今季前半戦 4-3-1-2はなぜ失敗したのか① ~4-3-1-2システムを機能させるには~

ベルルスコーニ会長が何より好む「4-3-1-2」システム。

今季のミランはこのフォーメーションで開幕戦を迎えヴィオラに0-2の完敗。その後も4-3-1-2システムで勝ったり負けたりと安定感のない試合を続けていましたが、ナポリに0-4の大敗を喫したことでついにシステムを変更。

最終的には中盤フラットの4-4-2システムに落ち着き、安定感を取り戻したミラン。後半戦ではヴィオラに2-0の完勝。さらに敵地ナポリ戦で1-1の引き分けに持ち込むなど、内容・結果ともに前半戦とは大きく変わりました。。


ところで、なぜ4-3-1-2システムは失敗に終わったのでしょうか?


今回と次回の2回に渡ってその理由に迫っていきたいと思います。


まず、4-3-1-2システムと一口に言いましても、目指すサッカーによっては用いるべき選手も戦術も変わってきます(これはどのシステムにも言えることですが)ので、ミランがどのようなサッカーを志向していたのかを明らかにしなければなりません。

それは一言でいえば「ポゼッションサッカー」。ベルルスコーニ会長風にいえば「試合を支配し、美しく勝つ勝者のサッカー」といったところでしょうか。


4-3-1-2で効果的なポゼッションサッカーを展開しようとすれば、以下の特長を備えた選手が必要不可欠でしょう。(あくまで「必要不可欠」な選手。その選手がいてもシステムが機能するかどうかは他のメンバーとの兼ね合いもあるので保証できない)


中盤における戦術的インテリジェンス(パスの判断や試合の流れを読む力など)に優れた選手

代表例は元ミランのピルロ、ローマのデ・ロッシ、バルセロナのブスケッツなど。


ボールを前に運べるテクニカルな中盤の選手(運ぶ方法はドリブルでもパスでも構わない)

代表例はレアルマドリーのモドリッチ、バルセロナのイニエスタシャビなど。


(※代表例に挙げたのは超一流の選手達ですから、当然彼らほどの実力を備えている必要は全くありません)


①はポゼッションサッカーを基本とする場合はどのチーム・システムでも必要とされるでしょう。


②は「相手のライン間でプレーできる選手」といってもいいかもしれません。システムによっては不可欠な存在ではないでしょうが4-3-1-2では必要です。



以上の選手のほかに、システムが機能するために必要な戦術的要素が2つほどあります。


攻撃において流動性が確保されているか

流動性のない4-3-1-2はさほど怖くありません。前線と中盤が連動して上がったり下がったりを繰り返し、相手のディフェンスをかく乱することこそが4-3-1-2の真骨頂でしょう。


カウンターに備え、守備陣が適切なポジショニングをとれているか

流動的な攻撃を展開するということは、選手が所定の位置を離れやすいということ。ポジションがバラバラかつ、守備陣(というよりはボールの後ろにいる選手)が適切なポジショングをとれていないときにボールを奪われカウンターを仕掛けられたらひとたまりもないでしょう。

4-3-1-2システムを採用して失敗するチームの大半は、❷ができていません。




ここまで、ポゼッション型4-3-1-2を機能させるために要求される選手と戦術的要素を見てきました。


いよいよ次回、今季序盤のミランが4-3-1-2で失敗した理由を見ていきます。




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