まだまだ続くミランのメルカート ~CB、中盤の補強はどうなる?~
無事にトップターゲットの確保に成功したことでまずは一安心といった印象ですが、今夏のメルカートで補強すべき(するかもしれない)ポジションはまだ残されています。
そこで今回は、デ・ケテラーレ獲得を決めた現在のミランの補強予算を確認しつつ、それを踏まえた上で今後のメルカートの動向について整理して見ていきたいと思います。
補強予算状況
今夏のミランの補強予算が「5000万ユーロ+選手売却費」というのはメルカート開幕当初から伝えられていることであり、実際ミランのここまでの動向を見るにその信憑性は高そうです。
🚨🚨 Charles De Ketelaere to Milan from Club Brugge for €36M (bonus included). Medical is expected to take place between Sunday and Monday
— CHAMPIONS OF ITALY 🏆 (@MilanEye) July 29, 2022
[@DiMarzio] pic.twitter.com/7j9884EVgN
そして上記有力ソースによると、デケテラーレの獲得に費やした額が「ボーナス込みの3600万ユーロ」であるという事で、基本となる残り補強予算は「約1500万ユーロ」と推定されます。
ここで論点となるのは、その額に「いくらの選手売却費が加算されるか」ですが、それは正直良く分かっておりません。例えば今年の5月末、ミランはレンタル移籍中だったハウゲをフランクフルトに完全移籍で放出しましたが、その際に得たであろう買取OP額(報道によるとおよそ800~1000万ユーロ)が果たして5000万ユーロの中に組み込まれたのか、もしくは「選手売却費」として基本の補強予算とは別に加算されたのか不明です(僕がこの手の報道を見逃しているだけかもしれないので、もし知っている方がいれば教えてください)。
そのため当記事では便宜上、残り補強予算を「約1500万ユーロ+α」とします。非常に曖昧で恐縮ですが、例え大まかな額でも議論を進める上では便利ですので、これを基にして話を進めていきたいと思います。
要補強ポジション
これまで、ミランの補強ポイントとして報じられてきたのが「2列目アタッカー、CB、中盤」です。
この内、2列目アタッカーはデケテラーレの補強や新戦力アドリの活躍により完了したと見なしても良いと思います(この点、右サイド補強の必要性は依然として議論されますが、報道を見るに現有戦力の放出が無い限りサイドアタッカー補強は無さそうです)。
そのため、これから更なる補強が必要とされるポジションはCBと中盤になります。
CB
選手層の観点から、より補強の重要度が高いのは「CB」ではないでしょうか。
というのも現有戦力を見てみると、ロマニョーリはラツィオ移籍が正式発表され、ケアーは未だ実戦復帰に至らず、そしてガッビアはレンタル移籍が濃厚という状況ですから、現時点で確実な戦力といえるのがトモリ、カルルのレギュラーコンビのみです。
ミランが新しいCBを確保したとき、ガッビアはサンプドリアにレンタル移籍することになる――
Di Marzio
そこで、これまでミランのCB補強候補として様々な名前が挙がりましたが、現在ホットな名前がトッテナム所属のタンガンガとフランクフルト所属のヌディカです。
彼らについては既に当ブログでも言及していますが、タンガンガはレンタルでの獲得が可能とされ、コストが比較的安く済みそうだというメリットがあります。ただし実力的には懸念材料がいくつかあり、即レギュラークラスの補強と考えるとリスクがあるかもしれません。
一方、ヌディカはフランクフルトとの契約が残り1年という事で市場価格よりも安く獲れるとのことですが、それでも推定価格はおおよそ1500~2500万ユーロとされており、上記のミランの残り補強予算ではかなり厳しいものがあります。
ただし、即戦力として期待できるのはヌディカの方であるように思われます。22歳ながら経験があり実力も備えているという事で、もしもミランに来てくれれば大きな戦力アップが期待されますね。
とは言え、資金面の理由からCBは「レンタルによる補強」パターンが濃厚でしょう。その意味で、タンガンガの方が獲得レースをリードしているのは確かだと思います。
中盤
続いては中盤の補強候補についてです。
この点、今なお最有力候補としてレナト・サンチェスの名前が挙がり続けています。報道だとサンチェス自身はPSGへの移籍を熱望し、所属元のリールとの交渉成立を待っているようですが、リールはPSGよりも高い移籍金を提示したミランにサンチェスを売りたがっている模様です。
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そしてミランはあくまでもサンチェス獲得を諦めてはいないようで、もうしばらくこの状態が続くのかもしれません。
PSGがまだリールに良いオファーを出していないため、マルディーニは今夏のサンチェス獲得を諦めるつもりはないようだ。1500万ユーロと言われるサンチェスの値段は破格であり、ミランのシステムにも完璧にフィットする。
しかし、ミランはサンチェスの年俸に関してはPSGに対抗できないため、リールから彼を獲得するにはPSGが興味を失うまで待たねばならないのが現状だ。――calciomercato.com
約1500万ユーロをサンチェスに投じるつもりがあるからこそ、ミランはCB補強を安価(レンタル)で済ませようとしているはずです。そのため、もしサンチェスを逃した場合には浮いた予算をCBに回し、それこそヌディカのような選手を獲りに行くシナリオも考えられそうですね。
一方、サンチェスの代替候補としてアストン・ヴィラに所属するチュクエメカの名前も浮上しており、契約期間が残り1年となっている彼を獲得しにいくのであれば、そのまま中盤に残り予算のほぼ全てを投じることになる可能性が高いです。
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さて。このように今夏の残り補強予算をどのように使っていくか(いくべきか)というのは重要な論点になります。
そこで、ひとまずはサンチェスとの交渉の結末に注目ですね。彼の獲得に成功した場合、予算的にミランの今夏メルカートの動向はほぼ決定づけられそうですが、もし逃した場合は浮いた予算の使い道(ポジション)を含め、戦略の練り直しを余儀なくされるかもしれません。
そして、もう一つの注目は「現有戦力の放出はあるのか」という点です。
個人的に無いとは思いますが、メルカートには予測不可能な側面があるのも事実。もしここからレギュラークラスの売却があれば、その後釜確保や他ポジションの追加補強などで色々と動くことになる可能性は考えられますね。
そんなわけで、まだまだ楽しませてくれそうな今夏のメルカート。デ・ケテラーレというトップターゲットは既に確保できたことですし、個人的にここからは少し余裕を持ちつつ注視していきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。