2022-23シーズンへの期待と懸念
そこで今回は各メディアによる報道を参照しつつ、新シーズンへの期待と懸念について言及していきたいと思います。
優勝候補とアドバンテージ
ユーベ、ミラン、インテルという3つの有力チームに加え、今夏のメルカートではローマが最も積極的に動いて熱狂をもたらした。このリーグは激戦区であり戦術がものをいうから、現時点で優勝チームを予想するのは正直難しい。ただ言えることは、ここ6・7年でセリエAは進化し、サッカーの内容が改善されてきているという事だ――ジェンナーロ・ガットゥーゾ
ミラン、インテルという準備の整ったチームが2つあり、さらにローマ、ユーベの2クラブが構築を終えているように思う――CorSera
各メディアや個人の見解をざっと見る限り、ミラン、インテル、ユーベ、ローマの4クラブが上位予想されており、その中で優勝最有力候補はインテルと目されているように感じます。
基本的には昨季の上位チームがそのまま競争力を維持し、その中で唯一ナポリは過渡期を迎えているという事で、今季はそのナポリに代わる存在として大型補強を敢行したローマが期待されているという流れですね。
さて。そんなライバルチームに対し、ミランのアドバンテージはどこにあるのか。
ミランにとっての強みは継続性だ。確かにライバルチームが強化され、タイトル防衛が非常に複雑になったのは事実だが、ステファノ・ピオリ率いるチームは確立されたメカニズムを持ち、コンパクトで結束力の強いグループである。
それに加えてミランには若い選手が多く、彼らにさらなる改善の余地が十分にある。そのためピオリのチームはまだ大きく成長できるだろう。――CorSera
昨季はライバルと目されるクラブのほとんどが監督を交代していましたが、逆に今季は全てのライバルクラブが監督を続投させてチームの成熟を図っています。その点で他クラブとの相対的なアドバンテージは減少したともいえますが、ミラン自体はその継続性を活かして更にチーム戦術を発展させようとしています。
そして「若手選手達の伸びしろ」という点もやはり見逃せません。昨季も数多くの選手たちがシーズン中に成長を遂げ、その勢いがスクデット獲得の原動力になりましたが、先ほどの引用文にある通り彼らにはまだまだ成長の余地があります。
そして今季はデケテラーレ、アドリといった有望株も加わり、チームポテンシャルは更に増大。そのため良い意味で戦力を測りかねるクラブですし、今季も非常に楽しみですね。
過密日程への対応力
その一方、新シーズンに向けたミランの懸念も一つ考えられます。
もし重要なピースを失わないならインテルが優勝候補だ。ただしミランにはスピリットがあり、ミラノ勢は良い戦いになるだろう。一方のユーベは早くもポグバを負傷で欠いたことで、競争力が落ちているように見える。どのクラブも(選手の)深刻な負傷は多きな痛手となるよ――ファブリツィオ・ポンチローリ
もしも全チームが常時ベストメンバーでシーズンに挑めるのであれば、ミランがスクデットの最有力候補と評されても何ら不思議ではないと僕は思っています。しかしながらそんな仮定は実際にあり得ず、怪我やコンディション不良により主力の何人かが戦線離脱し、チーム力を落とす時期というのはほぼ必ずあるでしょう。
昨シーズンでいえば11月~12月頃です。セリエAとCLという2つのコンペティションを戦っていた当時のミランは過密日程に臨んでおり、そこに怪我人の続出という事態が重なりチームパフォーマンスが大きく低下。
その後CLのグループステージにて敗退したことで日程が楽になり、かつ怪我人も多く復帰した年明け以降は調子を上げられたものの、それだけに「過密日程への対応力(CLとの二足の草鞋をどこまで履けるか)」という点には疑問の余地があります。
この点、やはり「選手層の厚さ」というのがキーポイントになるはずですが、ミランは今夏ここまでの補強でアタッカー陣のクオリティを向上させることには成功したものの、全体的に見て選手層を厚くできたとは言い難いものがあります。
特にCBは懸念まみれであり、トモリ&カルルの次に控える選手が長期離脱明けのケアーと未だ見ぬ新加入予定選手(低コストは確実)というのはかなり気がかりです。左SBにも同様のことがいえますね。
今季のミランはリーグ戦で必ず4位以内に入り、かつCLでベスト16に進出することが当面の目標になりそうですが、そのためには主力(特に守備陣)に長期離脱者が出ないことが重要になると思います。
そして繰り返しにはなりますが、レギュラー陣だけでいえばミランは間違いなくセリエAトップクラスだと僕は考えているので、もし離脱者が少なく済めば上記の目標を上回ることも十二分にあり得るはずです。先に引用したコメント通り、離脱者の多寡は最終的なリーグ順位に大きな影響を与えるでしょうね。
それでは今回はこの辺で。