ける中、レオンの前方にスペースが空く。そこにパスを出せれば決定機に繋がる可能性は高く、本来のデ・ケテラーレの実力であれば十分に選択可能なプレー

――その後の場面。しかしデ・ケテラーレはトラップやそのあとの反応が鈍く、パスを出す前に相手に寄せられてボールロストした
以前には出来ていたはずのプレーも出来なくなっている理由…。デ・ケテラーレの場合はやはり結果が出ないことでプレッシャーに呑まれ、メンタル延いてはプレーに大きな悪影響を及ぼしてしまったからとしか思えません。
もしもシーズン序盤に然るべき結果が出ていれば、ここまで袋小路に迷い込むことはなかったのではないでしょうか。
おわりに
今シーズン初め、僕は多分ミラニスタの中でもトップクラスにデ・ケテラーレに期待していたので、まさか今こんな記事を書くはめになるなんて思いもよりませんでした。
来季こそはミランでの大活躍に期待!とハッキリ言い切りたいところですが、ここまでの不振に陥ってしまった以上はそこまで楽観視することは出来ません。
この点、当時ミランへの適応に同じく苦戦したレオン、トナーリの1年目を根拠にデ・ケテラーレも心配なしとする意見(報道)がありますが、思うにレオンは1年目からポテンシャルの高さを断続的ながらもっと披露していましたし、トナーリもシーズンを経るごとに少しずつではありますがポジティブな兆候を見せていました。
要するにデ・ケテラーレのケースは前2者よりも複雑といえ、しかもこういうタイプへの指導が不得手に見えるピオリが来季も続投濃厚ということで、個人的にはポジティブに考えることは難しいです。
もちろん、本心ではデ・ケテラーレがミランに残留して来季に大活躍することを期待したいですし、今季初めの予測を外したので今度も予測が外れてくれるんじゃないかという自分でも良く分からない考えに縋っています。
何にせよ来季の挽回に向けて特に重要になるのが「デ・ケテラーレのメンタル」だと思うので、今季の経験を糧に、今一度気持ちを切り替えつつ強い意思で新シーズンに臨んで欲しいですね。
またそのためにも、今シーズン最後の試合(ヴェローナ戦)にて何とか結果を出し、出来るだけ良い形でシーズンを締めくくってもらいたいと思います。
もう一つの深刻な個人的問題点として、やはり「メンタル面」を挙げないわけにはいきません。
先発デビュー戦でアシストを記録して以降は一貫して結果(ゴール・アシスト)を出せなかったデケテラーレですが、それでもシーズン当初はボールを持てば多くのチャンスメイクを行っていました。実際、年明けくらいまではチャンスクリエイトの数でリーグトップクラスの数値を記録していたかと思います。
しかし、最近はオンザボール時のプレーも良くありません。
ボールを受けても相手との接触を恐れているかのような消極的プレーが随所に見られ、また先述したように焦りから視野が狭まっているのか、プレー判断や精度も低くなりがちです。

――第36節サンプドリア戦の一場面。カウンターからゴール前のデ・ケテラーレへと良い形でボールが渡る

――その後の場面。ボールを受けたデ・ケテラーレにサンプドリア守備陣が注意を向ける中、レオンの前方にスペースが空く。そこにパスを出せれば決定機に繋がる可能性は高く、本来のデ・ケテラーレの実力であれば十分に選択可能なプレー

――その後の場面。しかしデ・ケテラーレはトラップやそのあとの反応が鈍く、パスを出す前に相手に寄せられてボールロストした
以前には出来ていたはずのプレーも出来なくなっている理由…。デ・ケテラーレの場合はやはり結果が出ないことでプレッシャーに呑まれ、メンタル延いてはプレーに大きな悪影響を及ぼしてしまったからとしか思えません。
もしもシーズン序盤に然るべき結果が出ていれば、ここまで袋小路に迷い込むことはなかったのではないでしょうか。
おわりに
今シーズン初め、僕は多分ミラニスタの中でもトップクラスにデ・ケテラーレに期待していたので、まさか今こんな記事を書くはめになるなんて思いもよりませんでした。
来季こそはミランでの大活躍に期待!とハッキリ言い切りたいところですが、ここまでの不振に陥ってしまった以上はそこまで楽観視することは出来ません。
この点、当時ミランへの適応に同じく苦戦したレオン、トナーリの1年目を根拠にデ・ケテラーレも心配なしとする意見(報道)がありますが、思うにレオンは1年目からポテンシャルの高さを断続的ながらもっと披露していましたし、トナーリもシーズンを経るごとに少しずつではありますがポジティブな兆候を見せていました。
要するにデ・ケテラーレのケースは前2者よりも複雑といえ、しかもこういうタイプへの指導が不得手に見えるピオリが来季も続投濃厚ということで、個人的にはポジティブに考えることは難しいです。
もちろん、本心ではデ・ケテラーレがミランに残留して来季に大活躍することを期待したいですし、今季初めの予測を外したので今度も予測が外れてくれるんじゃないかという自分でも良く分からない考えに縋っています。
何にせよ来季の挽回に向けて特に重要になるのが「デ・ケテラーレのメンタル」だと思うので、今季の経験を糧に、今一度気持ちを切り替えつつ強い意思で新シーズンに臨んで欲しいですね。
またそのためにも、今シーズン最後の試合(ヴェローナ戦)にて何とか結果を出し、出来るだけ良い形でシーズンを締めくくってもらいたいと思います。