【2022-23シーズン前半戦】ミラン選手のパフォーマンス評価【ボランチ編】
今回は、2022-23シーズン前半戦におけるミランのボランチについて、そのパフォーマンスを振り返っていきたいと思います。

今季から絶対的レギュラーへと昇格したベナセル。
過密日程ゆえに、ターンオーバーによるベンチスタートや比較的早い時間帯での途中交代も数回ありましたが、公式戦の全試合に出場するタフネスぶりを披露。重要な試合では確実に先発し、安定したパフォーマンスでチームの勝利に貢献しました。

具体的なプレー内容については上掲の記事にて多くは言及済みですが、それ以外に特筆すべき点として「ボール回収能力」をここでは挙げさせてもらいます。
今季のセリエAにおけるベナセルの「ボール回収数」は平均「9.76回」で、これは同リーグのMFの中でナンバーワンの数字です。また、CLに至っては平均「11.19」もの数値を記録し、こちらもトップクラスです。
ミランの得意とするプレッシング戦術において、相手に不用意な形で蹴らせたボールをそのまま回収したりルーズボールを拾ったりする選手の存在は非常に重要となります。
この点、ベナセルは上記の通り戦術的に重要な役割を担っていることが分かりますし、また彼の場合はボールを回収した(奪った)後にそのまま「カウンターの起点となれる」というのも見事ですね。

――第1節ウディネーゼ戦のシーンについて。相手のクリアボールを拾ったベナセルは、直後に前方のデ・ケテラーレに預けてカウンターを開始。自らも走り出す

――その後の場面。デ・ケテラーレからリターンを受けたベナセルは、逆サイドでフリーとなっているサレマを確認してロングパスを選択。このようにしてシュートチャンスを演出した
今シーズン後半戦も、彼のパフォーマンスというのがチームの浮沈に大きく影響することは確実です。
現在の好調を維持してもらうと共に、早急な契約延長へのサインを願います。

今季は怪我で開幕戦欠場を余儀なくされるという嫌なスタートを切ったものの、その後はいつも通りの頑丈さを発揮して継続的に出場。ベナセルと共に中盤の軸として君臨し、攻守において実質的な貢献を果たしました。

また、ここまでのトナーリを見ていて改めて特筆すべきと感じたのは、その「プレー強度の高さ」と「スタミナ」です。
今シーズン前半戦のような過密日程においても、彼は攻守においてフルタイム働くことが可能であり、実際CLでは1試合を除くすべてにフル出場しています。
そんな彼の長所が存分に発揮され、勝利に直結した試合として第10節のヴェローナ戦が挙げられます。

この試合はヴェローナのアグレッシブなプレーに手こずり、終盤を1-1で迎える苦しい展開でした。
そんな中で81分。訪れたカウンターのチャンスシーンにて、トナーリは自陣から相手PA内まで一気に走り込み、レビッチから受けたクロスを冷静に流し込んで勝ち越し点を奪うことに成功します。
こうした相手ゴール前に飛び込んでいく意識・精度は昨季後半戦に引き続き高まっているように見受けられますし、シーズン後半戦はこの点を含めて更なる成長が期待できそうですね。
途中出場が多かったものの、ベナセル・トナーリに次ぐ準レギュラーとして継続的にプレー機会を得ました。
そのフィジカルや縦へのダイナミズムはチームにおいて貴重な武器となり、CL第2節のディナモ・ザブレグ戦では正に「ポベガらしい」形から見事なゴールを決めています。
また、第9節のユベントス戦ではトップ下に抜擢されて奮闘。重要な勝利に貢献しました。

このようにして概ねポジティブなシーズン前半戦を過ごしたポベガですが、気になる点が一つ。
第12節のトリノ戦にて、先発したポベガは相手のプレッシングに苦しめられてほとんど有効にボールを持つことが出来ず。また守備でも多くのファールを与え、あわや退場になるのではないかという不安定なパフォーマンスを見せてしまいました。
それが影響してか、前半戦の最後の3試合はいずれも出番なし。その中には同ポジションのライバルであるヴランクスが活躍したフィオレンティーナ戦もありました。
そのため来るシーズン後半戦、ポベガはまずボール保持の際のプレー精度を高めていくことが必要ではないでしょうか。
さもなくば、ヴランクスの適応・成長次第で厳しい立場に置かれることになるやもしれません。
チームにとって非常に貴重な生え抜きですし、個人的に好きな選手という事もあり、ポベガには是非とも一皮剥けてプレーの幅を広げて欲しいです。
シーズン開幕後に加入したという事もあり、異なるリーグやチーム、環境への適応に大いに苦しんだ感のあるヴランクス。
そのため出番も非常に少なく、プレー時間はわずか45分間に止まってしまいました。
しかしながら、シーズン前半戦最後の試合となったフィオレンティーナ戦で印象的なプレーを披露し、アディショナルタイムに決勝ゴールをアシストするなど結果を残すことに成功。最後はポジティブな形で前半戦を締めくくっています。

ヴランクスはまだ20歳になったばかりの若手選手とは言え、「買取OP付レンタル移籍」という形式でミランに加入した以上、完全移籍するには今シーズン後半戦に一定の活躍が求められるはずです。
そのため、彼にはこの冬の調整期間にしっかりと準備してもらい、万全の状態で後半戦を迎えて欲しいと思います。
イスマエル・ベナセル

・セリエA
15試合(1069分) 1得点 1アシスト
・CL
6試合(409分) 0得点 0アシスト
今季から絶対的レギュラーへと昇格したベナセル。
過密日程ゆえに、ターンオーバーによるベンチスタートや比較的早い時間帯での途中交代も数回ありましたが、公式戦の全試合に出場するタフネスぶりを披露。重要な試合では確実に先発し、安定したパフォーマンスでチームの勝利に貢献しました。

ベナセルのプレースタイルについて~ピッチを支配する陰の主役~
※関連記事
具体的なプレー内容については上掲の記事にて多くは言及済みですが、それ以外に特筆すべき点として「ボール回収能力」をここでは挙げさせてもらいます。
今季のセリエAにおけるベナセルの「ボール回収数」は平均「9.76回」で、これは同リーグのMFの中でナンバーワンの数字です。また、CLに至っては平均「11.19」もの数値を記録し、こちらもトップクラスです。
ミランの得意とするプレッシング戦術において、相手に不用意な形で蹴らせたボールをそのまま回収したりルーズボールを拾ったりする選手の存在は非常に重要となります。
この点、ベナセルは上記の通り戦術的に重要な役割を担っていることが分かりますし、また彼の場合はボールを回収した(奪った)後にそのまま「カウンターの起点となれる」というのも見事ですね。

――第1節ウディネーゼ戦のシーンについて。相手のクリアボールを拾ったベナセルは、直後に前方のデ・ケテラーレに預けてカウンターを開始。自らも走り出す

――その後の場面。デ・ケテラーレからリターンを受けたベナセルは、逆サイドでフリーとなっているサレマを確認してロングパスを選択。このようにしてシュートチャンスを演出した
今シーズン後半戦も、彼のパフォーマンスというのがチームの浮沈に大きく影響することは確実です。
現在の好調を維持してもらうと共に、早急な契約延長へのサインを願います。
サンドロ・トナーリ

・セリエA
13試合(1028分) 1得点 2アシスト
・CL
6試合(518分) 0得点 3アシスト
今季は怪我で開幕戦欠場を余儀なくされるという嫌なスタートを切ったものの、その後はいつも通りの頑丈さを発揮して継続的に出場。ベナセルと共に中盤の軸として君臨し、攻守において実質的な貢献を果たしました。

トナーリのプレースタイルについて~ミラノダービーで見せた変化と更なる成長~
※関連記事
また、ここまでのトナーリを見ていて改めて特筆すべきと感じたのは、その「プレー強度の高さ」と「スタミナ」です。
今シーズン前半戦のような過密日程においても、彼は攻守においてフルタイム働くことが可能であり、実際CLでは1試合を除くすべてにフル出場しています。
そんな彼の長所が存分に発揮され、勝利に直結した試合として第10節のヴェローナ戦が挙げられます。

【報われたトナーリの献身】ヴェローナ対ミラン【2022-23シーズン・セリエA第10節】
※関連記事
この試合はヴェローナのアグレッシブなプレーに手こずり、終盤を1-1で迎える苦しい展開でした。
そんな中で81分。訪れたカウンターのチャンスシーンにて、トナーリは自陣から相手PA内まで一気に走り込み、レビッチから受けたクロスを冷静に流し込んで勝ち越し点を奪うことに成功します。
こうした相手ゴール前に飛び込んでいく意識・精度は昨季後半戦に引き続き高まっているように見受けられますし、シーズン後半戦はこの点を含めて更なる成長が期待できそうですね。
トンマーゾ・ポベガ
・セリエA
9試合(445分) 0得点 0アシスト
・CL
6試合(141分) 1得点 0アシスト
途中出場が多かったものの、ベナセル・トナーリに次ぐ準レギュラーとして継続的にプレー機会を得ました。
そのフィジカルや縦へのダイナミズムはチームにおいて貴重な武器となり、CL第2節のディナモ・ザブレグ戦では正に「ポベガらしい」形から見事なゴールを決めています。
また、第9節のユベントス戦ではトップ下に抜擢されて奮闘。重要な勝利に貢献しました。

【勝利をもたらした王者の対応力】ミラン対ユベントス【2022-23シーズン・セリエA第9節】
※関連記事
このようにして概ねポジティブなシーズン前半戦を過ごしたポベガですが、気になる点が一つ。
第12節のトリノ戦にて、先発したポベガは相手のプレッシングに苦しめられてほとんど有効にボールを持つことが出来ず。また守備でも多くのファールを与え、あわや退場になるのではないかという不安定なパフォーマンスを見せてしまいました。
それが影響してか、前半戦の最後の3試合はいずれも出番なし。その中には同ポジションのライバルであるヴランクスが活躍したフィオレンティーナ戦もありました。
そのため来るシーズン後半戦、ポベガはまずボール保持の際のプレー精度を高めていくことが必要ではないでしょうか。
さもなくば、ヴランクスの適応・成長次第で厳しい立場に置かれることになるやもしれません。
チームにとって非常に貴重な生え抜きですし、個人的に好きな選手という事もあり、ポベガには是非とも一皮剥けてプレーの幅を広げて欲しいです。
アステル・ヴランクス
・セリエA
4試合(45分) 0得点 1アシスト
・CL
なし(※メンバー登録外)
シーズン開幕後に加入したという事もあり、異なるリーグやチーム、環境への適応に大いに苦しんだ感のあるヴランクス。
そのため出番も非常に少なく、プレー時間はわずか45分間に止まってしまいました。
しかしながら、シーズン前半戦最後の試合となったフィオレンティーナ戦で印象的なプレーを披露し、アディショナルタイムに決勝ゴールをアシストするなど結果を残すことに成功。最後はポジティブな形で前半戦を締めくくっています。

ヴランクスが示した可能性~ヴィオラ戦で披露したプレースタイルとは~
※関連記事
ヴランクスはまだ20歳になったばかりの若手選手とは言え、「買取OP付レンタル移籍」という形式でミランに加入した以上、完全移籍するには今シーズン後半戦に一定の活躍が求められるはずです。
そのため、彼にはこの冬の調整期間にしっかりと準備してもらい、万全の状態で後半戦を迎えて欲しいと思います。