ジャンパオロ・ミランのスタメンはどうなる?【予想】


数多く挙げられていたミランの新監督候補もいよいよ絞られ、最後に残ったのはシモーネorジャンパオロの2択のようですね。

ドナドーニなんて名前が出た時は眩暈がしましたが、この2人であればどちらでも文句ありませんし本当に良かったです。


そんな今回は、有力候補の1人であるジャンパオロがもしもミランに就任した場合のミランの予想スタメン、及び補強必須ポジションについての個人的見解を書いていこうかなと。

本当は昨日の記事にまとめて収めたかったのですが、文量が多かったので分けました(笑)


まず、下図が僕の考える予想スタメンです。

ミラン4-3-1-2


※「?」と示している部分が補強希望ポジション、「()」が代替選手です。
※戦術はサンプドリア時代と同様のものを想定



続いて、それぞれのポジションを詳しく見ていきます。


GK

ドンナルンマが残留を果たしてくれた場合、このポジションは間違いなく不動。

ただ、ビルドアップ時にはCB2人と積極的にボールに絡んでいくことが求められるため、彼の足元の技術の低さは懸念要素となります。

まぁそうは言ってもそれを補って余りあるセービング能力がありますし、このポジションに議論の余地はないでしょう。

今季と違い、各選手のポジショニングがちゃんと整理されれば改善する可能性も十分にありますしね。



CB

ここも不動かなーと。カルダーラは相変わらず離脱中ですし、未知数ですしね。

基本はハイラインを維持する戦術のため、足の遅い選手はアウト。そしてビルドアップ時はアンカーがあまり降りて来ないため、ビルドアップ能力の低い選手もアウト。

出来ればムサッキオの代わりにより信頼できる選手(足が速く、ハードマークできる人)を1人置きたいところですが、他に補強ポジションがあるためおそらく補強はないでしょう(あるとしてもバックアッパー)。



SB

予想の難しいポジションです。

まず右ですが、守備、ビルドアップ面を考えるとカラブリアでしょう。
時折ポジショニングに怪しさが見られるものの、ボール奪取能力は結構高い(確かタックル成功数のスタッツが良い)ので、ジャンパオロの厳格なポジショニング指導で覚醒する気配はあります。

攻撃面を考えるとコンティですけど、今季の守備の酷さを見るにとてもじゃないですがSB(それも4-3-1-2)では起用できません。
コンディションを戻し、判断も含めた守備力を上げてくれればスタメン奪取のチャンスは十分にありますけどね。全盛期の攻撃力は凄まじいですしね。


左は走力という点でラクサールが若干リードしている気もしますが、ビルドアップ時に詰まった際にSBが下がる役割を持つため、リカロドが来季もスタメンで使われる気も・・・。


両サイド共に状況に応じて使い分けることになるかもしれないですね。



アンカー

ここは即戦力を補強して欲しいポジションです。
求められるのは、「ボールを引き出すのが上手く、テンポよくパスを捌け、運動量があり、守備にも一定以上の貢献を果たせる」選手。

理想を言えば現アーセナルのトレイラのような選手。万が一彼が来たら歓喜の雄叫びを上げますが、まぁないでしょう(笑)


(即戦力の)補強がない場合の代替案はビリアになりますが、彼も今季は復帰明け以降のパフォーマンスが悪く、そのため主力として考えるのはかなり危険です。
サブとしては申し分ないですけどね。



インサイドハーフ

左はチャルハノールで不動、右はケシエ(代役がいないため)が不動。
豊富な運動量という必要最低限の条件はどちらも満たしており、加えてチャルハノールは流動的に動けるしパスもシンプルに捌けるということで、ジャンパオロのサッカーにはおそらく完璧にフィットするでしょう。

ケシエもポテンシャル的には申し分ないものを持っているため期待できますが、今季のプレーぶりを見るに正直不動の選手として扱うのは危険だと思います。


それに量的に足りないポジションでもあるため、誰かしら補強はして欲しですね。



トップ下

パケタで不動。

ほぼ間違いなくジャンパオロ・ミランの核となる選手だと思います。
流動的に動いてパスを引き出し、パスを散らし、ドリブルで持ち運び、スペースを作り出し、果てはラストパスを送ったり自らがエリア内に侵入してゴールを決めたりと、その役割は多岐にわたるでしょうね。



トップ

一枠はピョンテクが不動。

もう一枠ですが、これが非常に難しい・・・。
おそらく求められるのは「運動量豊富で、スペースメイクが上手く(中盤の選手が飛び出すスペースを作りたいため)、ドリブルで運べる(カウンターの際に必須になる)」と言ったような選手になるわけで、正直クトローネだとピョンテクと役割が被っていて使いづらいと思うんですよね。

今季のミランのようにサイドからクロスを放り込むだけの戦術ならこの2トップでも良いのですが、ジャンパオロの下ではそういうわけにはいかないでしょうしね。


と言うわけでできれば補強して欲しいわけですが、そうなるとクトローネ代理人が間違いなく黙っていないというジレンマ・・・。
僕個人としてもクトローネには残って欲しいわけですが、スーパーサブとして残ってくれなんていうのは都合の良い話ですしね。


補強費も大してないのでおそらくピョンテク―クトローネのコンビになりそうですが、正直かなりの懸念要素ではあります。

まぁジャンパオロがクトローネを覚醒させてくれることに期待ですかね。



まとめ

本当に今さらな話で恐縮ですが、そもそも新監督がジャンパオロになるとも決まってないこの段階で書くお題ではありませんでしたね。しかも結構な長文(笑)


今夏は非常に限られた予算の中でやり繰りする必要のある非常に厳しいメルカートとなりそうですが、せめて監督の希望したポジションの補強だけは何とか遂行して欲しいと思います。

それはシモーネであろうと、ジャンパオロであろうと変わりません。


それでは今回はこの辺で。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


 
スポーツ ブログランキングへ
※ブログランキングに参加中です!よろしければ↑の2つのバナーを1日1クリックお願いします!

[ 2019/05/31 19:08 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(6)

ジャンパオロの戦術について ~サンプドリアの名将~



はじめに

ガットゥーゾ監督の退任が正式に決まったことで、否が応でも気になるのが「新監督は誰になるのか」という点です。

各メディアは様々な名を挙げていますが、中でも有力候補と目されているのがラツィオのシモーネ・インザーギ、モナコのジャルディム、サンプドリアのマルコ・ジャンパオロの3者。

まずシモーネについてですが、個人的に彼はユーヴェの監督or残留になると踏んでいますので様子見。

そしてジャルディムについてですが、僕は彼のチームについては観ていないためほとんど知りません。よって彼についてもノーコメント。良い監督という話は随所に耳にするので、悪感情は全くないですけどね。


で、ジャンパオロ

あれ、結構アリじゃない?というのが率直な感想です。

以前、新監督候補について言及した時はそれほど肯定的ではなかったんですけどね。状況が変わりましたしね。
一応当時は肯定的じゃなかった理由を述べますと

・当時はCL行きの可能性があった(→できればCL経験のある監督が良かった)

・当時はガスペリーニ、ディ・フランチェスコ就任の可能性があった(前者は完全に消滅、後者もなぜか噂が消えた上に、CLがないから個人的優先度も下がった)

・好きな監督だけに、失敗のリスクを減らせるようもう少し経験を積んだ上でミラン監督になって欲しかった




他にもいろいろありますが、とりあえずはこんなところです。



というわけで今回は、ジャンパオロをお薦めする理由とか、ジャンパオロの戦術について語ります。

導入が強引すぎますが、許してください(笑)



ジャンパオロを推す理由


ウイングを獲る必要がなくなる

ミランの補強必須ポジションとして挙げられる左WGですが、ジャンパオロの使用戦術は99パーセントの確率で4-3-1-2のため、彼が来るなら獲得の必要がなくなります。


若手の育成が上手い

今後のミランの若手路線とマッチします。


ビッグクラブ向きの戦術スタイル

テンポの良いショートパスを基調とする主体的なサッカーを志向するため、この点においてはビッグクラブ向きの監督といえます(ビッグクラブではボールを持たされる試合・展開が増えるため)。


4-3-1-2の使い手

最近ではめっきり減った4-3-1-2を使う監督。3-5-2の流行のせいでしょうか。
彼以外に継続的に使っているのは今季だとカリアリのマラン位でしょうかね。

4-3-1-2信者の僕としてはこれだけで推す理由の一つとなります(笑)


⑤名前がカッコいい




ジャンパオロの戦術~攻撃編~

では本題である戦術の話へ。

まずは攻撃についてですが、先ほども少し述べたようにテンポ良くショートパスを繋いでいく攻撃的なスタイルです。

ゴールキックからのスタート時もショートパスが基本。ただしその際にアンカーが下がって受けに来ることは少なく、GK+2CB+(状況に応じて)SBの計3~4人ほどでパスを回している印象が強いですね。アンカーは敵のファーストプレスの背後に位置し、ビルドアップの出口としての役割を持っているのかなと。


次に、その後の崩しのフェーズですが、基本は「縦に速く」を意識しているようなので、可能ならば2トップorトップ下へ縦パスを入れての速攻がベストな形なのでしょう。

無理ならばポゼッションに移行するわけですが、その際は中盤が流動的にフリーランすることで相手マークをずらしスペースを作り出していきます。

サンプドリアミラン 攻撃
―かなりシンプルな例ですが、例えばこのシーン。右インサイドハーフのプラート(水)のサイドに流れる動きにSBのリカロド(橙)が釣られ、それにより生じた背後のスペースをクアリャレッラ(青)が突くという形


かつてのミランで例えるとすれば、アッレグリ政権一年目のミランに近いですかね。
そう言えばアッレグリとジャンパオロって共にガレオーニという人物の弟子らしいので、ある程度似通った戦術観を持っているのかもしれないですね。



最後にフィニッシュについて。
カウンターであれば中央に持ち運んでからの裏抜け主体ですが、ポゼッションだとクロスを上げてクアリャレッラがアクロバティックに合わせる形が多いですかね。
また、中盤の選手が飛び出してきてロークロスをダイレクトで合わせるという形もあります。

ただポゼッションだと、逆に中央から崩して決めるという形はそんなに多くはないかなと(要は中央を固められるのが苦手)。
まぁその辺は選手の技術レベル(クアッリャ以外)もあると思うので、ジャンパオロの責任だけではないと思いますけどね。


ちなみに、彼らの今季のリーグ戦における総得点数は「60」で、これはセリエAで5番目に多い数字です。



ジャンパオロの戦術~守備編~

続いて守備戦術についてですが、これは先日の最終節・ユヴェントス戦の試合を見ながら解説していこうかなと(キャプチャ映像元はいずれも『Dazn』より)。


まず、守備はハイラインでのゾーンプレスが基本です。

サンプドリア守備1
―形は4-3-1-2を維持。サイド(SB)にボールが渡ったところでインサイドハーフ、トップ下辺りで囲い込んでボール奪取を狙う


相手ゴールキック時にマンツーマン気味のハイプレスを仕掛けることもありますが、そういうときは大抵今季のミランのようにビルドアップが壊滅的なチームだったり、戦力的に相手が格下だったりする場合ですね(その時々の状況にもよりますが)。



そして、リトリート後の布陣も4-3-1-2を維持し、4-3ブロックでコンパクトに守ります。

サンプドリア守備2
―リトリート後も布陣を維持するサンプドリア。2トップは画面外でカウンターに備えている


4-3-1-2維持のメリットとしては、カウンターに転じた際に2人のストライカーが攻め残っているため、ロングカウンターが機能しやすいという点が挙げられます。
2トップ+トップ下の組み合わせ次第では破壊的なカウンターを仕掛けることも可能になるでしょうね。

逆にデメリットとしては、中盤を3枚で守るため中盤にスペースができやすい点ですね。
つまり彼ら相手には素早いサイドチェンジからの速攻が有効ですし、現に昨季のミランもそうした方法でサンプドリアを粉砕しました。


上記の弱点を出来る限り晒さないためには、中盤の3人には豊富な運動量献身性巧みなスペース管理が絶対に求められますし、彼らの働きは攻守において非常に重要になります(先ほどの攻撃編で触れましたが、攻撃の際もたくさん走ることが求められるため)。


ちなみにここ最近のサンプドリアは全く勝てていませんでしたが、おそらくその理由の一つは中盤の選手が勤続疲労により動きが悪く、攻守において機能しなくなったことにあるのではないでしょうか(ここ1カ月ほどサンプドリアの試合は全く観られていなかったので、完全に推測ですけどね)。

調子の良い時の彼らは非常に組織的で固い守りを見せてくれるので、個人的にはかなり好きなチームです。



おわりに

ここまで書いてきましたが、ふとミラン情報を調べたらシモーネが次期監督として有力なんて記事が・・・笑

個人的にはジャンパロの方が好みですが、まぁシモーネも素晴らしい指揮官ですからね。
おそらく安定感という観点からすればシモーネの方が間違いなくあるでしょうしね。



今回の執筆目的の一つとして、他の新監督候補(EDFとかシモーネとかジャルディムとか)に比べてジャンパオロの知名度も人気も低そうだったので、彼も良い監督なんだぜーっていうのを多くの方に知ってもらいたかったっていうのが一番です。

同じ4-3-1-2信奉者として、ジャンパオロの人気が上がることを祈るばかりです(笑)


長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


 
スポーツ ブログランキングへ
※ブログランキングに参加中です!よろしければ↑の2つのバナーを1日1クリックお願いします!

[ 2019/05/30 20:05 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(4)

ミラン、次節ボローニャ戦は4-3-1-2で挑む?



『Sky』によると、ミランは次のボローニャ戦でフォーメーションを4-3-1-2に変更するかもしれないらしいですね。

「そもそもフォーメーション以前の問題(ピッチ上の選手の距離間とかポジショニングとかが悪い)ではないか」というのはひとまず置いておくとして、フォーメーション変更自体はアリだと思います。


そう考える理由としてはまず、不調のスソを外せるということ。


スソは何だかんだ現チームで屈指の上手さを誇る(得点に絡める)選手ですから、どうもチーム全体が彼に(早い段階で)ボールを預ける傾向があります。


そしてそうなると彼の特性上(トランジションが遅く、足元でボールを受けたがる)、カウンターの局面においてあまり機能せず、ポゼッションに傾倒しがちになります。

それでもパス回しの上手いチームであれば辛うじて機能するでしょうが、今のミランはご覧の有様ですからね。


シーズン前半戦では上手くいかない状況でも、スソの独力でのクロスやミドルシュートでゴールに結びつけられたわけですが、今の彼ではそれも難しい。


というわけで、現状は彼を起用するメリットが小さく、逆にデメリットが大きくなってしまっているんですよね。


彼の場合はスーパーサブとしても有用だと思うので、現状はそういう形での起用の方がチームにとっては良いかなと。




次に2つ目の理由として、縦に速い攻撃がしやすいということ。

メンバー的にもポゼッションで時間をかけて崩していくというより速攻サッカーをした方が良いのは明白ですし、それがしやすい4-3-1-2は合理的だと思います。


前節のトリノ戦でクトローネは、サイドに流れてロングボールを引き出す起点作りを行っていましたが、彼がサイドに流れることでエリア内に誰もいなくなってしまうという問題を抱えていました。


2トップであればそういう状況でもピョンテクがエリア内に常駐できますから、その点の問題は解決できますし、シンプルなクロスから得点を狙うという形も作りやすくなりますね。



おわりに

ここまで4-3-1-2によって改善される(だろう)点を述べてきましたが、もちろん懸念要素も多数存在します。

今のミランが4-3(ないし4-4)のブロックで守り切れるのかとか、攻守のバランスは取れるかとか、サイドを有効に使えるかとかですね。

このフォーメーションは機能しないと攻守ともに悲惨なことになりやすいですし、場合によっては現状より更に悪化する可能性も否定はできません。


まぁそうは言ってもフォーメーション変更自体は悪くないと思いますし、これまで通りの4-3-3でいくよりは改善に期待できるかなというのが個人的見解でした。


 
スポーツ ブログランキングへ
※ブログランキングに参加中です!よろしければ↑の2つのバナーを1日1クリックお願いします!

[ 2019/05/02 12:00 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(2)

今のミランと3バック(3-4-2-1)の親和性について



はじめに


先日のラツィオ戦にて、試合途中にシステムを3-4-2-1に変更して流れを掴んだミラン。


そしてミランが1-0で勝利を収めたこの試合後、フランチェスコ・グイドリン氏(僕の思う世界最高の戦術家であり、最も敬愛する監督。こちらの記事「フランチェスコ・グイドリンとは何者か?」にて詳述)が『Milannews.it』に対し、ミランが3-4-2-1を今後も続けていく可能性について肯定的な発言をしてくれました。


個人的にも3バックは大賛成でしたし、今のミランに最も合うフォーメーションだと思っていたのでこの発言は滅茶苦茶嬉しかったです(笑)


折角なので今回は、僕の考える今のミランのベストな布陣とその中身について詳しく掘り下げていこうかなと思います。



本題①~攻撃について~


ミラン3-4-2-1



最初に結論から言いますと、これが僕の考える現状のベストメンバーです(守備的にいく場合はロドリゲス→サパタ)。



今のミランが抱える一番の問題は、何といってもトップに君臨するピョンテクに渡る(チャンス)ボールが少なすぎることでしょう。

その原因はいくつか考えられるわけですが、1つとしてまず彼の周囲に人がいないことが挙げられます。


そこで、チャルハノールとパケタを2シャドーとして彼の両脇に配することで、こうした問題を解決しようというのがこのシステムの1つの狙いです(もちろんこれだけだと、あくまで数的な意味で解決し得るというだけに過ぎませんが)。


圧倒的な決定力、豊富な得点パターン、相手マーカーを出し抜く巧みな動き出しといった彼のストライカーとしての能力はずば抜けています。これを活かさない手はありません。


相手2ライン間でのボールの引き出しが上手く、パスの判断も良いパケタとチャルハノールの2人ならシャドーとして最適です。中でもパケタはクロスボールに合わせるのも上手いのでターゲットとしての役割にも期待できますしね。




続いてWBですが、こちらは積極的に上下動してもらってサイド攻撃の起点になると共に、クロスを上げるのが主な役割になるでしょう。

この3-4-2-1システムなら攻撃の中心は中央突破になるわけですが、もちろん相手が中を固めてくればサイドからの攻撃は有効(むしろ必須)です。


豊富な運動量でタイミングよくオーバーラップしてボールを受けたり、サイドに流れたシャドーと連携したりしてサイドを崩していくことが求められます。


この点に関しては、豊富な運動量と献身性を誇るボリーニ(ラクサール)は適任でしょうね(攻撃に関して若干の力不足感は否めませんが…)。


それにSBよりも前に出やすい分、特に右WBのコンティ(カラブリア)の攻撃性能は今まで以上に活きるでしょうね。




両ボランチに関してはケシエとバカヨコが鉄板(できればビリアがいいかなーと思いつつも、彼のコンディションやガットゥーゾ監督の前者2人への信頼感からしてこのコンビは不動)でしょう。


4-4-2とかだと彼らの両ボランチでは非常に不味いわけですが、このシステムならボランチに展開力がなくともそこまで問題ないと思いますしね(前方へのパスコースができやすいため)。



本題②~守備について~


守備については、素早くローラインでブロックを作るという形が良さそうです。

その際にやって欲しいと考えているのが、5-3-2へのシステムの変更ですね。


チャルハノールが一列下がり、パケタとピョンテクが横並びの関係を作る5-3-2(3-5-2)の形で守備ブロックを形成します。

ミラン5-3-2



これまで何度も書きましたが、ミランは守備の際にピョンテク以外が引いて守る4-5-1の形が多く、そのためロングカウンターがほとんど機能しないんですよね。


翻ってこの可変システムを採用すれば、前線にパケタとピョンテクの2人を残せます。


パケタは素晴らしいキープ力がありますし、彼とピョンテクで上手くボールを収めつつ、チャルハノールやケシエ、両WBが飛び出していくといったロングカウンターの形を作れれば非常に強力なのではないかと。



おわりに

さて。ここまで僕の妄想もとい願望を疲労させていただきました(笑)


問題はこのシステムの実現可能性についてですが、決してなくはないのかなぁと。


メンバーは違えど前節の途中から同フォーメーションは試していますし、結果も出た以上はまた同じフォーメーションで挑む可能性はありそうですよね(試合途中からでも)。

そしてメンバーについても、おそらくこのフォーメーションでいくのであれば必然的にここに行きつくはずです。多分(笑)



後は、このシステムを軸にした場合のビルドアップの仕方ですとか、各局面における動き方の基準(俗にいうプレー原則)のようなものを日々の練習でしっかりチームに落とし込み、実際の試合で実践していければCL権は固いのではないか、というのが僕の持論でした。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


バナー 
スポーツ ブログランキングへ
※ブログランキングに参加中です!よろしければ↑の2つのバナーを1日1クリックお願いします!

[ 2019/04/18 18:00 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(2)

戦術Gの功罪


はじめに;失点減の要因

 リーグ後半戦が始まり、早くも4試合が消化されました。

 そんな中、ミランが喫した失点はわずか「1」。この4試合の中にナポリ戦とローマ戦が含まれていることを考えれば非常に素晴らしい結果であると言えるでしょう。


 では、かつては毎試合のように失点していたミランがなぜ好守を見せるようになったのでしょうか。様々な原因が考えられますが、自チームに関連するものとしては

守備戦術の変更
②ドンナルンマが凄い

の2つが主に挙げられるかと思います。

 ②について詳しい説明はいらないでしょう。単純にドンナルンマが凄すぎます。彼がいなければ何失点喫していくつの勝ち点を失っていたかわかりません。


 そこで、今回は①について詳しく述べていきたいと思います。



戦術Gについて

 ここ最近のミランの守備戦術(便宜上これを「戦術G」とこの記事では呼称します。Gは「Gattuso」のGです。安直です。笑)はピョンテクを除く8.5人(スソが忠実に守備タスクをこなしていないことが多々あるため0.5人分として計算)がミドル~ローラインで一端ブロックを作り、それからプレスをかけるというもの。
 もちろんトランジション時などにボールの即時奪回を目指してハイプレスをかける場面もありますが、基本はミドルプレスです。

 そしてそのプレスもそこまで激しくなく、直接ボールを奪いにいくというよりは相手のパスミスやロングボールを誘う形が多めの印象です。ですから割とあっさり自陣ペナルティエリア付近までリトリートすることも多いです。



戦術Gのメリット

 戦術Gのメリットは大きく分けて2つ。1つはほとんど機能していなかった継続的なハイプレスをやめたことで前線と中盤の選手が無駄な体力を使わずに済むようになったこと。


 そしてもう1つは、戦術Gが今のメンバーの個性におおむね合っていることです。

 例えばケシエ。最近の彼のパフォーマンスは素晴らしく、フースコの採点によれば先日のカリアリ戦のMOTMは得点を決めたピョンテクやパケタではなくケシエとのことです。

 戦術Gでは引いて守ることの裏返しとして、必然的にロングカウンターの局面が増えることになります。スプリントと運動量とスピードが要求される戦術Gとケシエの能力との親和性が高いことは言うまでもありませんね。

 他にも1トップに位置するピョンテクの裏抜けやスピード、チームのほぼ全員に見られる惜しみない献身性など、戦術Gを機能させる上で必要な要素はかなり揃っています。



戦術Gのデメリット①


 戦術Gのデメリットについても大きく2つに分けます。1つは守備にかなりの比重を置いているため、相手によっては攻撃がかなり機能しにくくなる点です。

 例えば、前回のローマ戦では守備の後のロングカウンターが上手くいきませんでした。スソがちゃんと守備に参加している場合、ミランは9人が引いて守っていますから前線にはピョンテクしかいません。

 つまりローマのように同格以上の相手や、トランジションやハイプレスに優れたチームを相手にする場合ですと、孤立したピョンテクへのロングパスやショートパスでの平面突破がかなり難しくなるので上手く守備から攻撃に転じることが出来ず、結果として押し込まれる展開になる恐れが現状かなり存在します。

 僕がローマ戦のマッチレポート記事でこの戦術を酷評した理由の1つがこれでした。引き分け狙いならともかく、勝利を目指していたなら適切な戦術(とスタメン選考)ではなかったなと。


 こういった問題を解決するためには、前線にもう1人残す、カウンターの練度を上げることなどが要求されますね。



戦術Gのデメリット②


 先ほどメリットについて言及した中で、「戦術がメンバーにおおむね合っている」と書きましたが、残念ながら全く合っていない選手が存在します。

 何を隠そう、チームのエースであるスソです。

 今シーズン前半戦のスソは紛れもなくチームのMVPだと思いますし、ファイナルサードで得意の形を作れたときの破壊力は相変わらず他の追随を許しません。

 しかし彼の抱える弱点として、運動量が少なく、守備に関してかなり緩慢です。またスピードがなくスプリントも得意ではない。つまり下がって守備ブロックに参加し、攻撃時にはスピードとスプリントが求められる今の役割には全く適していないわけです。

 この点に関しては本人も自覚があるのでしょう。先日、ガットゥーゾ監督が以下のように語ったそうです。




 確かにスソからしてみれば、自分の適正とは程遠い役割を課されるのは納得がいかないかもしれません。

 しかし、監督が指示している以上はそれに従ってもらう他ないですし、実際に彼の怠慢守備が原因で毎試合のように相手に決定機を作られている事実は決して見過ごせません(ドンナルンマがそれを尽く防いでくれているので現状そこまで問題視されてはいませんが)。


 ガットゥーゾ監督には今の曖昧な状況をすぐにでも何とかしてもらいたいですし、この露骨なまでの弱所を放置するのであれば遅かれ早かれ痛い目に遭う可能性は十分に考えられます。
 早ければ次節のアタランタ戦にも…。


 具体的な改善策としては、スソが下がらずに済むよう可変システムを採用する、説得して精力的に守備に参加させる、はたまた思い切ってスタメンから外すなどなど…。

 どれも一長一短ですが、とにかく何かしらの対応はして欲しいですね。



まとめ


 現在の戦術Gには上記に挙げたような明確な弱点が存在し、それゆえに手放しで褒められるものではないと個人的には思います。

 しかし、チームとして目指すべき方向性自体は間違っていないとも思いますし、ガットゥーゾ監督及びメンバーの能力を考慮すればこの戦術を突き詰めていくべきだと考えています。

 当面は上記2つのデメリットの改善に期待したいですね。


 最後まで読んでいただきありがとうございました。

[ 2019/02/12 13:00 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(2)

インザーギ・ミハイロビッチ・モンテッラ時代を振り返る

はじめに

 先日、面白いデータを見つけました。



 『Opta』によれば、14-15シーズン以降のミランの監督の中で、平均獲得勝ち点数が最も多い人物は現在のガットゥーゾ(1.74点)らしいです。

 また、他の監督についてはモンテッラ(1.60点)、ミハイロビッチ(1.53点)、インザーギ(1.37点)、そしてブロッキ(1.33点)だそうです。


 これを見た時にそれぞれのミラン時代を思い返したこともあり、今回はせっかくなのでこの4人(ブロッキ時代は短く、語ることも少ないため実質3人)が監督を務めていた頃のミランを振り返っていこうかなと。

 基本的に主観バリバリですのでご容赦ください(笑)




インザーギ時代



 スピードスターのエル・シャーラウィとメネズを中心としたハイプレス&速攻カウンターを見せた14-15シーズン序盤戦は素晴らしいものがありました。
 縦に速く、手数をかけない攻めは当時の戦力の質に合っていましたし、1トップのメネズ(トーレスの場合もあり)が空けたスペースにシャーラウィや本田が入ってきてフィニッシュに絡むという形は非常に組織的なものでしたね。

 しかし、徐々に失速。一番の原因は、戦術的に重要な役割を果たしていたシャーラウィが怪我で離脱したことでしょうね。

 それに加えてトーレスがイマイチ適応しきれなかったこともあり、メネズへの依存が非常に高まってしまいました。


 こういった状況に対しピッポは頻繁にフォーメーションやメンバーを変えるなど、何とか改善しようとする努力は見られましたがほとんど機能せず。
 このままシーズン最後まで状況を変えることはできず、最終的に10位フィニッシュで解任されました。

 結局のところ、失敗の理由はピッポの戦術的引き出しが少なかったことに尽きるかなという印象です。当時はトップチームの監督としてのデビュー年でしたから当然と言えば当然なのですが。



ミハイロビッチ時代



 15-16シーズン序盤、ベルルスコーニ会長に強制された4-3-1-2システムでのプレー内容は非常に悪く、早くも解任の噂がちらほらされていました。

 しかし、吹っ切れたミハイロビッチ監督はシステムを変更。4-3-3を経て4-4-2になってからのチームは非常に組織的で、意外性がなくとも堅実な、まさにミハイロビッチのチームと呼ぶに相応しいものでした。

 2トップのバッカとニアンは守備時にボールをサイドへと誘導するプレスを忠実にこなし、両サイドハーフの本田とボナベントゥーラは誘導後の相手サイド選手へのプレスと躱された後のリトリート+4-4ブロックの形成のために奔走。

 ボール奪取後はニアンがキープ、スピード、ドリブルといった自身の能力を存分に発揮してチームを押し上げカウンター攻撃を機能させ、本田・アバーテのクロス、クツカの後方からの飛び出し、ボナベンのドリブルやバッカのボックス内での駆け引きなどでフィニッシュに繋げました。

 システムを4-4-2に変更した12月(実際は多少時期が前後していたかもしれません)からの13戦で6勝6分1敗という成績からも分かる通り、引き分けも多いが何より負けない堅実なチームでしたね。


 失速の原因は間違いなくニアンの交通事故による長期離脱ですね。このチームのこの戦術において欠かせない戦力だったニアン、バッカ、本田、ボナベントゥーラの4人の中でも極めて重要な存在でしたから、彼の欠場はそのままチームの成績に直結し、延いてはミハイロビッチ監督の解任へと繋がりました。



 当時のミランは、アッレグリ4年目の末期――セードルフ――序盤戦以降のインザーギ――序盤戦のミハイロビッチ―と連続で個人技に頼り切りの組織力の低いサッカーを披露していました。

 それだけに、例え守備的でビッグクラブに相応しくないサッカーと言われようとも、ミハイロビッチ監督のこのサッカーは非常に魅力的に感じましたね。

 
 そもそもミハイロビッチがミラン就任以前に高く評価されていたのはこの組織的な堅守速攻でしたから、ミランでポゼッションサッカーをさせようというのであれば完全に人選ミスでしたね。


 前半戦の4-3-1-2縛りとニアンの長期離脱がなく、始めからフロントの理解とバックアップが万全であれば……と今なお思ってしまいます。



ブロッキ時代




 ミハイロビッチ監督の後任として残りの15-16シーズンを務めました。

 会長の息のかかった人物のため、「当然ながら」4-3-1-2システムで臨みましたが機能するはずもなく勝ち点をこぼし続け、最終的に7位フィニッシュとなりました。

 失礼ながらブロッキが優秀な指揮官だとは思えませんでしたが、あのチーム状況を途中就任で何とかするのはどれほど優秀な指揮官でも極めて難しいでしょう。

 非常に気の毒でしたね…。



モンテッラ時代



 16-17シーズン、就任1年目のモンテッラはシステムを4-3-3に回帰し、ジェノアから大きく成長して帰ってきたスソを軸にした(今のミランに繋がる)チームを構築しました。

 ビルドアップ時に相手のシステムに応じてサイドバック(デ・シリオなど)を中盤に組みこみ(俗にいう偽サイドバック)、円滑なパス回しを実現させるなど、戦術的柔軟性のある戦術家らしいアイディアを披露。

 攻撃時の前線では両WGが内に絞ってCFとの距離を近くすることで1トップの孤立化を防ぎ、空いたサイドのスペースはSBが使用して幅を確保。
 明確な狙いを感じる、攻撃的かつ組織的なチームでしたね。
 

 ただし、中盤以下のポジションに彼好みの選手が少なかった(おそらくトップもでしょうが)ということもあり、ヴィオラ時代のようなポゼッションサッカーではありませんでした。

それでもロカテッリを台頭させるなどして上手く凌いだことで6位フィニッシュ。久しぶりにヨーロッパカップ戦出場権を獲得しました。



 就任2年目となった17-18シーズン。フロントの刷新と共に大型補強を敢行し、いざCLへ…!と思いきや、チームが機能せず12月を待たずして敢え無く解任。

 ターニングポイントを挙げるとすれば、やはりラツィオ戦後から始めた3バックシステムへの変更でしょうか。

 ボヌッチが来たときからある程度3バックの構想はあったとは思いますが、スタメンの半分以上が新加入選手であったため当初は連携がチグハグでしたし、そういった状況下でシステムを変えたのは悪手でしたね。

 試合中でも守備時には3バックから4バックに変更するといったように、かなりの組織力が要求される戦術を試した試合もありましたし、スソをWBで起用するかなり不可解な采配もありました。


 解任後、当時スタッフを務めていたアッビアーティが「モンテッラは誰も信用していなかった」と批判していたことからして、チームの雰囲気も相当悪かったのでしょう…。


 戦術的引き出しの多さは近年のミラン監督の中でも1番だと思いますが、残念ながらそれを遂行する選手たちの心を掌握しきれなかったみたいですね。
 この点は今の監督であるガットゥーゾとは正反対と言えそうです。



おわりに


 以上、ここまで4人(実質3人)の監督時代におけるミランをそれぞれ僕なりに振り返ってみました。

 やはり個人的には後半のミハイロビッチ・ミランが好きでしたねー。次点で一年目前半のモンテッラ・ミランでしょうか。

 彼ら3人はミランでは成功とまではいきませんでしたが、こうして振り返ると凄く楽しかった思い出(試合)もいくつかありますし、ミランを指揮してくれたことに感謝したいですね。


 最後まで読んでいただきありがとうございました。

[ 2019/01/11 19:09 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(2)

チャルハノール・システム(仮)、遂に誕生か?


はじめに


 SPAL戦に2-1で勝利したミラン。

 『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によるこの試合の採点によると、4-3-3の左インサイドハーフで先発出場したハカン・チャルハノールは「6」点だそうです。

 おそらくこの試合の彼については賛否分かれると思うんですよね。「シュートを何度も外しやがって!」とフィニッシュの局面を重要視するか、「ボールに良く絡んでいたしアシストも決めた!」と組み立て~崩しの局面を重要視するかで大きく評価が変動するかなと。

 ちなみに僕は後者派です。むしろこの試合のチャルハノールが前半に見せたパフォーマンスには絶賛したいくらいです。

 それはなぜか。理由は、この試合の前半で見せたチャルハノールの戦術的役割が、今のミランが抱える「崩しの局面のアイディア不足」という問題をある程度解決し得るものだからです。


 というわけで今回は、チャルハノールのこの試合での実際のプレーを振り返っていくことで、如何にして彼がミランの勝利に貢献したか、延いては今後もミランに貢献し得るかを見ていこうと思います。


プレーポジションについて


 まず始めに、この試合のチャルハノールはピッチ上のどの場所でボールに触れたのかを見ていきます。


0チャルハノール タッチ

 こちらがWhoScoredの計測した彼の前半のボールタッチポジションです。



チャルハノールフロジノーネ前半タッチ

 そしてこちらが前節のフロジノーネ戦における前半のボールタッチポジション。


 2つを見比べると、SPAL戦のチャルハノールはセンターサークル付近で頻繁にボールを受けていることがわかります。


 以上のデータと、実際に試合を観た僕の見解を合わせるとこうなります。
この試合のチャルハノールは「央の低い位置でボールを受けて配給し、まるで司令塔のようにもプレーした」ということです。


 「ようにも」と表現をぼかしたのは、まさに司令塔(ピルロやシャビ)のようにゲームをコントロールした(できた)わけではなかったことと、チャルハノールの役割が多岐にわたったことの2つが理由です。


 なお、今回の「チャルハノールが司令塔のようにプレーした」このシステムを、当ブログでは「チャルハノール・システム(仮)」と名付けました。名前が安直過ぎるというツッコミには対応しかねますのでご了承ください(笑)

それと「(仮)」と付けた理由についてはこの記事の最後に説明します。




実際のプレー ①組み立て時に下がって2ボランチを形成


 それでは実際に、チャルハノールがこの試合でどのような戦術的役割を持ってプレーをしていたのか映像付きで説明していきます(映像の引用元はいずれもDAZN『ミラン vs SPAL』より)。。

チャルハノール2ボランチ



 こちらは4分の場面。まずここで注目していただきたいのが、チャルハノール(左インサイドハーフ起用、赤線で図示)とバカヨコ(アンカー起用、青線で図示)の距離が近いこと、そして2ボランチのようになっていることです。

 ただ実際に2ボランチだったわけではなく、ビルドアップ~組み立ての段階でチャルハノールが下がってきてボールを受ける。その結果として2ボランチのようになっているということです。

 通常の2ボランチとの違いは、前線から下がってくるため相手のマーカーが付いて行き辛く、結果的にフリーになりやすいという点ですね。

 この試合のSPALは中盤で5-3-2のミドルブロックかつ純粋なゾーンディフェンスだったため、中盤がチャルハノールの下がる動きにマンマーク気味にして付いていくことはほとんどありませんでした。そのため上記のシーンのようにフリーでボールを受けることが出来ていましたね。


 こういった動きの最大のメリットは、やはりビルドアップ~組み立てのフェーズが安定するという点でしょうかね。特に相手がハイプレスをかけてくるチームの場合、この下がってボールを引き出す動きは非常に重要になってくるでしょうね。

 ちなみにこのシーンでは、図示しているように前線に張るケシエへとハイスピードの縦パスを通し、相手の中盤のブロックを完全に無力化しています。




実際のプレー ②右サイドへのロングフィード


 この試合、少なくとも2回は観られたスソ(黄線で図示)への正確無比なロングフィード。組み立て~崩しの局面を一気にすっ飛ばす素晴らしいプレーです。

チャルハノールロングフィード


 相手が守備ラインを整える前に素早く縦に展開することにより、相手は後手に回らざるを得ず、こちらとしては決定機に繋げやすくなります。

 これこそが最初に述べた「ミランの崩しの局面におけるアイディア不足をある程度解決し得る」チャルハノールの非常に重要な戦術的役割の1つです。

 要は「引いて守りを固める相手を崩せないなら、相手が守りを固める前に崩せば良いじゃない」ということですね。

 このプレーが平然とできるのはミランではチャルハノールだけですからね。昨季のガットゥーゾ・ミランはこういった形がメイン攻撃の1つとしてあったのですが、なぜか今季はポゼッションサッカーに傾倒してこういった縦に速い展開は中々見られませんでした。

 今後も継続的にやってくれると嬉しいのですが…。



実際のプレー ③前線への飛び出し

 上記に挙げた、この試合におけるチャルハノールのプレーポジションをもう一度参照します。

0チャルハノール タッチ

 このデータを見ると、彼は組み立てに参加した後は積極的に前線に上がってボールを受け、フィニッシュに絡もうとしていることがわかります。

 実際、この試合のチャルハノールのシュート数は「6」。チームトップの数字ですからね。後はシュート精度が上がれば(もとい戻れば)申し分ないのですが…。
 
 

実際のプレー ④バカヨコとのポジションチェンジ

 前半の終盤からちょくちょく見られたのが、バカヨコとポジションチェンジしてアンカーポジションに移るというプレー。

チャルハノールアンカー1


 相手がほとんどプレスをかけてこない場合に有効な手段ですね。純粋な展開力という面ではチャルハノールはバカヨコより遥かに上ですからね(一方、プレス耐性が低いので、ハイプレスをかけてくる相手にはかなり危険だと思いますが。)。

 ちなみに、これにより前線に上がりバイタルエリアに侵入したバカヨコが、ケシエからのクロスを受けてフリーでシュートを打ったシーンも印象的でした。
 


…以上が、チャルハノールのこの試合(の前半)における具体的プレーと戦術的役割でした。



チャルハノール・システム(仮)を支える名脇役

 この試合でチャルハノールと中盤を形成したバカヨコとケシエですが、2人の役割もチャルハノールのパス精度を活かすために非常に重要なものでした。
 特にバカヨコ。彼の存在はチャルハノール・システム(仮)の存続延いては発展に必要不可欠なものです。



バカヨコの役割

 彼がこのシステムにおいて務める(今後務め得る)役割は大きく分けて2つ。1つはチャルハノールの守備力を補うことです。

 チャルハノールは運動量もあり守備にも献身的な選手ではあるのですが、フィジカルが比較的弱いのでタックルやボール奪取が上手くない。その上空中戦も弱い。
 そのため(実質)ボランチなどで起用すると守備時に相手に押し込まれてしまうリスクが極めて高くなります。

 事実、試合途中からカラブリアと一緒に2ボランチで起用されたフィオレンティーナ戦は完全に押し込まれましたからね。そして失点。


 一方のバカヨコは、もはやセリエA屈指といっても過言ではないボール奪取能力、及び無敵の空中戦を誇ります。
 
 ですので、仮にこの2人による2ボランチ形成中に嫌な形でボールを失いカウンターを食らっても、ある程度なら彼が何とかしてくれるでしょうね。


 もう1つの主な役割は、チャルハノールへといい形でボールを供給すること。
 様々な方法(敵マーカーを引き連れてフリーランすることでスペースを作るなど)が考えられますが、バカヨコだからこそできるプレーとして「強引な縦へのドリブルで相手を引き付けてからのパス」が考えられます。

バカヨコドリブル


 例えばこのシーンではバカヨコがフィジカルを活かしたドリブルで強引に縦へ持ち出し、敵を3人引き付けたところで脇にいるチャルハノールへとパスを出そうとしました。

 惜しくもここでは相手に当たってパスカットされてしまいましたが、仮にパスが通っていればチャルハノールが中央でかつフリーで前を向くことが出来ていましたし、かなり効果的なプレー選択だったと思いますね。

 余談ですが、この試合のバカヨコのドリブル成功数はチームトップの「6」回でした。



ケシエの役割

 ケシエに期待される役割は、前線へと果敢に攻め上がってチャルハノールからのパスコースを作り出すことです。

 これまでの画像からも明らかですが、この試合のケシエ(緑線で示していた選手)は非常に高い位置を取っていました。システム表記でいえばイグアインと並んで4-2-4と言っても過言ではないかもしれません。

チャルハノールサイドチェンジ

 そんなケシエに対し、相手の3バックの一角である左CBはかなり警戒していたと思います。そして彼に対するマークを優先したがゆえに左WBの裏のスペースをカバーしきれず、結果チャルハノールからスソへのロングフィードを何度も許してしまいました


 つまり今回は、直接的なパスコースを何度も作り出したわけではありませんでしたが、ケシエは自身の動きでチャルハノールからスソへのパスコースを間接的に作り出していたということですね。



 おそらく、もう少しレベルが上の相手と対戦する際はよりバランスを重視したポジショニングを取るでしょうが、その時も持ち前の運動量を活かしたフリーランでチャルハノールのパスコースを積極的に作って欲しいと思います。




終わりに


 以上、ここまでSPAL戦前半に見られたチャルハノールの戦術的役割や彼中心の攻撃(「チャルハノール・システム(仮)」)の具体的内容、及び彼を支えた中盤の役割をそれぞれ説明してきました。


 さて、ここで棚上げにしていた「(仮)」と付けた理由についてですが、それは今後もこのシステムが使われていくかわからないからです。

 というのも、このチャルハノール中心のシステムが見られたのは前半のみで、相手のシステム修正もあった後半開始からはほとんど見られなくなりました。
 加えてミランがクトローネを投入してシステムを4-4-2に変えてからはチャルハノールがサイドに追いやられたため、完全になくなりました。

チャルハノールSPAL戦後半

後半からのチャルハノールのボールタッチポジションを見れば一目瞭然ですね…。


 ひょっとすると、前半のプレーも個々人が独自の判断で勝手にやっていて、それを勝手に僕がシステムとして拡大解釈しているという可能性もゼロではありません…(ケシエの高い位置取りは間違いなく指示でしょうし、チャルハノールからスソへのロングフィードを活かす戦術は間違いなく意図していたでしょうが。)


 さらに言うと、このシステムが同格ないし格上相手にも通用するのかといった疑問もありますし…とにかくまだサンプル数が少ないため何とも言えないんですよね。



 しかし、そういった事情があるにも関わらずこうして時間をかけてじっくり書いたのは、この3MF(特にチャルハノールとバカヨコの関係性)にとてつもない可能性を感じたからです。


 チャルハノールの局面打開力の凄さはこの試合の前半だけではっきりと見て取れましたし、バカヨコの恐ろしいまでのボール回収能力やキープ力も健在でした。つまり、お互いがお互いの長所を活かし・短所を補える関係にあります。

 後はチームの組織力を高めてチャルハノールの短・中距離のパス能力も存分に活かせるようになれば、今のミランの抱えるビルドアップの脆さや崩しのアイディア不足はかなり改善されると確信しています。


 要はチャルハノール中心のシステムを作って欲しいということですね。彼はそれだけのポテンシャルを持っていると思いますし、それによるデメリットを補える男(バカヨコ)も幸い今のミランには存在しますから。


 数週間後にはリーグ後半戦が始まります。おそらく開始からしばらくはこの3MFが見られるはず。
 今後どのような展開を見せるのか……通常の逆3角形型でいくのか、はたまたチャルハノール・システム(仮)の継続、、果ては発展して(仮)が取れるほど組織としての完成度を高めていくか…。


 注目していきたいですね。



長くなりましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!

[ 2018/12/31 13:02 ] 考察 戦術 | TB(-) | CM(0)