フロレンツィ、ミランに完全移籍へ!
今回はSeiyaroさんにいただきましたお題「フロレンツィのローマからの買取について」という事で、ローマからミランへの完全移籍が濃厚になったフロレンツィについて言及していきたいと思います。
○21-22シーズンのフロレンツィ
まずは戦力的な観点について、フロレンツィの今シーズンの活躍を振り返りながら買取の是非を考えていきましょう。
今季のフロレンツィは公式戦30試合(プレー時間にして1418分)に出場して2ゴールを記録しました。

――今季におけるフロレンツィの出場ポジション、得点、アシスト(『transfermarkt』より。出場時間の少なさ等により3試合分のデータがここでは記載されず)。第25節のサンプドリア戦、第29節のエンポリ戦では左SBとしても先発し、チームの勝利に貢献した
シーズン当初は右サイドハーフで少なからず出場機会を得ますがパッとせず、また怪我による離脱もありチームへの適応に出遅れることになったフロレンツィ。しかし11月下旬の第13節フィオレンティーナ戦で復帰し、右SBとして出場すると、以降は同ポジションを主戦場とします。
そして、第16節から22節にかけてリーグ戦7試合連続で先発出場。この時期は右SBのレギュラーであるカラブリアが離脱していましたが、フロレンツィが様々なタスクをこなしながらその穴を補う活躍を見せてくれました。
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その後、カラブリアの復帰に伴い再びベンチに控える時間が長くなりましたが、彼は経験豊富な頼れるベテランとしてチームを支える役割を全う。「喋り過ぎ」とジョークを言われるほどチームメイトに声をかけてムードメーカーとなり、また時にはミスをして落ち込む選手を激励するなど、その貢献はピッチ外からも随所に見受けられました。
we know it’s not your fault, we hope you’ll understand it.
— frasca (@frascone_ilaria) December 7, 2021
ti vogliamo bene @fikayotomori_ pic.twitter.com/wufPE9yBuN
――CLグループステージ第6節、リバプール戦の試合後のシーン。この試合で失点に直結するミスを犯したことに責任を感じ、うなだれるトモリ。そこへフロレンツィが近づき、激励する
シーズン終盤戦には1カ月ほど怪我をしてしまい離脱を余儀なくされますが、カンピオナート最後の3試合で復帰。復帰戦となったヴェローナ戦では途中投入からわずか数分後に貴重な追加点を挙げる活躍を見せ、チームの勝利を決定づけてくれたことはまだ記憶に新しいところです。
さて。今季のフロレンツィの活躍をざっと振り返りましたが、彼のチームへの貢献というのは非常に貴重なものがあったと思います。
先述の通り、ピッチ内においては様々なタスクをこなし、緊急時においては左SBもこなすなどの献身性やユーティリティー性を披露。そしてピッチ外においてはムードメーカー役を買って出てチームを盛り上げ、時には鼓舞することで若手選手主体のチームを大いに助けてくれた、と。
レギュラーとして活躍した時間こそ長くありませんでしたが、このようなフロレンツィの貢献度というのは数字では測れない部分も大きいです。そのため、ミランがフロレンツィを完全移籍で獲得するという判断は極めて妥当ではないかと思います。
ちなみに僕個人としてもフロレンツィには大きな好感を抱いていたため、そんな彼の買取が濃厚になったのは非常に嬉しいですね。
○ミランの交渉
それでは最後に、フロレンツィの買取内容についてです。
当初のミランはフロレンツィ獲得に際して150万ユーロのレンタル費用に加え、450万ユーロの買取OP付き契約を結んだとされています。
しかし、シーズン後に両クラブ間で再び交渉がなされた結果、買取OP額の減額に成功。具体的な額については各メディアで若干のバラつきがありますが、一有力ソースによれば買取額は270万ユーロになったとのことです。
📰 Di Marzio: #Florenzi will join AC Milan for €2.7m. pic.twitter.com/9P2uRxlxFO
— Milan Posts 🏆🇮🇹 (@MilanPosts) June 9, 2022
この点、ミランの積極的に減額交渉を行う姿勢に関しては賛否両論あるようですが、個人的にはクラブ至上主義のミラニスタとして、心情的にどうしてもミランを支持したくなります。
その一方で、減額交渉相手のクラブやそのサポーター、また彼らの気持ちを尊重するミラニスティがこのようなミランの姿勢に疑問を呈する気持ちも分かりますし、これについては僕としてもその時々の立場によって感想が変わるでしょうから反論できません。
また、実務上の観点から見て気になるのは、こうした姿勢により「レンタル交渉における信用性を損なうのではないか」という点です。
というのも、シーズン後にこのような買取OPの減額交渉をやることが恒例化してしまうと、当初の交渉における設定額の意義は薄くなります。そうなれば、ミランとの買取OP付レンタル交渉自体に難色を示されてしまい、延いては選手獲得が難しくなってしまうリスクが生まれてしまうのかなと。
個人的には、前体制時代のようなどんぶり勘定ではなく徹底的に支出を抑えようとする現体制のこうした姿勢には好感が持てるのですが、相手方の機嫌や信用を損なうのは長期的に見て絶対によろしくないですから、こうした交渉に際しては細心の注意が求められるでしょうね。
その点、今回のフロレンツィに関しては両クラブ納得づくの減額だとは思うので、個人的な意見としては問題なかったのかなと。
ここからも無事に滞りなく交渉が進み、フロレンツィ完全移籍の正式発表が待たれるところです。
それでは今回はこの辺で。