【義務レビュー】ミラン対クレモネーゼ【2022-23シーズン・セリエA第33節】

2022-23シーズン・試合
今回はセリエA第33節、ミラン対クレモネーゼのマッチレビューです。
おそらくこの試合のレビューの需要はほとんどないので、いつもの3割程度の内容で済ませてもらいます。

スタメン

【22-23】ミラン対クレモネーゼ_スタメン
ベースフォーメーション:
ミラン「4-2-3-1」
クレモネーゼ「4-2-3-1」


典型的なジャイキリ展開


ピオリ「クレモネーゼがひたすら低い位置で私たちを待ち構えていたというのは事実ではない。前半の我々は準備してきたことを全て出し切れたと思うし、危険な状況を作り出していた。前半はスペースもあり、ボールも良く管理し、ゲームをコントロール出来ていた」



コメントの通り前半(特に序盤)のクレモネーゼは思ったほど受動的なアプローチではなく、守備時はミドルゾーン低めにコンパクトな陣形をセットしつつも状況に応じてプレッシングを仕掛けてくる形が基本。また攻撃(ボール保持)時も低い位置からゲームを組み立てる傾向を何度か示しました。

そのためミランとしては裏のスペースが一つの狙い所となり、11分にはサレマが裏にロングボールを呼び込んでネットを揺らします(※惜しくもオフサイド判定で取り消し)。そして守備に際しても相手のややぎこちないパス回しにプレッシングを仕掛け、何度か高い位置でボール奪ってカウンターへと繋げていきました。

ミランはゲームの主導権こそしっかり握ることが出来ていましたし、決定機も何度か作り出すことに成功。しかしながら例によってファイナルサードでの精度を欠き、得点を奪うことが出来ませんでした。

ピオリ「しかし残念なことに、このような試合展開でリードを奪う事が出来なければ難しい状況になってしまうのは明らかだ。後半の我々は明晰さと正確さに欠け、個々で解決しようという気持ちに駆られ、前半にあった論理的な筋道を失ってしまった」



チャンスシーンを作れども得点には至らないミラン。60分にはブラヒムがゴール前で決定機を迎えるも決めきれず、チームとして焦りを募らせていきます。

すると77分に一瞬の隙を突かれ、カウンターからオケレレにゴールを決められてまさかの失点。ジャイアントキリングが起きる典型的な試合展開となってしまう、と。
結果として試合は93分にメシアスが直接FKを相手ゴールに突き刺し、辛うじてジャイキリこそ避けられたものの、「勝ち点2を落とした」という印象は全くもって拭うことが出来ませんでした。

ミラン1-1クレモネーゼ


遅すぎる「変化」


ピオリ「今夜は本当に残念だ。こんな結果は望んでいなかった。あと数試合しかないのだから、ギアを変えなければトップ4入りは難しいだろう。この悔しさを糧に、数日後のラツィオ戦はより良いプレーをできるようにしなければならない」



今週土曜日にラツィオとのビッグゲームが控えているという事で、この試合では再びターンオーバーを実行したピオリ。

個人的な意見として、デ・ケテラーレの前線起用やオリギのサイド起用など部分的に普段とは異なるアプローチが採られていましたし、控え選手延いてはチームに何らかのポジティブな変化を起こそうという気概は感じました。

しかしながら、そもそもそうした課題に着手するのが遅すぎます。
シーズンも最終盤を迎えたこの時期になってようやくデ・ケテラーレの最前線起用を試しても、周囲との連動性もコンディション(CFとしての試合勘)も全く整っていない状態で結果を残すのは難しいでしょう。なぜこれまでにもっと試してこなかったのか。
オリギではなくより裏を意識したプレーができるレビッチをデ・ケテラーレと本格的に組ませ、両者の関係性を以前から深めておければ、今頃は違った選択肢があったかもしれません。

ターンオーバーによって先発のチャンスを得た選手が結果を残せず、それが単に「サブ組の実力不足のせい」と断ぜられる点については個人的に疑問を感じます。というのもピオリが現控え組の素質を活かせずにそのパフォーマンスを鈍らせた側面は少なからずあると思いますし、その意味でシーズンを通した人的マネジメントに小さくない問題があったのではないでしょうか。

今後の展望


最後に、今節の他会場の結果及び現在の順位について触れておきます。

CL権を争うクラブの内、ミランと同じく勝ち点を落としたのがローマです。好調モンツァ相手に1-1のドロー決着となっています。
一方それ以外の上位クラブは軒並み勝利を収めており、その結果ミランは6位にまで順位を落としてしまいました。

【22-23】セリエA順位_33節終了時点
――参考:33節終了時点。2位から7位までの勝ち点差は「6」

勝ち点差でいえばまだまだ1試合で順位が変動し得る程度のものですが、最近のミランの調子(リーグ直近5戦で1勝4分)を考えると悲観的にならざるを得ません。

もちろん、これまでピオリ・ミランは尻に火が付いてから何度も逆境を跳ね返してきた実績がありますし、今回もまたラツィオとの直接対決を制して勢いに乗ってくれるのではないかとも考えられます。

いずれにせよ、4位に入るには残り5試合で全勝するくらいの覚悟が求められるでしょうし、次のラツィオ戦でその覚悟を結果で示してもらいたいと思います。

Forza Milan!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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