ヴォルフスベルガー戦マッチレビュー【2022-23プレシーズン・3戦目】

今回はミランの今プレシーズンマッチ3戦目、ヴォルフスベルガー戦のマッチレビューを軽くですが行いたいと思います。

ビルドアップ


前回のZTE戦では2-3の敗戦を喫したミランでしたが、このヴォルフスベルガー戦では5-0と完勝を収めています。



その理由についていくつか考えていくと、まずは「主力メンバーのみで望めたこと」が挙げられると思います。

【22-23】ヴォルフスベルガー戦_スタメン_TACTICALista_20227281951
――ヴォルフスベルガー戦、ミランのスタメン

これまでの親善試合では起用可能メンバーの制約上、バカヨコやバロトゥーレ、ブレッシャニーニなどを先発起用せざるを得ず、主にビルドアップの面で苦戦を強いられたミラン。それにより相手プレッシングの網に引っかかってカウンターを食らうなど、リズムを作れない状況・時間帯が生じやすくなってしまいました。

一方、この試合のヴォルフスベルガーもプレッシングの際には思い切り良く寄せてきましたが、それに対してミランは柔軟に対応。
CBを大外に開かせたり、SB(主にテオ)が内に入ったりしてプレスの的を絞らせず、その前方ではCFレビッチがクルニッチと入れ替わるように下がって楔のパスを受けるなどして相手の守備組織をかき乱していきます。
そして相手のマークを外してボールを前進させられれば、後はテオやレオンを中心とする速攻でチャンスを量産していく、と。

この点に関し、中盤の流動性というのは見どころの1つだったかと思います。
ダブルボランチのベナセルとクルニッチは前者がバランスを取り、後者が積極的に前に出てチャンスに絡んでいくといった形で役割を分担し、どちらも広いエリアを担当します。時としてベナセルは最終ラインに下がったり、クルニッチは一気に最前線に飛び出したりなどですね。
それに応じて、トップ下のアドリやCFのレビッチも幅広く動いていきます。先のダブルボランチの動きにより生じた中盤のスペースに下がり、パスを引き出すなどの形でチームの前進に絡んでいきました。

【22-23】ヴォルフスベルガー戦_戦術分析1
――例えばこの場面。ここではアドリが流れの中で最終ラインに入る。ベナセルは最終ラインの手前に位置し、一方クルニッチはやや高い位置で裏への飛び出しを意識。そこで、レビッチが中盤のスペースに下がって縦パスを引き出した

新加入選手であるアドリがこうした動きの中に違和感なく溶けこめているのは素晴らしいですし、彼の適応力の高さというのが窺えますね。


崩し


続いてはポジショナルな崩しの局面においてです。

相手を押し込んだ状況において、ミランは主に左サイドに人数をかけて崩しを図りました。


【22-23】ヴォルフスベルガー戦_戦術分析2
――崩しの局面における一場面

この局面でも違いを生み出したのはアドリです。彼のパスセンスにより相手のブロック内に縦パスを通し、そのパスをスイッチにチームとして崩しを図るという形が一度ならず見られています。

また、アドリは右サイドではレビッチ、サレマ等とのコンビネーションプレーにより積極的にゴール前のスペース(ニアゾーン)に侵入。そのスペースからチームの2点目をアシストしました。


【22-23】ヴォルフスベルガー戦_戦術分析3
――例えばこの場面。右サイド深くのカラブリアからアドリ、サレマ方向にパスが送られる。ここでアドリは横のDFが寄せてきていることと、それにより生じる背後のスペースを認識し、スルーを選択。そのためサレマがボールを受け、アドリはスルーと同時に当該スペースに走り込む。


【22-23】ヴォルフスベルガー戦_戦術分析4
――その後の場面。アドリは狙い通りの形でサレマからスルーパスを引き出した


まとめ


ZTE戦の敗北を払拭する見事な勝利を収めたミラン。

この試合では「アドリのスタメン時のパフォーマンス」が注目ポイントの1つであったわけですが、彼は先述の通り素晴らしい活躍を披露。守備でも精力的なプレッシングを披露し、スコアポイントも1ゴール・1アシストと申し分のない出来でした。

また、彼以外のスタメン組も動きにキレがありましたし、開幕に向けて非常に順調な調整が出来ているように見受けられますね。

さて。次回の試合は日本時間で8月1日の深夜1時、相手はマルセイユです。
マルセイユは今回のミランのプレシーズンマッチで一番の強敵でしょうし、ミランにとしてはこの貴重な試合を是非とも有意義なものにして欲しいと思います。

それでは今回はこの辺で。

2Comments

kiyuu

いつも投稿ありがとうございます。
楽しく読んでいます。
プレシーズンマッチで初めて見たのですが、ルーマニアのアンドレイ・クビーシュが機会を与えたら、化けそうで面白い存在になりそうだなぁと感じました。

  • 2022/07/29 (Fri) 20:27
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マツモト

期待

今期トップ下含めたMFの選手はラデ、トナーリ、ベナ、アドリはみんな可動範囲が広い色々なポジションが出来るというのではなく一試合の中でCBからFW、WG誰がどこに動こうとも互いにカバーできるレビッチ、サレマも近い形だし移籍して来るケテラーレもポベガも慣れれば出来ると思う出来るだけ中盤の人数を増やしたフォメにしてもらえばどのような試合運びになるのか楽しみ。

10点をとる人が10人出て来るというのも有りかな、ケテラーレはチェルシーのハフェルツのように気がつけばセンターFWもやらされていそう、アドリもパス&ゴーと毎回ゴール前に飛び込む動きがうまいのでケテラーレとツートップやれば新しい攻撃の形になるかも。

  • 2022/07/29 (Fri) 21:05
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