ピオリ監督、ミランとの契約を2025年まで延長!~静かなる名将の挑戦は続く~

先日、ステファノ・ピオリ監督の契約延長が正式発表されました。



ピオリ監督とミランの現行契約は今季末までとなっていましたが、此度の契約更改により期間を2025年まで延長。また延長と同時に昇給も行われたようで、『コリエレ・デッロ・スポルト』によれば、その額は「400万ユーロ+ボーナス」とされています。
ミランで成し遂げた彼の偉大な実績を考慮すれば、今回の対応は極めて妥当といえるでしょう。

ピオリ・ミランの歩み


振り返れば2019-20シーズン。ジャンパオロによるチームの破壊が行われた後に途中就任したピオリ監督は、ミランの再生という難題に取り組むことになります。

ちなみに本人曰く、当時の彼はミランからアプローチを受ける以前に2つのイタリアクラブと交渉を行っていたそうです。もしジャンパオロ解任の決断が遅れていれば、ミラン・ピオリ共に全く違う3シーズンになっていたでしょうね。

最初にもらった電話をよく覚えているよ。当時はセリエAの他の2チームと交渉していて、どちらを選ぶか悩んでいたんだ。それからパオロに呼ばれて、すぐに方向転換してミラノまで来て彼に会った。迷いは一切無かったね。彼が私を説得するのにほとんど時間はかからなかった。むしろ私の方が彼を説得しなければならなかったかもしれいね



就任当初こそ苦戦は免れず、同年12月末にはアタランタに「0-5」の歴史的大敗を喫するなどチームの立て直しは困難を極めました。

しかし、翌1月にイブラヒモビッチがミランに帰還。絶対的な軸を手にしたピオリ監督は彼を中心にチームを組織し直すと、ロックダウン明けの最後の12試合で9勝3分と快進撃を見せ、最終的にEL出場権の獲得に成功しました。

同時にクラブ上層部にその手腕を認めさせ、2年間の契約延長も達成。同シーズン中にラングニックの次期ミラン監督就任が決定的とされていた中、一切の不平不満を漏らすことなく自らの仕事に専念したプロ意識の高さが報われるシーズンとなりましたね。


そして、続く2シーズンの結果は期待を大きく上回るものでした。

2020-21シーズンは2位でシーズンを終え、8年ぶりとなるCL出場権を獲得。そして昨季の2021-22シーズンは11年ぶりのリーグ制覇という事で、ピオリ・ミランはシーズン毎に成績を上げることに成功。そして現在へと至ります。


オーナーの期待


この時期の契約延長というのは、今季からミランの新オーナーを務めるレッドバード(の創業者であるカルディナーレ)が如何にピオリの実績を高く評価し、今後もミランを率いるに値する人物として信頼を置いているかを示しているといえます。

カルディナーレはピオリに電話をかけ、近年の好成績に伴う必然的な契約更新を祝福した――Milannews



ピオリ監督もまた、そうしたクラブ側の意気に感じているようです。

契約更新は私が本当に望んでいたことで、とても感動的だ。契約期限に先立ってオーナーが延長してくれたことに感謝しているよ。このことは私に更なる強さ、情熱をもたらし、最高の形で自分の仕事を遂行したいと思わせてくれるね――Milannews



ミランオーナー就任後、レッドバードは新スポンサーの獲得やニューヨーク・ヤンキースとの提携など、商業面の更なる改善に着手しています。

一方、そうした商業面とスポーツ面の成果は密接に関連しており、近年のピッチ上での好成績がミランの財政改善に大きく寄与していることは確かでしょう。
ここからミランがどれほどの速度で世界トップクラブの地位に近づけるかという点において、ピオリ監督に懸かる責任と期待はとても大きいですね。

カルディナーレの主要目標は、商業収入、テレビ放映権、パートナーシップの改善で5億ユーロの売上高を達成することであり、これらに新スタジアムから見込まれる将来的な収入を加えなければならない。ミランの計画では、新スタジアムは自前のホームスタジアムを持つヨーロッパのトップクラブと同程度の数字を生み出すと見られている。
そうなって初めて、ミランは移籍市場で大きな投資をすることができるようになるのだ。まずは増収とブランドの成長を遂げてから、新加入選手と人件費に費やすための潤沢な予算の承認という流れである。
――La Repubblica



シビアなサッカー界において、監督とクラブの契約期間というのは必ずしもアテにならないものです。しかし、初年度のあの逆境を乗り越えたピオリ監督であれば、ミランで長期政権を築くことも十分あり得るのではないかと思わせてくれますね。

これまで同様、結果で以て実力を証明し続けてもらいたいと思います。


それでは今回はこの辺で。

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