メシアスもミラン完全移籍へ! ~プレーに関する2つの側面について~

ジュニオール・メシアス
昨夏に買取OP付きのレンタルで加入したジュニオール・メシアス。
その彼を「完全移籍で獲得するかどうか」というのは今夏のメルカートにおける論点の一つでしたが、報道によればどうやら買い取る方向に進んでいるようです。



買取額については、シーズン後の値引き交渉に臨んだミランが当初の設定額よりも安い「約350~450万ユーロ」で買い取ることでクロトーネと合意。報道によって取引額には若干のバラつきがありますが、いずれにせよ当初の設定額(540万ユーロ)と比べ約100万ユーロ以上の値引きに成功したようです。


メシアスのプレースタイル

先月に31歳を迎えたメシアスを完全移籍で獲得するというのは、今のミランの補強方針からすると「異例」寄りの選択といえます。そのため、今季の彼のパフォーマンスがミランフロントとコーチを納得させ、来季以降も一定の貢献を果たしてくれるだろうと判断されたのだと思われます。

それでは、今季のメシアスについて振り返っていきましょう。
今季の彼は公式戦32試合(1749分)に出場して6ゴール3アシストをマーク。なお、先発は17試合です。
数字だけを見るとまずまず、もしくは物足りないという評価でしょうか。個人的には彼の守備面での貢献を踏まえて、「まずまず」という印象です。

続いてメシアスのプレーについて振り返っていくと、右サイドハーフのライバルであるサレマと比較したときに「2つの側面」に注目したいところ。1つはメシアスの「フィニッシャー」としての側面です。
ミランの攻撃時のストロングポイントが左サイドにあるというのは周知の通りで、レオンとテオを中心に数多くのチャンスを作り出していきました。

そしてそんな時、右サイドハーフにはゴール近くにポジションを取りゴールに絡む仕事が求められるようになります。この点、メシアスは「フィニッシャー」としての一定の貢献を果たせていたのではないかなと。

一例として、CLグループステージ第5節のアトレティコ・マドリー戦と、セリエA第15節のジェノア戦のゴールシーンを提示します。


(57秒~)


(2分20秒~)

こうしたプレーをメシアスの「強み」とまで評するのは難しいですが、少なくとも一定のレベルには達していると思います。


続いては「スーパーサブ」としての側面です。メシアスはシーズン後半戦、具体的には2月頃から2カ月ほどサレマからスタメンの座を奪い、先発出場を続けていました。が、その頃は結果をほとんど残すことができず(サレルニターナ戦の1ゴールのみ)、終盤戦は再びベンチに座り途中出場する形が多くなります。

しかし、後者の形で結果を残したのがメシアスでした。彼は出場の無かった最終節を除く最後の5試合の内4試合に途中出場し、1ゴール2アシストを記録。
更に言うと、先述のアトレティコ戦においても途中出場から決勝ゴール、また誤審により取り消されたスペツィア戦の(幻の)決勝ゴールも途中出場からという事で、今季の彼はスーパーサブとして非常に印象深い活躍を見せてくれました。

ここまで取り上げた2つの側面が両方見られた代表例として、第33節のジェノア戦を掘り下げたいと思います。



この試合のメシアスはチームが1点リードで迎えた61分、レビッチと共に投入され右サイドハーフを担当。レオンとテオ、そして1トップに入ったレビッチが左寄りにポジションを取り、彼らを中心に左サイドからガンガン崩しを図っていく一方、メシアスは左サイドからゴール前の折り返しを受ける役割、すなわちフィニッシャーとして逆サイド側で構えます。

【21-22】ミラン対ジェノア_戦術分析9
――例えばこの場面。レオン、テオの連携により左サイドからエリア内に侵入するミラン。そこからファーサイドで待つメシアスにクロスが送られた

そして87分、レビッチの中へのクロスに反応したメシアスがゴールに押し込み、勝利を決定づける貴重な追加点を獲得した、と。


(1分33秒~)

このようにメシアスは自らの役割を自覚し、途中出場からでもその役割を遂行できる献身性や適応力を持っていると思いますし、こうしたスーパーサブ適性ともいうべき能力は貴重です。まして、今夏のミランは右サイドに大金を費やしレギュラークラスを連れてくるというのが確実視されていますから、その控えとしてメシアスを配するという形は能力的にも彼の人柄を考慮してもチームにとって良いんじゃないかなと。


最後に。メシアスの買取が決まったとしても、ミランには本命選手の補強やサレマの去就など、右サイドに関して考えるべきことは多いです。しかもメシアスにしても、買い取った後に放出するかもなんて話も一部では報じられていますしね。

来シーズンに向け、ポイントとなるであろう右サイドの編成はこれからも要注目ですね。

それでは今回はこの辺で。

7Comments

マツモト

ほぼ

同意です、シュートもクロスも他の人よりいい、売りのドリブルがもう一つな気がしますのでスペースが潰れる前にミドルレンジでのクロスをどしどしジルーに積極的に入れてもらいたい、もちろんサブとしての評価は合格です。
こうなるとサレマの去就がねーあんまりチョロチョロしないでシンプルにやってもらいたい、ヴィニシウスの様に急にゴールに入り出すということも無きにしも非ずですので一年レンタルで我慢してみるのも有りでは❓

  • 2022/06/16 (Thu) 18:58
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hiromiffy

叩き上げはほんまメンタル強い。

  • 2022/06/17 (Fri) 11:41
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カカニスタ22

カカニスタ22

To マツモトさん

コメントありがとうございます。

現時点でサレマはやろうとするプレーと技術力に乖離がある印象を受けますね。クロスや飛び出し、ラストパスの精度・判断が向上すればよいのですが、現状ですと放出もやむなしかなという感じです。
レンタルの可能性ももちろんありますが、後釜確保の必要性からクラブは現金(完全移籍)の方を重視するかもしれませんね。

  • 2022/06/17 (Fri) 21:55
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カカニスタ22

カカニスタ22

To hiromiffyさん

コメントありがとうございます。

メシアスは異色のキャリアですが、それを強みとしている印象がありますよね。

  • 2022/06/17 (Fri) 21:57
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  • 2022/06/20 (Mon) 00:48
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tonimi

こんばんは。前契約の期日が過ぎたので、今週中にフロレンツィとメシアスの買取OPに関して何かしら公式から発表がありそうですが、そんな中でメシアスの件で想う事を。

 能力的な面においての話しは色々と想う所がありますが今回は控えまして、買取OPに関して想う点はカカニスタさんがフロレンツィの際に言っていた減額交渉でしょうか。

 そもそも、メシアスはFCクロトーネから【 ローン料2.6mの1年ローン。5.4mの買取OP+ボーナス1m 】で加入したと云われています。
そのローン元のクロトーネは昨シーズンのセリエBへの降格で、攻撃の要であったメシアス、シミーを失った結果、今シーズンセリエCへの降格で2年連続で降格する事になりました。その為、仮にミランがOP行使しないで戻っても3部降格の為、本人も余程残留希望をしない上に年俸を負担出来ないですし、貴重な資金源として放出は決定的です。

 そんな中で、ミランは上記の契約の買取OP額の減額を交渉していると云うのが、今回の記事の冒頭にあり、更に買い取った後に本人の合意があれば転売してキャピタルゲインを得ようとも言及されていますよね。この面は、ドライにビジネスで鑑みたら限られた予算の中でやり繰りをして、利益を出そうとしているのでミラン至上主義でみれば良い事なのだと想います。
ただ、昨今コロナもあり厳しい情勢の中、元々下部のクラブが破産してセリエDからのリスタートを強いられる事が多いセリエの現状を鑑みると、資金力のあるローマ相手とクロトーネの減額交渉はちょっと内容が違ってくるかな?っと想って気になります。
セリエCはトータル60チームでBへの昇格4チームを争う世界的に見てもちょっとアレなリーグです(笑)その熾烈な競争を勝ち抜く為に、クロトーネにとってはメシアスの売却資金は非常に貴重な資金源になると想いますし、もっと云えば貴重な運営資金に充てられても可笑しくありません。なので、オファーをしているクラブも足元を見てミランとの買取OP額より少ない金額提示をしている可能性があるので、一概には言えませんが仮に及第点に近い活躍をしたメシアスを買い取るならその金額で。そうで無いなら個人的にローンバックでも良いかなっと。結局、クロトーネが数年後に破産していても正直可笑しく無い状況なのが今のセリエなので。この件では、先々の繋がり含め相手の事情を汲んで懐広く対応しても良いのかなっと想ってしまいます。

 上記に似た件が実際、今のミランのローン選手でも起こっています。トルコのバシャクシェヒルFKへローン中のCBドゥアルチがレギュラーとしてチーム4位フィニッシュに大きく貢献したにも関わらず買取OP額5.5mの減額を要求されていると聞くと、主力で使っておいて減額なのか!?って想いますよね。そういう事を考えたら、今シーズンの冬にモナコからペッレグリを減額して買い取り、トリノに転売して利益を得ようとし相手からローン打ち切りされたのは当然かなっと相手側になれば想う限りです。

 話しが逸れましたが、ミランが一番大切で重要なのは当たり前なのですが。そういった上記の点やセリエを代表するチームとして、下部リーグのクラブにも配慮出来る余裕があれば良いのにっと勝手ながら想像してしまう面がこの件にはあると云う事でした。どうなるのか公式発表が待ち遠しい限りです。

  • 2022/06/20 (Mon) 02:13
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カカニスタ22

カカニスタ22

To tonimiさん

返信が遅れてしまいすみません。ブログのフォーマット変更の影響もあり、コメントに気付きませんでした…。
非公開の方と合わせ、コメントありがとうございます。後日そちらの方へ連絡させていただきますね。

財政的に大きな改善がなされているとはいえ今なお赤字クラブであるミランにとって、少しでも切り詰められそうな部分は徹底的に切り詰めるという姿勢は適切なのかなとは思います。
ただ仰るように、他クラブの立場になって考えたときに極めてドライな方針であることは確かですよね。それこそ、かつては移籍金の取り分を全て古巣に譲渡したカカに対し、ミランがもう一度選手に同額を渡したなんて話がありますが、今のクラブ方針ではあり得ないムーブだと思います。

今は自クラブ最優先という方針が当然としても、いずれはリーグ振興の方にも目が向けられるくらいに財政が安定すると良いですよね。

  • 2022/06/22 (Wed) 14:05
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