【脱力レビュー】インテル対ミラン【2022-23シーズン・セリエA第21節】
ただ今回はあまりやる気が起きないので、図解による戦術レビューはせずにひたすら文字だけ垂れ流していきます。ご了承くださいませ。
スタメン

ベースフォーメーション:
インテル「3-5-2」
ミラン「3-5-2」
システム変更の結果
この試合は多くのメンバー変更を加え、3-5-2のシステムで臨んだピオリ・ミラン。
その狙いについては監督が以下のように語っています。。
最近の我々は多くのゴールを決められて苦しい状況に陥っていた。そこで今回は(自陣での)密度を高めて守備を固める必要があったんだ
考え自体は理に適っていると思いますし、試合を観ていても普段との守備の違いは明白でした。
基本的にハーフウェイライン付近までは相手に自由にボールを持たせ、前線2枚のうちジルーが相手最終ラインに最低限のプレッシャーをかけてビルドアップのコースを制限。もう一方のオリギは味方中盤ライン手前のスペースをカバーすると同時に、当該スペースを基本位置とする相手アンカーをマークする役割を主に担います。
そのようにして中盤エリアやゴール前のスペース管理を重視しつつ、相手がミラン陣地へとボールを運んできたところで迎え撃ち、コンパクトな陣形によりボールを奪取するという形を志向していたように見受けられました。
しかし、この形が十分に機能していたとは言えません。
インテルは最終ラインのところで生じる数的有利(ジルー1人に対し、インテルはCB3人)やアンカーのチャルハノールの流動的な動きを活かしながらボールを回していき、ミランに組織的なプレッシングを仕掛けさせないことに成功。そうして相手の陣形を動かし、機を見た縦パスでゴール前へとボールを送って惜しいシーンを作り出していきました。
この点について、試合後のピオリは以下のように反省点を口にしています
前半の我々はローラインを敷いたが、それは相手に背後のスペースを許したくなかったからだ。しかしチームの重心を押し上げることができず、それにより攻撃も上手くいかなかった
コメントにある通り、前半のミランはほとんどの時間帯で押し込まれました。そんな前半のポゼッション率は「74対26」です。
確かに、後方に人数をかけたことが功を奏し、ここ数試合と比べて質の高いシュートシーンを作られる頻度は大分減りました。しかしプレッシング(ボール奪取)がまるで上手くいかず、ミランの攻撃の生命線といえる「カウンター」に繋げられない守備を「機能している」と評することは少なくとも僕には出来ません。
そして34分にはいつものセットプレーから失点を喫してしまい、1点ビハインドになってしまうと。「前半は意地でも守り切って後半に何とか点を奪い取る」というゲームプランが脆くも崩れ去った瞬間でした。
オリギ先発起用の謎
前半にミランの(ロー)プレッシングが機能しなかった理由の一つとして、オリギの低パフォーマンスが挙げられると思います。
オリギの守備時の主な役割については先述の通りですが、強度が低いだけでなく相手アンカーのチャルハノールの動きも捕まえきれず、彼の守備貢献は非常に限定的なものとなりました(攻撃面も存在感皆無でしたが)。
今回のように受動的な守備システムを採用した際にも、前線の守備貢献というのは重要です。特に今のミランのように押し込まれた状況が苦手なチームであれば尚更、前線がしっかりと相手のボール回しを制限することで、低いライン設定であってもチームとしてアグレッシブに振る舞う必要があります。
例えば今回のオリギの役割であれば、相手の左右CBに対してチャルハノールにカバーシャドーをかけながらプレスに出るといった流れで最終ラインからの持ち運びを妨害したり、また相手ボール回しの際に左右CBへバックパスが出れば、同じように鋭くプレッシャーをかけてボールサイドでジルーと共に前からの圧力を強めたりなど、状況に応じて「プレッシングのスイッチ役」として機能することを個人的には期待していました。
とは言え、相応のインテリジェンスとプレス強度が求められるそうした役割をオリギに任せるのは難しいですし、そもそもピオリもそこまでの守備をオリギに要求していたかは不明です。
右に左にボールを動かされ、ジルーがうんざりとボールを追いかけていたのがもし想定内だったのであれば可哀想ですね。
守備に貢献出来るわけでもなく、ロングカウンター時に相手の脅威となるわけでもないという事で、オリギをわざわざ抜擢した意味が分かりませんでした。
後半の修正と課題
後半になり、ミランは戦術修正を施します。
まずはメシアスに代えてブラヒムを投入。これによりオリギとジルーを横並びにし、ブラヒムをトップ下に配して前からの圧力を強めました。
ブラヒムは相手アンカーのマークだけでなく、時として最終ラインやGKにプレスをかける積極性があったので、スタートからジルーとブラヒムの2トップ(縦並び)で挑んでも良かったんじゃないのかと思うんですけどね。
それはさておき。前半はフリーパス状態だったボール前進を阻まれるようになったことで、インテルは前半とのギャップもありやや調子を落としたように見受けられました。
対するミランは相対的にパフォーマンスを上げたものの、かねてからの課題である「ボール保持からのポジショナルな崩しの局面」に何ら明確な解決策がないままのため、内容が劇的に改善したわけでもありません。
レオン、サレマ、レビッチ等アタッカーを次々と投入していつも通りの拙攻を繰り返し、訪れた数少ないカウンターチャンスもモノにできずに無得点で終了しました。
インテル1-0ミラン
雑感
この試合のミランのxG(ゴール期待値)は「0.21」という事で、今季リーグ戦におけるクラブワースト記録を更新しています。
1失点で済んだのはここ数試合の悲惨なスコアを思い出せば「改善」と見なすこともできますが、攻撃(カウンター)を含めた総合的なパフォーマンスはまだまだ全然物足りません。
その意味で、次節はどのように挑むか気になります。この試合の前半のようにプレッシャーラインを下げつつも、次はそこにアグレッシブさを取り入れていくという方向性が無難な気がする一方、今のレギュラー陣の気質的には前からガンガン仕掛けた方がやっぱりプレーし易いのかもしれませんし…。
正直もう何が適切なのかよく分からなくなってきましたが、とにかく何かしらポジティブな変化が見られることを期待したいですね。今のピオリならこれまで冷遇してきた選手たち、例えばアドリとかにもチャンスを与えるかもしれません。
Forza Milan!
最後まで読んでいただきありがとうございました。