ミランの4-3-1-2採用の可能性について考える
ここ最近の練習において、ミランは「4-3-1-2」を試しているようです。
今回は何故「4-3-1-2」を練習で試すに至ったのか、その理由に関して推測していきます。
結論から言うと、当該フォーメーションを採用する可能性が増している要因は「新加入選手の能力を活かすため」だと思います。
今夏ここまでの新戦力はオリギ、デ・ケテラーレ、アドリ、ポベガの4人となっていますが、彼らはいずれも開幕から2試合はベンチスタート。アドリに至っては出場機会がありません。
この中だと、デ・ケテラーレは加入が遅れた事でチームへのフィットが遅れているだけであり、現システムにおいてもレギュラーを確保することは時間の問題でありそうですが、残り3選手に関してはより適したシステムがあるのではないかとも考えられます。その観点から、オプションの一つとして「4-3-1-2」採用の可能性が浮上しているのではないかなと推測します。
それでは、当該4選手と「4-3-1-2」について、具体的に考えていきましょう。
まずはオリギについて。開幕から2試合はいずれもレオンとの交代で途中出場した彼ですが、その位置はジルーと横並びとなる2トップと解釈できるものでした。

――参考1:ウディネーゼ戦後半におけるミランの攻撃時の平均ポジションについて。オリギ(27)の位置に注目

――参考2:アタランタ戦後半におけるミランの攻撃時の平均ポジションについて。オリギ(27)の位置に注目
そういった位置で彼は積極的に裏を狙いながら相手ゴール前に侵入していく形でチャンスメイクを図り、アタランタ戦ではエリア内でテクニックを用いてシュートチャンスを作り出すなど、ここまで短い出場時間ながらゴール前だと印象的なプレーを見せていますね。
また、これまでのリバプールでのプレーを踏まえると、アウトサイドレーンでボールを持ち、そこからドリブルで仕掛けて突破しチャンスを作り出すといったプレーにはあまり期待できませんが、中央に常駐するよりも広く動くことで持ち味を発揮しそうなタイプではあります。
したがって、彼を「4-3-1-2」の2トップの一角で起用するのはどうかという考えに行き着きます。これなら中央を主戦場としつつも、時にサイドのスペースに流れてパスを引き出すといった動きも行い易く、彼の持ち味を発揮できる可能性が高まるのではないかなと。
続いてアドリとポベガに関しては、「4-3-1-2」のインサイドハーフで起用することで持ち味をより発揮し易くなるのではないかと考えられます。
例えばポベガは、現システムにおいてダブルボランチの一角に起用されますが、PSMにおける彼のメイン役割は「前線への積極的な飛び出し」であるように見受けられました。一方、下がり目の位置でボールを引き出し、安定したパス出しでビルドアップに積極的に絡むといったプレーはトリノ時代からあまりやっておらず、少なくとも現時点では不得手であるように思われます。
そこで柔軟なポジショニングが求められる傾向のある現システムのボランチよりも、インサイドハーフで起用して上下動を重視した役割を任せた方がポベガにとっては向いているかなと。
アドリに関してはPSMだとトップ下で起用されておりましたが、その後このポジションにデ・ケテラーレが加入したことで彼の起用ポジションは不透明に。
個人的な印象ですと、アドリならこれから現システムのボランチにも十分に適応可能だと思いますが…。一方で、PSMで見せたようなゴール前へ侵入してチャンスメイクするといった形を積極的に求めつつ、かつ優秀なリンクマンとしてインサイドハーフ起用することで真価を発揮することは大いに期待できますね。
最後にデ・ケテラーレについてですが、彼の場合は現システムのままでも間もなくレギュラーの座を確保すると思います。ですが、「4-3-1-2」のトップ下で起用しても非常に面白いでしょうね。
一般的に「4-3-1-2」のトップ下は仕事量が多くなる傾向があります。中央にスペースを見出して後方から縦パスを引き出す役割はもちろんのこと、スペースのあるサイドに流れてパスを引き出す、もしくはサイドに流れた2トップ(の片方)に代わって裏に飛び出す等といった広範囲の動きが求められやすい、と。そして、そうした様々なエリアでパスを受け、プレーするためのフィジカルやテクニック・判断力が前提としてとても重要です(無論、周りのメンバーの得意とする動きや戦術に応じてタスクの比重が変わるため、一概に言えないところはありますが)。
この点、技術・身体能力・インテリジェンスを兼ね備えるデ・ケテラーレならばそうした多岐に渡るタスクもこなせるでしょうし、彼の持つポテンシャルをフルに発揮できる可能性は十分に考えられるでしょうね。
チームにおける「各フォーメーションの機能性」を考える上では、在籍選手の適正ポジションのみを判断材料にしてフォーメーションに当てはめるだけでは物足りず、各メンバーがその起用ポジションを基本にしながらチームの一員として具体的にどのように動くのか(動的なシステム)にまで踏み込まなければ十分に建設的な意見とはならないと思います。
しかし、「今のミランにおける『4-3-1-2』採用の是非」といった大きな話題を様々な角度から一様に語り尽くすことは難しいので、今回はあくまで新加入選手個々の能力と当該フォーメーションとの親和性がありそうだよねという話に止めておきます。
そして、ここまで見てきたように「新加入選手の能力を活かすことで、チームに更なるダイナミズムと選択肢を増やす」ことに焦点を合わせればオプションとしての「4-3-1-2」採用の可能性・妥当性はあるんじゃないかなという事で、この点に関する今後のピオリ監督の判断には大いに注目していきたいですね。
それでは今回はこの辺で。
ピオリはミラネッロでの練習において4-3-1-2を採用しており、デ・ケテラーレがトレクァルティスタとしてプレーしている――Sky
今回は何故「4-3-1-2」を練習で試すに至ったのか、その理由に関して推測していきます。
新加入選手の存在
結論から言うと、当該フォーメーションを採用する可能性が増している要因は「新加入選手の能力を活かすため」だと思います。
今夏ここまでの新戦力はオリギ、デ・ケテラーレ、アドリ、ポベガの4人となっていますが、彼らはいずれも開幕から2試合はベンチスタート。アドリに至っては出場機会がありません。
この中だと、デ・ケテラーレは加入が遅れた事でチームへのフィットが遅れているだけであり、現システムにおいてもレギュラーを確保することは時間の問題でありそうですが、残り3選手に関してはより適したシステムがあるのではないかとも考えられます。その観点から、オプションの一つとして「4-3-1-2」採用の可能性が浮上しているのではないかなと推測します。
それでは、当該4選手と「4-3-1-2」について、具体的に考えていきましょう。
オリギと4-3-1-2
まずはオリギについて。開幕から2試合はいずれもレオンとの交代で途中出場した彼ですが、その位置はジルーと横並びとなる2トップと解釈できるものでした。

――参考1:ウディネーゼ戦後半におけるミランの攻撃時の平均ポジションについて。オリギ(27)の位置に注目

――参考2:アタランタ戦後半におけるミランの攻撃時の平均ポジションについて。オリギ(27)の位置に注目
そういった位置で彼は積極的に裏を狙いながら相手ゴール前に侵入していく形でチャンスメイクを図り、アタランタ戦ではエリア内でテクニックを用いてシュートチャンスを作り出すなど、ここまで短い出場時間ながらゴール前だと印象的なプレーを見せていますね。
また、これまでのリバプールでのプレーを踏まえると、アウトサイドレーンでボールを持ち、そこからドリブルで仕掛けて突破しチャンスを作り出すといったプレーにはあまり期待できませんが、中央に常駐するよりも広く動くことで持ち味を発揮しそうなタイプではあります。
したがって、彼を「4-3-1-2」の2トップの一角で起用するのはどうかという考えに行き着きます。これなら中央を主戦場としつつも、時にサイドのスペースに流れてパスを引き出すといった動きも行い易く、彼の持ち味を発揮できる可能性が高まるのではないかなと。
ポベガ・アドリと4-3-1-2
続いてアドリとポベガに関しては、「4-3-1-2」のインサイドハーフで起用することで持ち味をより発揮し易くなるのではないかと考えられます。
例えばポベガは、現システムにおいてダブルボランチの一角に起用されますが、PSMにおける彼のメイン役割は「前線への積極的な飛び出し」であるように見受けられました。一方、下がり目の位置でボールを引き出し、安定したパス出しでビルドアップに積極的に絡むといったプレーはトリノ時代からあまりやっておらず、少なくとも現時点では不得手であるように思われます。
そこで柔軟なポジショニングが求められる傾向のある現システムのボランチよりも、インサイドハーフで起用して上下動を重視した役割を任せた方がポベガにとっては向いているかなと。
アドリに関してはPSMだとトップ下で起用されておりましたが、その後このポジションにデ・ケテラーレが加入したことで彼の起用ポジションは不透明に。
個人的な印象ですと、アドリならこれから現システムのボランチにも十分に適応可能だと思いますが…。一方で、PSMで見せたようなゴール前へ侵入してチャンスメイクするといった形を積極的に求めつつ、かつ優秀なリンクマンとしてインサイドハーフ起用することで真価を発揮することは大いに期待できますね。
デ・ケテラーレと4-3-1-2
最後にデ・ケテラーレについてですが、彼の場合は現システムのままでも間もなくレギュラーの座を確保すると思います。ですが、「4-3-1-2」のトップ下で起用しても非常に面白いでしょうね。
一般的に「4-3-1-2」のトップ下は仕事量が多くなる傾向があります。中央にスペースを見出して後方から縦パスを引き出す役割はもちろんのこと、スペースのあるサイドに流れてパスを引き出す、もしくはサイドに流れた2トップ(の片方)に代わって裏に飛び出す等といった広範囲の動きが求められやすい、と。そして、そうした様々なエリアでパスを受け、プレーするためのフィジカルやテクニック・判断力が前提としてとても重要です(無論、周りのメンバーの得意とする動きや戦術に応じてタスクの比重が変わるため、一概に言えないところはありますが)。
この点、技術・身体能力・インテリジェンスを兼ね備えるデ・ケテラーレならばそうした多岐に渡るタスクもこなせるでしょうし、彼の持つポテンシャルをフルに発揮できる可能性は十分に考えられるでしょうね。
まとめ
チームにおける「各フォーメーションの機能性」を考える上では、在籍選手の適正ポジションのみを判断材料にしてフォーメーションに当てはめるだけでは物足りず、各メンバーがその起用ポジションを基本にしながらチームの一員として具体的にどのように動くのか(動的なシステム)にまで踏み込まなければ十分に建設的な意見とはならないと思います。
しかし、「今のミランにおける『4-3-1-2』採用の是非」といった大きな話題を様々な角度から一様に語り尽くすことは難しいので、今回はあくまで新加入選手個々の能力と当該フォーメーションとの親和性がありそうだよねという話に止めておきます。
そして、ここまで見てきたように「新加入選手の能力を活かすことで、チームに更なるダイナミズムと選択肢を増やす」ことに焦点を合わせればオプションとしての「4-3-1-2」採用の可能性・妥当性はあるんじゃないかなという事で、この点に関する今後のピオリ監督の判断には大いに注目していきたいですね。
それでは今回はこの辺で。