アドリが見せたポテンシャルについて~VSヴェローナ~
先日のヴェローナ戦にて、ミランでの先発デビューを果たしたヤシン・アドリ。
そのパフォーマンスについては否定的な声が大きく、好調な滑り出しとはいかなかったものの、その一方で部分的にはポジティブなプレーが見られたのも事実かと思われます。
そこで今回は、アドリがヴェローナ戦で見せたプレーについて改めて振り返っていきましょう。
まずは前半序盤、比較的優勢に試合を進めていたミランが相手PA手前までボールを運んだシーンについてです。

――シーン1:ボールサイドに顔を出すアドリ(※ちなみに、この試合でアドリをマークするのは基本的にタメゼ)。ここでアドリはチームのパス回しに関与しながらサイドに流れる(黒矢印)。この後、アドリからリターンパスを受けたレオンが中央突破を目論む

――その後の場面。ブラヒムが中央でボールを受けると、アドリはゴール前のスペースへと飛び出しブラヒムからスルーパスを引き出した
アドリの特長の一つ、それはこのような「ゴール前への飛び出し」にあると考えられます。
チームのパス回しに加わりながら敵の対応を誘い、それにより生じたスペースを見つけ出して突くと。
また、そうした一連のプレーを可能にする判断力と積極的なフリーランニング(後述)もアドリの魅力といえますね。
今回のヴェローナのようなマンツーマン志向の強いチームだと、相手選手のマークに重きを置く一方でスペースの管理は相対的に甘くなりがちです。そこで、彼らとの対戦に際してはアドリのようにスペースを突けるタイプの選手が違いを生み出し得ますし、ピオリ監督がこの試合で突如アドリを抜擢したのもそのような戦術的意図に基づくものであると推測できます。
ただし、実際にアドリが決定機を創出するようなシーンは見られませんでした。
この点についてはチーム全体にミスが多く、パス回しが安定しなかった事が要因の一つに挙げられますが、加えてアドリ個人もこのような試合のリズムにまだ合わせ切れていない側面はあるでしょうね。
続いては予告通り、アドリの積極的なフリーランニングについて見ていきます。

――シーン2:中盤エリアでクルニッチからボールを受けるアドリ。そのままワンタッチで手前のテオにボールを預け、自らは前方へ飛び出す

――その後の場面。サイドでテオからボールを受けたレオンに対応する相手の右CB。その背後のスペースへアドリが侵入し、レオンからパスを引き出した
先のトピックで挙げたアドリの特徴・プレースタイルは組み立ての局面においても同様に活かされ得るものです。
上下左右に幅広く動きながらパス回しに関与するのはアドリの得意スタイルであるように見受けられますし、そうした動きを取りやすいトップ下のポジションは(少なくとも現時点での)彼にとってベストなのでしょう。
ただし、こうしたプレーもまた味方との呼吸を合わせることで真価を発揮します。
というのもアドリの流動的な動きを存分に活かすには、その意図を汲み連動したプレーを行う味方の存在が極めて重要です。またアドリ自身も周囲との相互理解を深めなければ、効果的なフリーランニングを継続的に行うことはできませんからね。
最後にパスについてです。
この試合では決定機に直接繋がるようなパスを供給するには至らなかったものの、正確かつレンジの広いパスを出せるのもアドリの特徴の一つといえますね。
この点に関し、プレシーズンマッチから既にアドリはテオと水準以上の関係を構築しているように感じられ、この試合でもテオの後方からの攻め上がりをアドリがパスでサポートするシーンが見られています。

――シーン3:後方から走り込むテオに対し、アドリが彼の走力に合わせた正確なスルーパスを供給

――シーン4:先と同様、後方から攻め上がりパスを呼び込むテオへアドリが正確なスルーパス
またポジティブトランジション時に見せた、以下の積極的なパスも印象に残りました。

――シーン5:後方からボールを受け、相手のプレッシャーをいなして前方を確認するアドリ。ここで前線へ飛び出すブラヒムを確認する

――その後の場面。アドリはすぐさま相手DFライン裏へのパスを選択した。
このような一発で相手DFラインの裏を取るパスはスピーディーなアタッカーとのコンビにおいて真価を発揮しそうですし、それ故レビッチやレオンといった選手たちと連携を向上させていくことでアドリの魅力は更に引き出されそうですね。
さて。ここまでヴェローナ戦におけるアドリのプレーを攻撃面に絞っていくつか振り返ってみました(※守備面は割愛)
確かに全体的に見ると物足りなさは否めませんでしたが、アドリは攻撃時の様々なフェーズにおいて印象的なプレーを披露。そのポテンシャルはしっかり示せていたというのが個人的見解です。
今後はプレー精度を高めて継続的にチャンスを作り出していく事が求められますし、その実現にはここまで強調してきた「味方との連携の向上」が極めて重要でしょうね。
初先発の試合で結果を残せなかったからといって早々に見切られるとは考えられません。
アドリには今回の試合を成長の糧にしてもらい、次に来るチャンスこそは結果という形で自己の価値を証明して欲しいと思います。
それでは今回はこの辺で。
そのパフォーマンスについては否定的な声が大きく、好調な滑り出しとはいかなかったものの、その一方で部分的にはポジティブなプレーが見られたのも事実かと思われます。
そこで今回は、アドリがヴェローナ戦で見せたプレーについて改めて振り返っていきましょう。
ゴール前への飛び出し
まずは前半序盤、比較的優勢に試合を進めていたミランが相手PA手前までボールを運んだシーンについてです。

――シーン1:ボールサイドに顔を出すアドリ(※ちなみに、この試合でアドリをマークするのは基本的にタメゼ)。ここでアドリはチームのパス回しに関与しながらサイドに流れる(黒矢印)。この後、アドリからリターンパスを受けたレオンが中央突破を目論む

――その後の場面。ブラヒムが中央でボールを受けると、アドリはゴール前のスペースへと飛び出しブラヒムからスルーパスを引き出した
アドリの特長の一つ、それはこのような「ゴール前への飛び出し」にあると考えられます。
チームのパス回しに加わりながら敵の対応を誘い、それにより生じたスペースを見つけ出して突くと。
また、そうした一連のプレーを可能にする判断力と積極的なフリーランニング(後述)もアドリの魅力といえますね。
今回のヴェローナのようなマンツーマン志向の強いチームだと、相手選手のマークに重きを置く一方でスペースの管理は相対的に甘くなりがちです。そこで、彼らとの対戦に際してはアドリのようにスペースを突けるタイプの選手が違いを生み出し得ますし、ピオリ監督がこの試合で突如アドリを抜擢したのもそのような戦術的意図に基づくものであると推測できます。
ただし、実際にアドリが決定機を創出するようなシーンは見られませんでした。
この点についてはチーム全体にミスが多く、パス回しが安定しなかった事が要因の一つに挙げられますが、加えてアドリ個人もこのような試合のリズムにまだ合わせ切れていない側面はあるでしょうね。
流動的な動き
続いては予告通り、アドリの積極的なフリーランニングについて見ていきます。

――シーン2:中盤エリアでクルニッチからボールを受けるアドリ。そのままワンタッチで手前のテオにボールを預け、自らは前方へ飛び出す

――その後の場面。サイドでテオからボールを受けたレオンに対応する相手の右CB。その背後のスペースへアドリが侵入し、レオンからパスを引き出した
先のトピックで挙げたアドリの特徴・プレースタイルは組み立ての局面においても同様に活かされ得るものです。
上下左右に幅広く動きながらパス回しに関与するのはアドリの得意スタイルであるように見受けられますし、そうした動きを取りやすいトップ下のポジションは(少なくとも現時点での)彼にとってベストなのでしょう。
ただし、こうしたプレーもまた味方との呼吸を合わせることで真価を発揮します。
というのもアドリの流動的な動きを存分に活かすには、その意図を汲み連動したプレーを行う味方の存在が極めて重要です。またアドリ自身も周囲との相互理解を深めなければ、効果的なフリーランニングを継続的に行うことはできませんからね。
パス技術
最後にパスについてです。
この試合では決定機に直接繋がるようなパスを供給するには至らなかったものの、正確かつレンジの広いパスを出せるのもアドリの特徴の一つといえますね。
この点に関し、プレシーズンマッチから既にアドリはテオと水準以上の関係を構築しているように感じられ、この試合でもテオの後方からの攻め上がりをアドリがパスでサポートするシーンが見られています。

――シーン3:後方から走り込むテオに対し、アドリが彼の走力に合わせた正確なスルーパスを供給

――シーン4:先と同様、後方から攻め上がりパスを呼び込むテオへアドリが正確なスルーパス
またポジティブトランジション時に見せた、以下の積極的なパスも印象に残りました。

――シーン5:後方からボールを受け、相手のプレッシャーをいなして前方を確認するアドリ。ここで前線へ飛び出すブラヒムを確認する

――その後の場面。アドリはすぐさま相手DFライン裏へのパスを選択した。
このような一発で相手DFラインの裏を取るパスはスピーディーなアタッカーとのコンビにおいて真価を発揮しそうですし、それ故レビッチやレオンといった選手たちと連携を向上させていくことでアドリの魅力は更に引き出されそうですね。
まとめ
さて。ここまでヴェローナ戦におけるアドリのプレーを攻撃面に絞っていくつか振り返ってみました(※守備面は割愛)
確かに全体的に見ると物足りなさは否めませんでしたが、アドリは攻撃時の様々なフェーズにおいて印象的なプレーを披露。そのポテンシャルはしっかり示せていたというのが個人的見解です。
今後はプレー精度を高めて継続的にチャンスを作り出していく事が求められますし、その実現にはここまで強調してきた「味方との連携の向上」が極めて重要でしょうね。
初先発の試合で結果を残せなかったからといって早々に見切られるとは考えられません。
アドリには今回の試合を成長の糧にしてもらい、次に来るチャンスこそは結果という形で自己の価値を証明して欲しいと思います。
それでは今回はこの辺で。