失点を生んだ最終ラインの連携・集中力不足について~サレルニターナ戦~
先日行われたサレルニターナ戦、ミランは勝ち切れずにドロー決着に終わっています。

――参考1:この試合における得点期待値と実際のスコア(1-1)
ミランは相も変わらず得点期待値(2.71)を下回るゴールしか決められず、逆にサレルニターナには数少ないチャンスをモノにされてしまう有様。攻撃面はいつものことなのでもう言及する気も起きませんが、守備面については看過できません。
なぜなら、ミランが1月の成績不振から脱することができた要因は「守備組織の改善延いては失点減少」にあるわけで、もしまた失点が増えるような事態になれば悪夢の再来になりかねないですからね。
そこで今回は、サレルニターナ戦での被決定機シーンを個別に取り上げつつ、今後に向け改善すべき点を考えていきたいと思います。
2つの被決定機
今回取り上げる1つ目の被決定機シーンは42分です。
サレルニターナを押し込んでいる状況のため、CB陣も相手陣地へと押し上げてコンパクトな布陣を維持するミラン。しかしその後、相手からのクリアボールをCBティアウが処理し損なってボールを奪われ、背後の広大なスペースをディアに使われ大ピンチを迎えました。
――参考2:当該シーン
当該ピンチはメニャンの神懸かった対応により事なきを得たものの、失点を喫していてもおかしくない場面だったことは確かです。
ただティアウは21歳と若く、レギュラーに定着して日も浅いという事で、ミスをしてしまうのも致し方ない側面があります。そのためこのシーンで素晴らしいカバーを見せたメニャンのように、周囲の選手が積極的にフォローすることで精神的にプレーしやすい環境を作ってあげることが重要です。
その観点から、共に3CBを構成するトモリやカルルにも先輩としてティアウをサポートしてもらいたかったわけですが…彼ら2人もまだ若く、失点シーンにおいては以下の通り未熟さを露呈してしまいました。
失点のキッカケは、ミランのプレッシングが回避されたことです。

――1失点目の流れ
このように手薄な方向へと展開され、サレルニターナは速攻へ移行。ミランにとって非常に望ましくない状況であるわけですが、こういう時に相手の速攻をしっかりと凌ぐことが出来るかどうかがチームの守備の安定感に直結します。
この点、ミランは1月にバックラインの脆弱性が露となって失点に失点を重ねたため、2月からは最終ラインの枚数を増やしました。それによりバックラインを強化したわけですね。
したがってこの場面でも、速やかに最終ラインが帰陣しつつゴール前で待ち構えれば、少なくとも数的不利に陥ることはありませんでした。

――その後の場面
…そのはずが、ここでトモリはなぜか非常に緩慢な戻りを見せ、最終ラインにまで帰陣しようとしません。一方で自分が元々マークしていたカンドレーバは既にミラン最終ラインをアタックしようとしており、これにより最終ラインは3対4の数的不利に陥ります。

――その後の場面
その後、ボールサイドへと近づいたカンドレーバにカルルが反応し、ディアのマークを外してカンドレーバに寄せに行ったわけですが…この状況において優先して対処すべきは「エリア内中央のスペース・選択肢」です。すなわちカルルはエリア内に飛び込んでくるディアへのクロスを警戒すべきであったものの、実際は自身の手前に入り込んできたカンドレーバに完全に釣り出されてしまった、と。
トモリの怠慢、続くカルルの判断ミスによって生じた結果がゴール前での「ティアウ対ディア&ピョンテク」という致命的なシチュエーションです。ティアウは背後のピョンテクに気を取られてディアに寄せることが出来ず、したがって最も警戒すべき相手のエースストライカーにドフリーでシュートを撃たせてしまいました。

――フィニッシュの場面
こうした一連の流れにおいて、最も責任が重いのはトモリだと個人的には考えます。そもそも彼が迅速に最終ラインに帰陣しつつ、前方のカルルやティアウにコーチングしていれば数的同数で対処できたはずで、その状況であれば少なくともディアに対しティアウがしっかりとマークに付くことが可能だったでしょう。
トモリは今回の3CBの中だと最年長(25歳)であり経験も(相対的に)豊富であるものの、DFリーダーとして見たときにまだまだ責任感や状況判断といった部分に物足りなさを感じます。カルル、ティアウと一緒にもっと成長していく必要がありますね。
最後に。この試合の被決定機シーンは個人が原因で生じた側面が大きく、そのため組織的な弱所が露呈したわけではないと思います。
しかしながら、前節ヴィオラ戦の2失点目におけるテオの帰陣サボりといい、最終ラインの枚数を増やしたことで最終ライン構成メンバー1人にかかる負担が軽くなった結果、却って個々のゴール前での集中力や責任感が弱まっているように見受けられるシーンもないわけではありません。
先月のシステム変更に伴い守備力が増したことは事実ですが、最終ラインの集中力や連携にはまだムラがあるという事で、今後はその点を改善してCLのような大舞台だけでなくカンピオナートでも安定したパフォーマンスを継続的に発揮していく必要があると思います。特にCL前後のリーグ戦は要注意ですね。

――参考1:この試合における得点期待値と実際のスコア(1-1)
ミランは相も変わらず得点期待値(2.71)を下回るゴールしか決められず、逆にサレルニターナには数少ないチャンスをモノにされてしまう有様。攻撃面はいつものことなのでもう言及する気も起きませんが、守備面については看過できません。
なぜなら、ミランが1月の成績不振から脱することができた要因は「守備組織の改善延いては失点減少」にあるわけで、もしまた失点が増えるような事態になれば悪夢の再来になりかねないですからね。
そこで今回は、サレルニターナ戦での被決定機シーンを個別に取り上げつつ、今後に向け改善すべき点を考えていきたいと思います。
2つの被決定機
~VSサレルニターナ~
今回取り上げる1つ目の被決定機シーンは42分です。
サレルニターナを押し込んでいる状況のため、CB陣も相手陣地へと押し上げてコンパクトな布陣を維持するミラン。しかしその後、相手からのクリアボールをCBティアウが処理し損なってボールを奪われ、背後の広大なスペースをディアに使われ大ピンチを迎えました。
MAGNIFICENT TACKLE FROM MIKE MAIGNAN!!!pic.twitter.com/VPXIY7gRHW
— Football Report (@FootballReprt) March 14, 2023
――参考2:当該シーン
当該ピンチはメニャンの神懸かった対応により事なきを得たものの、失点を喫していてもおかしくない場面だったことは確かです。
ただティアウは21歳と若く、レギュラーに定着して日も浅いという事で、ミスをしてしまうのも致し方ない側面があります。そのためこのシーンで素晴らしいカバーを見せたメニャンのように、周囲の選手が積極的にフォローすることで精神的にプレーしやすい環境を作ってあげることが重要です。
その観点から、共に3CBを構成するトモリやカルルにも先輩としてティアウをサポートしてもらいたかったわけですが…彼ら2人もまだ若く、失点シーンにおいては以下の通り未熟さを露呈してしまいました。
失点のキッカケは、ミランのプレッシングが回避されたことです。

――1失点目の流れ
このように手薄な方向へと展開され、サレルニターナは速攻へ移行。ミランにとって非常に望ましくない状況であるわけですが、こういう時に相手の速攻をしっかりと凌ぐことが出来るかどうかがチームの守備の安定感に直結します。
この点、ミランは1月にバックラインの脆弱性が露となって失点に失点を重ねたため、2月からは最終ラインの枚数を増やしました。それによりバックラインを強化したわけですね。
したがってこの場面でも、速やかに最終ラインが帰陣しつつゴール前で待ち構えれば、少なくとも数的不利に陥ることはありませんでした。

――その後の場面
…そのはずが、ここでトモリはなぜか非常に緩慢な戻りを見せ、最終ラインにまで帰陣しようとしません。一方で自分が元々マークしていたカンドレーバは既にミラン最終ラインをアタックしようとしており、これにより最終ラインは3対4の数的不利に陥ります。

――その後の場面
その後、ボールサイドへと近づいたカンドレーバにカルルが反応し、ディアのマークを外してカンドレーバに寄せに行ったわけですが…この状況において優先して対処すべきは「エリア内中央のスペース・選択肢」です。すなわちカルルはエリア内に飛び込んでくるディアへのクロスを警戒すべきであったものの、実際は自身の手前に入り込んできたカンドレーバに完全に釣り出されてしまった、と。
トモリの怠慢、続くカルルの判断ミスによって生じた結果がゴール前での「ティアウ対ディア&ピョンテク」という致命的なシチュエーションです。ティアウは背後のピョンテクに気を取られてディアに寄せることが出来ず、したがって最も警戒すべき相手のエースストライカーにドフリーでシュートを撃たせてしまいました。

――フィニッシュの場面
こうした一連の流れにおいて、最も責任が重いのはトモリだと個人的には考えます。そもそも彼が迅速に最終ラインに帰陣しつつ、前方のカルルやティアウにコーチングしていれば数的同数で対処できたはずで、その状況であれば少なくともディアに対しティアウがしっかりとマークに付くことが可能だったでしょう。
トモリは今回の3CBの中だと最年長(25歳)であり経験も(相対的に)豊富であるものの、DFリーダーとして見たときにまだまだ責任感や状況判断といった部分に物足りなさを感じます。カルル、ティアウと一緒にもっと成長していく必要がありますね。
最後に。この試合の被決定機シーンは個人が原因で生じた側面が大きく、そのため組織的な弱所が露呈したわけではないと思います。
しかしながら、前節ヴィオラ戦の2失点目におけるテオの帰陣サボりといい、最終ラインの枚数を増やしたことで最終ライン構成メンバー1人にかかる負担が軽くなった結果、却って個々のゴール前での集中力や責任感が弱まっているように見受けられるシーンもないわけではありません。
先月のシステム変更に伴い守備力が増したことは事実ですが、最終ラインの集中力や連携にはまだムラがあるという事で、今後はその点を改善してCLのような大舞台だけでなくカンピオナートでも安定したパフォーマンスを継続的に発揮していく必要があると思います。特にCL前後のリーグ戦は要注意ですね。