バロ・トゥーレと3バックの親和性について

現在のミランにおいて極めて重要な戦力となっているテオ・エルナンデス。

そんなテオが負傷により数週間の戦線離脱を余儀なくされたことで、ミランは彼の不在をどうにかしてカバーする必要に迫られています。

テオの代役候補


現在、テオの有力な代役候補の一人がバロ・トゥーレであることに相違ありません。
昨シーズンの夏に「テオの控え」という位置付けで加入した彼がこうした状況で選択肢に挙げられるのは当然といえば当然であり、このタイミングで出なければいつ出るんだという話であります。

しかしながら、トゥーレがピオリ監督からほとんど信用されていないのは昨季からの起用法を見るに明白です。昨季後半戦の出場時間はわずか4分間で、今季もここまで第3節ボローニャ戦で与えられた15分間のみのプレーに止まっています。

この点に関し、トゥーレの高い身体能力アグレッシブネス等の特徴は魅力的であり、少ない出場機会でもアピールできている部分です。
一方、インテリジェンス面の低さに由来するであろう組み立て能力の低さ守備時のポジショニングの不正確さもまた悪目立ちしており、攻守両面において安定感を欠くきらいがあります。確かにこれでは現ミランの左SBを任せるには心許ないですし、出場時間が少なくても頷けてしまうところです。

そのため此度のテオの離脱に伴いトゥーレを起用するとしても、彼の長所を活かしつつ短所を隠せるよう役割を調整・制限することが十分な活躍のためには求められると思います。


3CBの採用?


その観点から、現在報じられている選択肢の1つが「3CBシステムの採用」です。

ピオリは今後の試合でテオの不在を補うためにフォーメーションの変更を考えているようだ。CBにフィカヨ・トモリ、シモン・ケアー、ピエール・カルルの3人を配し、左WBにフォデ・バロ・トゥーレかダビデ・カラブリア、右WBにセルジ・デストを配置し、チームにもっとカバー力を持たせようというものである。 ――GdS



左WBにトゥーレを起用した場合、攻撃時には積極的に高い位置を取らせ、左サイドレーンにて前方のパスの選択肢になることが濃厚です。
そのぶん後方での組み立てに絡む頻度は減るため、これにより彼のビルドアップ能力の低さをカバーしつつ、持ち前のスピードを活かした縦への動きを活かし易い環境が作られます。

ただし、攻撃時に3バック+GKのユニットを軸にビルドアップを行うというのは、ミランが対戦相手に応じてこれまでにもやってきたことです(例えば先のナポリ戦では、ベナセルが下がって3バックを形成する場面が目立った)。そのため、今回話題にしている3CB採用がトゥーレにもたらすメリットは主に守備面にあるかなぁと。

というのも、トゥーレはポジショニングや判断力に難が見られ、そのことが度々ピンチを迎える原因となっています。例えば自陣での守備において、サイドに張る対面の相手アタッカーに意識が向き過ぎ、不用意にサイドに寄り過ぎた結果自身と味方CBの間にスペースを作り、そこを使われ(かけ)るといった形ですね。

この点、5バックで守る形にするならば、4バック時と比べて一般的に各DF間のスペースは狭まりますし、先述したスペースを空けてしまうリスクは減ります。トゥーレ個人としても担当スペースが縮小して手前のアタッカーに集中しやすい環境になることで、持ち前のアグレッシブネスによるボール奪取がより期待できるようになるかもしれません。

ちなみに、守備時の懸念については現在のデストにもいえます。そのためトゥーレを使わない場合でも、3CB(5バック)採用には同様のメリットが生じ得ますね。

もちろん、チーム全体の機能性や対戦相手との兼ね合いにもよるためシステムの是非は一概に判断できませんが…。これまで以上に考慮に値する選択肢にはなるのではないでしょうか。
個人的に、今度のエンポリ戦は従来のシステムをベースに臨むと思います。しかしその次のチェルシー戦では、エンポリ戦の結果次第で3CB採用もあるというのが僕の予想です。

何にせよテオの代わりに先発する選手にとって、次の2試合(テオの状態次第では3試合以上)は大チャンスとなります。
当該選手(おそらくバロトゥーレ)には是非ともこの機会をモノにし、貴重な戦力としてチーム内での地位を高めて欲しいですね。

それでは今回はこの辺で。

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