メシアスもミラン完全移籍へ! ~プレーに関する2つの側面について~
その彼を「完全移籍で獲得するかどうか」というのは今夏のメルカートにおける論点の一つでしたが、報道によればどうやら買い取る方向に進んでいるようです。
🚨 Agreement reached between Milan and Crotone for the outright purchase of Messias for €4.5M+bonus
— CHAMPIONS OF ITALY 🏆 (@MilanEye) June 15, 2022
[@DiMarzio] pic.twitter.com/dWfKExPAur
買取額については、シーズン後の値引き交渉に臨んだミランが当初の設定額よりも安い「約350~450万ユーロ」で買い取ることでクロトーネと合意。報道によって取引額には若干のバラつきがありますが、いずれにせよ当初の設定額(540万ユーロ)と比べ約100万ユーロ以上の値引きに成功したようです。
○メシアスのプレースタイル
先月に31歳を迎えたメシアスを完全移籍で獲得するというのは、今のミランの補強方針からすると「異例」寄りの選択といえます。そのため、今季の彼のパフォーマンスがミランフロントとコーチを納得させ、来季以降も一定の貢献を果たしてくれるだろうと判断されたのだと思われます。
それでは、今季のメシアスについて振り返っていきましょう。
今季の彼は公式戦32試合(1749分)に出場して6ゴール3アシストをマーク。なお、先発は17試合です。
数字だけを見るとまずまず、もしくは物足りないという評価でしょうか。個人的には彼の守備面での貢献を踏まえて、「まずまず」という印象です。
続いてメシアスのプレーについて振り返っていくと、右サイドハーフのライバルであるサレマと比較したときに「2つの側面」に注目したいところ。1つはメシアスの「フィニッシャー」としての側面です。
ミランの攻撃時のストロングポイントが左サイドにあるというのは周知の通りで、レオンとテオを中心に数多くのチャンスを作り出していきました。
そしてそんな時、右サイドハーフにはゴール近くにポジションを取りゴールに絡む仕事が求められるようになります。この点、メシアスは「フィニッシャー」としての一定の貢献を果たせていたのではないかなと。
一例として、CLグループステージ第5節のアトレティコ・マドリー戦と、セリエA第15節のジェノア戦のゴールシーンを提示します。
(57秒~)
(2分20秒~)
こうしたプレーをメシアスの「強み」とまで評するのは難しいですが、少なくとも一定のレベルには達していると思います。
続いては「スーパーサブ」としての側面です。メシアスはシーズン後半戦、具体的には2月頃から2カ月ほどサレマからスタメンの座を奪い、先発出場を続けていました。が、その頃は結果をほとんど残すことができず(サレルニターナ戦の1ゴールのみ)、終盤戦は再びベンチに座り途中出場する形が多くなります。
しかし、後者の形で結果を残したのがメシアスでした。彼は出場の無かった最終節を除く最後の5試合の内4試合に途中出場し、1ゴール2アシストを記録。
更に言うと、先述のアトレティコ戦においても途中出場から決勝ゴール、また誤審により取り消されたスペツィア戦の(幻の)決勝ゴールも途中出場からという事で、今季の彼はスーパーサブとして非常に印象深い活躍を見せてくれました。
ここまで取り上げた2つの側面が両方見られた代表例として、第33節のジェノア戦を掘り下げたいと思います。
この試合のメシアスはチームが1点リードで迎えた61分、レビッチと共に投入され右サイドハーフを担当。レオンとテオ、そして1トップに入ったレビッチが左寄りにポジションを取り、彼らを中心に左サイドからガンガン崩しを図っていく一方、メシアスは左サイドからゴール前の折り返しを受ける役割、すなわちフィニッシャーとして逆サイド側で構えます。

――例えばこの場面。レオン、テオの連携により左サイドからエリア内に侵入するミラン。そこからファーサイドで待つメシアスにクロスが送られた
そして87分、レビッチの中へのクロスに反応したメシアスがゴールに押し込み、勝利を決定づける貴重な追加点を獲得した、と。
(1分33秒~)
このようにメシアスは自らの役割を自覚し、途中出場からでもその役割を遂行できる献身性や適応力を持っていると思いますし、こうしたスーパーサブ適性ともいうべき能力は貴重です。まして、今夏のミランは右サイドに大金を費やしレギュラークラスを連れてくるというのが確実視されていますから、その控えとしてメシアスを配するという形は能力的にも彼の人柄を考慮してもチームにとって良いんじゃないかなと。
最後に。メシアスの買取が決まったとしても、ミランには本命選手の補強やサレマの去就など、右サイドに関して考えるべきことは多いです。しかもメシアスにしても、買い取った後に放出するかもなんて話も一部では報じられていますしね。
来シーズンに向け、ポイントとなるであろう右サイドの編成はこれからも要注目ですね。
それでは今回はこの辺で。