アンブロジーニが語る「印象的なシーズン」について
『Milannews』に掲載された彼のインタビュー内容が興味深いものでしたので、そのいくつかに言及していこうと思います。
2012-13シーズン
ガットゥーゾ、インザーギ、ネスタといった主力選手が一斉に退団した2012年は精神的にとても辛かった。チームの柱を失うことになると分かっていたし、今までにない状況に陥ることへの恐怖を感じていたよ。しかも同時期にイブラヒモビッチとチアゴ・シウバもいなくなった。だから以前のような競争力は維持できないと認識していたね
ミラニスティを絶望の底に突き落とした12-13オフシーズン。この時期は今なお忘れがたいものです。
上述した好守の要とレジェンド選手の計5選手が退団したことに加え、セードルフ(同様にレジェンド)、ザンブロッタ、ファンボメル、カッサーノ、アクイラーニ等々本当に多くの主力・ベテランがチームを去りました。
当時のカピターノであり、数少ない「生き残り」となったアンブロジーニの心労は推して知るべきものがありましたが、やはり精神的にキツかったとのこと。その彼も翌年にはフィオレンティーナに移籍することとなり、その際の退団発表会見で不満も覗かせた彼には強い共感と同情を覚えたものです。
2003-04シーズン
一方、かつてスクデットを獲得した03-04シーズンのミランについては以下のように追想しています。
2003-04シーズンのチームは強かったね。前年にはチャンピオンズリーグを制覇し、既に一つの自尊心と組織が出来上がっていたんだけど、そこから更なる補強を行う驚異的なチームだった。カカについては正直なところ、当初の私は他のチームメイトとは違う印象を持っていてね。最初のトレーニングではまだ準備ができていないような気がしていたんだ。でもリーグ開幕戦のあと、もしや私の予想は間違っているのではと思ったよ(笑)
前年のCL優勝チームにカカ、カフー等を加えたチームは堅い守備と破壊力のある攻撃を兼ね備え、最終的には2位ローマに勝ち点差「11」をつけてセリエA優勝を果たしています。
このシーズンで起きた最大のサプライズは何といっても「カカの大活躍」でしょう。ブラジルからやってきた若きホープは予想を遥かに上回る驚異的な適応を見せ、リーグ戦10ゴール5アシストを記録する素晴らしい活躍を披露、チームのスクデット獲得に大きく貢献してくれました。
この点、カカのクオリティには監督であるアンチェロッティを始め多くの関係者が加入早々に度肝を抜かれたという話があったと思うのですが、一方で当初のアンブロジーニはやや懐疑的だった模様です。こういう裏話はとても興味深いですね。
2010-11シーズン
最後に、アンブロジーニがカピターノになって初のスクデットを獲得した2010-11シーズンについてです。
2010-11シーズンはイブラがやってきて、クラブは再び優勝を目指すようになった。風向きが変わったシーズンだったね。イブラ加入のニュースが流れた時、アッレグリにそのことを確認したら「本当だ」と言われたのを覚えているよ。それからは「彼ら(イブラ、ロビーニョ)がやってくれば…」と自分たちに言い聞かせながら練習に臨んでいた。とても良いプレーを見せられたシーズンだったし、アッレグリはチームのスター選手たちを上手にまとめていたよ。当然のように獲得したスクデットだった
カカの移籍、マルディーニの引退、アンチェロッティの退任があってから2年。停滞感漂うチームに新風を巻き起こしたのがイブラヒモビッチでした。
勝利への飽くなき執着を見せるイブラに触発されたチームは活気を取り戻し、百戦錬磨のベテランを中心に構成されたスタメンは盤石の試合運びを披露。シーズン通して24失点に抑えた堅固な守備と、リーグ2位となる65得点を記録した流動的な攻撃を武器に勝利を積み重ね、総勝ち点「82」で優勝を果たしました。
そしてイブラは約10年後、ミランに帰還し再びチームを蘇らせます。今度は自身の持つ「勝者のメンタリティ」をチームに伝播し、その影響を受けた若手選手たちが躍動。チームは11年ぶりとなるスクデットの獲得に成功しました。
いずれもミラン優勝のキッカケとなったのはイブラであるといえますし、役どころは異なれどチームを優勝に導く極めて重要な貢献を果たしてくれていますね。
アンブロジーニに話を戻すと、彼は10-11シーズンにおいて主力としてスクデット獲得に貢献。怪我による欠場もかなり多かったとはいえ、出場すれば見事な活躍を見せてくれました。
彼はミランの他のスター選手と比べ地味ではありますが素晴らしい能力を持っていましたし、ミランのカピターノとしての資質に足るレジェンド選手の1人ですね。
それでは今回はこの辺で。