ネスタが語る「ユーロダービー」
かつて「ユーロダービー」とも称されたこの舞台での両チームの一戦は2005年以来となり、準決勝での対戦となると2003年まで遡ります。
そんな試合をかつて経験したレジェンドの1人、アレッサンドロ・ネスタ氏が当時と今回のユーロダービーについて自身の経験と見解を語りました。
2003年のユーロダービーについて
一言で評するなら「緊張感」だ。当時ミランに加入したばかりの私にとって、ミランと共に人生を歩んできた他のチームメイトと比べれば実感は少なかったかもしれない。でも心理的なレベルでとても大変な1週間だったよ。
当時のアンブロジーニとガットゥーゾは調子が悪かった。普段はいつも笑っていたりジョークを飛ばしたりする彼らが、その時ばかりは無口でね。一方でピルロはいつも通り何を考えているか分からなかった。それとマルディーニは落ち着いているように見えたな。もしキャプテンである彼が動揺していたら、他の選手たちがパニックになっていただろうからね。
当時の試合で重要な場面を振り返ると、まず1つ目はファーストレグに0-0で引き分けた後、セカンドレグのアウェーでシェフチェンコが先制ゴールを決めたことだ。ボックス内でコルドバのタックルを躱したシェバが飛び出してきたトルドから得点を奪い、試合の均衡を破った。重要な試合でゴールを決められる選手がチームにいることを知っていたから、実は私は落ち着いていたんだ。その1人がシェバだった。
2つ目の重要な場面はオバ・マーティンスによる同点弾だ。マルディーニを越えるスローインが入り、もう一方がポジションを制して点を決めた。私たちが主導権を握っていただけに、正直あのゴールを許すとは思っていなかったよ。
決勝進出を決めた後はしばらく静寂があった。私はロッカールームに戻り、30分ほどリラックスしながら座っていた。まるで歯医者に行って心配で緊張していた人が、歯が抜けて痛みがなくなってからやっと緊張がほぐれるような感じでね。
その後、私たちは大声で祝杯をあげた。インテルを蹴り出し、ミランにとっても久々のCL決勝でプレーすることになったんだ。
――当時の試合(セカンドレグ)のハイライト映像
今回のユーロダービーについて
両チームは互いを警戒し合っているから、美しい試合にはならないと思う。それぞれ互いのサッカーを分析し、少し「フラット」な状態を保とうとするだろう。
そこで試合の流れを変えるには、何らかの出来事が必要になる。私の見立てではインテルの方が選手層は厚く、今日の5人交代制がこの試合に大きな影響を与える可能性がある。一方、ミランはよりチームとしてまとまっており、集中力の低下も少ない。よってインテルは気を抜けば必ず報いを受けるだろう。そのことは彼らが(CL準々決勝セカンドレグの)ベンフィカ戦で数分間に2点を取られたのを見れば分かるはずだ。それに、ミランには並外れたチームスピリットがあると私は信じている。ナポリとのセカンドレグは彼らの持つ非常に重要な結束力が示されていた。
ミランはフィジカルなチームだ。例えばトナーリとベナセルには素晴らしい運動量がある。スーパーなドリブルは持っていないかもしれないけどね。一方、インテルの中盤は走力やパワーだけではない。チャルハノール、ブロゾビッチ、バレッラはいずれもテクニカルな選手だ。
両チームの注目選手について、まずはトナーリだ。先ほど私が語ったミランのスピリットというのを彼は体現している。そしてインテルの方はブロゾビッチ。インテルの要となる選手だ。そのためピオリにはブロゾビッチ対策が必要になるだろう。ナポリ戦でロボツカに対して行ったようにね。